世界情景素写
レバノンの情景#12

カディーシャ渓谷と神の杉の森

Ouadi Qadisha and the Forest of the Cedars of God, 2001

杉といえば、レバノン。そして世界遺産にも指定されているレバノン杉。いやいや杉といえば屋久島の縄文杉でしょ!っていうのが普通の日本人の思うところかと思います。

でもレバノンでは国旗にも描かれているほど杉が大事にされています。それは古くから貿易品として重要だったからで、ビブロスにあるフェニキア人が最初に築いた都市国家はレバノン杉を輸出したり、造船に使用して栄えました。

かつては全土を覆うほどに自生していたそうですが、今では千二百本ほどが自生するだけになってしまいました。レバノン杉は種類としてはマツ科ヒマラヤ杉属で、レバノンにしか自生しない固有種になります。杉というよりマツに近いのでちょっと日本人が思う杉とは違います。ただ神の杉の森と呼ばれる自生地には樹齢が2千年を越えるものもあり、とっても立派な姿を見ることができます。

また杉と同時に杉が自生するカディーシャ渓谷も世界遺産に登録されています。ここではまさに地の裂け目というか、雄大な風景を見ることができます。渓谷には村が多くあり、建物がヨーロッパ風なのでヨーロッパの山間部といった雰囲気を感じる場所でもあります。

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* 情景素写 *

ブシャーレの教会とカディーシャ渓谷の写真
ブシャーレの教会とカディーシャ渓谷

バスの終点、ブシャーリー村の教会とカディーシャ渓谷です。
教会と雪の積もる山々。
ヨーロッパといった雰囲気でした。
(In Bsharri, 20 Mar. 2001)

カディーシャ渓谷の様子 Ouadi Qadisha (the Holy Valley)
カディーシャ渓谷の様子
Ouadi Qadisha (the Holy Valley)

崖のぎりぎりのところまで家が建てられているのを見ると、日本人としては心配になってしまいます。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

レバノン山脈最高峰のコルネ・エル・サウダ山付近にあるカディーシャ渓谷は、三方を高い山に囲まれ、谷は深く、とても美しい景観です。レバノンで一番美しい景観ともいわれています。

カディシャとはアラム語で「聖」を意味し、カディーシャ渓谷は別名「聖なる谷(The Holy Valley)」と呼ばれています。崖の下には小さな教会や修道院が沢山あります。これらは迫害を受けた人々が建てたもので、長年、地域の人たちに守られてきました。崖下まで降りてはいませんが、どことなくトルコのカッパドキアに似た雰囲気の場所のようです。

カディーシャ渓谷の一番奥の写真
カディーシャ渓谷の一番奥

渓谷の一番奥です。
雪解け水が流れる小さな滝もあります。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

果樹園とカディーシャ渓谷
果樹園とカディーシャ渓谷

ブシャーリー村付近の山の斜面は果樹園になっていました。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

雪解け水とカディーシャ渓谷
雪解け水とカディーシャ渓谷

畑の中の水路を雪解け水が勢いよく流れていました。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

カディーシャ渓谷とブシャーレ村
カディーシャ渓谷とブシャーリー村

バスの終着地点ブシャーリー村から大分登ってきました。
登れば登るほど景色がよくなっていきます。
そして登れば登るほど足が疲れていきます。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

ブシャーリー村とカディーシャ渓谷
ブシャーリー村とカディーシャ渓谷

更に登ると村が一望。とっても素晴らしい風景です。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

レバノン山脈と木
レバノン山脈と木

聳える木と雪をかぶる山。
なんとなく感性で撮った写真です。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

カディーシャ渓谷とブシャーレ村2
カディーシャ渓谷とブシャーリー村2

ブシャーリー村が遠くに見えるようになりました。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

レバノン杉への道のり
レバノン杉への道のり

何もないところにある看板もちょっと味があります。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

雪が積もっている様子
雪が積もっている様子

雪だ!と道を外れてはしゃいでいたときの写真です。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

レバノン山脈の様子
レバノン山脈の様子

レバノン最高峰のコルネ・エル・サウダ山は標高約3千mあります。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

カディーシャ渓谷を一望
カディーシャ渓谷を一望

ここまで離れると渓谷が一望できます。
まさに地の裂け目といった感じです。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

雪の中の集落
雪の中の集落1

更に登るとまだまだ雪が多く残っていました。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

雪の中の集落
雪の中の集落2

冬のウインタースポーツや夏の避暑等に使われる施設が多くありました。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

レバノン杉の群生地 Cedars Forest
レバノン杉の群生地1
Cedars Forest

辺り一面というわけではなく、部分的にレバノン杉の群生地があります。
(Cedars Forest, 20 Mar. 2001)

レバノン杉の群生地2
レバノン杉の群生地2

ここは老木と若木といった群生地です。
(Cedars Forest, 20 Mar. 2001)

神の杉の森 Forest of the Cedars of God
神の杉の森

神の杉の森(Forest of the Cedars of God)と呼ばれている場所です。
ここには多くの杉が植わっていて、樹齢を重ねた木も多かったです。
(Ouadi Qadisha, 20 Mar. 2001)

雪とレバノン杉
雪とレバノン杉

上と同じ場所です。なかなか立派な木がそろっています。
地面に雪が積もっていると木がはっきり見えていいです。
(Cedars Forest, 20 Mar. 2001)

土産屋とレバノン杉
土産屋とレバノン杉

土産物屋のある道端に立派な木がありました。
一番賑わう場所なのでしょうが、誰もいませんでした・・・。
(Cedars Forest, 20 Mar. 2001)

* 感想など *

わざわざ杉を見るために交通の不便な山の中へ行くのは面倒だな・・・といった気持ちで訪れたのですが、まずカディーシャ渓谷の美しさにビックリ。レバノンの印象がひっくり返るぐらいの美しさでした。泊りがけでゆっくりと渓谷を散策できればよかったなとちょっと後悔しています。

レバノン杉の方は・・・雪が積もっていたので少し神々しさを感じましたが、日本人のイメージする杉とは違うので、日本の杉の方が、縄文杉の方が・・・などと頭に浮かんでしまいました。

他の季節の写真を見ましたが、やはり雪がある時が一番美しいですね。緑の中に緑があるのではなく、白いキャンパスの中に緑があるので、杉が引き立って見えます。一番いい時に訪れることができたようです。

レバノンの情景#12
カディーシャ渓谷と神の杉の森
Ouadi Qadisha and the Forest of the Cedars of God, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)

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