アカバの町並み
Cityscape of Aqaba, 1996, 2001紅海の付け根、アカバ湾の一番奥にヨルダン唯一の港、アカバ港があります。唯一の港なので物資流通の要となっていて、ヨルダン経済の生命線といっていいほど重要な町となっています。
唯一海に面した場所であることから人気のリゾート地にもなっていて、海岸には高級ホテルが建ち並び、ヨーロッパから多くの観光客が訪れています。その目的はダイビング。ここではダイビングやマリンスポーツが盛んで、町外れには美しい紅海を堪能できるダイビングスポットが多くあります。
アカバの港の歴史は古く、紀元前1000年頃には古代イスラエルのソロモン王やシバの女王に使われていたと言われています。それは交通の要所だったこともありますが、アカバ郊外の赤々とした山から銅を採掘する事ができ、この地域で銅鉱を精製していたからです。
その後、エドム人からナバテア人へとアカバの支配者は変わっていきますが、交易港としての重要性は変わらなく、海岸付近ではその当時の町の遺跡が発掘されています。
ローマ支配下になると、アカバからペトラ、アンマンを通りダマスカスまで続く交易道が整備されました。それに伴ってアカバの重要性が高まりました。
アカバが最も栄えたのは、その次のアラブの時代になってからでした。メッカへの巡礼の経由地として、また産品の集積地としてにぎわいました。
その後オスマントルコに支配され、第一次大戦の時、アラブの独立運動を支持してきたローレンスによって攻略されたのは映画によって有名な話となっているでしょうか。
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* ヨルダン情景素写 *
アカバ要塞 Aqaba Castle
「アラビアのロレンス」という映画の中で、アカバにあるオスマントルコ軍の要塞を、ロレンスが率いるアラブ軍が占領するシーンがでてきます。
そのアカバ要塞は町の南の海岸沿いにあります。この要塞は16世紀に建てられたもので、入り口の上には、第1次世界大戦後掲げられたハシミテ王国の紋章が飾ってあります。
中に入ると、まだ修復途中といった感じでぼろぼろでしたが、多くの部屋や地下牢跡がありました。城壁に上ってみると、アカバ湾の眺めもよかったです。
ちなみにアラビアのロレンスの撮影は、このアカバから車で1時間ぐらい行ったワディ・ラムで行ったそうです。興味のある方は数多くのツアーが出ているので、足を伸ばしてみるといいと思います。撮影に使われたロレンスの泉などもあります。
イーラ遺跡
かつてのアカバは、貿易の拠点、メッカ巡礼の中継地として栄え、7~10世紀頃にはイーラと呼ばれていたそうです。
その時の都市遺跡が、町の南の海岸沿いにあるイーラ発掘場です。140~170mの城壁に囲まれた中世アラブ都市の遺構で、四方にエジプト門、シリア門、ヒジャーズ門、海の門があり、シリア門に近いところに巨大なモスクの跡が残っています。
96年に訪れた時には、この発掘場には特に柵があるわけでもなく、ただの空き地のようにも思えました。そして、せめて博物館でも作って、観光客にも分かりやすく説明して欲しいと思ったものですが、2001年に訪れてみると、一応遺跡も少しは遺跡らしく整備されていて、更にツーリストオフィスの隣りに博物館ができていました。
* 感想など *一番最初にアカバを訪れたときは夏場でした。暑いのはどこも一緒ですが、ここは低地で、海に面していることから非常に蒸し暑く感じ、夜もなかなか寝付けられませんでした。
少し体調不良だったのもあってアカバで風邪を引いてしまい、暑くて頭が冷えないのでボーとすることも多く、風邪で苦しい思いをしたのがアカバでの一番の思い出となっています。
アカバの町は、海のレジャーやリゾートを楽しめ、またワディ・ラム(赤砂漠)への玄関口になっていることから、海と砂漠を楽しめる町として観光客に人気となっています。多くの観光客が訪れることから、ペトラほどひどくはないものの町を歩いていて少々観光客ズレしているなと感じた町でもあります。
アカバの町並み
Cityscape of Aqaba, 1996, 2001 -風の旅人- (2020年1月更新)