レバノンの情景#10
トリポリのセント・ジル城砦
St Gilles Citadel in Tripoli, 2001
トリポリ市内を流れるアボウ・アリ川のそばにある高台にセント・ジル城砦(トリポリ城塞)があります。1103年に第1回十字軍を率いたフランク王国のレイモンド伯(レイモン・ド・サン・ジル)によって建設された十字軍の要塞で、トリポリ港を望むこの地が選ばれました。
玄武岩と石灰岩を利用して造られた堅牢な城塞でしたが、13世紀にマムルーク朝のカラウィーの攻撃を受け、大部分が焼けてしまいました。14世紀になってから再建され、オスマントルコ時代には一部は牢獄として利用されていました。
十字軍時代のオリジナルは東側の一部分にすぎませんが、鉄製の門、兵舎などが復元され、城内を見学出来るようになっています。城塞も素晴らしいのですが、やはりここの一番の良さは城塞の上からの眺めがいいことです。中東らしい雰囲気を持つトリポリ市街や背後にある雄大なレバノン山脈を眺められ、その眺めに感動することでしょう。
* 情景素写 *
* 感想など *
地図やガイドブックで見ると、小さな城塞で、そこまで見るべきものはないかなと思いつつ訪れましたが、あまりの景色の良さにとても感動してしまいました。期待していなかった分、感動も大きいといったやつでしょうか。
夕日の時間に訪れたのもよかったようで、夕日の中を飛んでいく鳩を目で追いながら、沈んでいく夕日やトリポリの町を眺めている時間は、とても素晴らしいものでした。
レバノンの情景#10
トリポリのセント・ジル城砦
St Gilles Citadel in Tripoli, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)