カディーシャ渓谷と神の杉の森
Ouadi Qadisha and the Forest of the Cedars of God, 2001杉といえば、レバノン。そして世界遺産にも指定されているレバノン杉。いやいや杉といえば屋久島の縄文杉でしょ!っていうのが普通の日本人の思うところかと思います。
でもレバノンでは国旗にも描かれているほど杉が大事にされています。それは古くから貿易品として重要だったからで、ビブロスにあるフェニキア人が最初に築いた都市国家はレバノン杉を輸出したり、造船に使用して栄えました。
かつては全土を覆うほどに自生していたそうですが、今では千二百本ほどが自生するだけになってしまいました。レバノン杉は種類としてはマツ科ヒマラヤ杉属で、レバノンにしか自生しない固有種になります。杉というよりマツに近いのでちょっと日本人が思う杉とは違います。ただ神の杉の森と呼ばれる自生地には樹齢が2千年を越えるものもあり、とっても立派な姿を見ることができます。
また杉と同時に杉が自生するカディーシャ渓谷も世界遺産に登録されています。ここではまさに地の裂け目というか、雄大な風景を見ることができます。渓谷には村が多くあり、建物がヨーロッパ風なのでヨーロッパの山間部といった雰囲気を感じる場所でもあります。
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* 情景素写 *
レバノン山脈最高峰のコルネ・エル・サウダ山付近にあるカディーシャ渓谷は、三方を高い山に囲まれ、谷は深く、とても美しい景観です。レバノンで一番美しい景観ともいわれています。
カディシャとはアラム語で「聖」を意味し、カディーシャ渓谷は別名「聖なる谷(The Holy Valley)」と呼ばれています。崖の下には小さな教会や修道院が沢山あります。これらは迫害を受けた人々が建てたもので、長年、地域の人たちに守られてきました。崖下まで降りてはいませんが、どことなくトルコのカッパドキアに似た雰囲気の場所のようです。
* 感想など *わざわざ杉を見るために交通の不便な山の中へ行くのは面倒だな・・・といった気持ちで訪れたのですが、まずカディーシャ渓谷の美しさにビックリ。レバノンの印象がひっくり返るぐらいの美しさでした。泊りがけでゆっくりと渓谷を散策できればよかったなとちょっと後悔しています。
レバノン杉の方は・・・雪が積もっていたので少し神々しさを感じましたが、日本人のイメージする杉とは違うので、日本の杉の方が、縄文杉の方が・・・などと頭に浮かんでしまいました。
他の季節の写真を見ましたが、やはり雪がある時が一番美しいですね。緑の中に緑があるのではなく、白いキャンパスの中に緑があるので、杉が引き立って見えます。一番いい時に訪れることができたようです。
カディーシャ渓谷と神の杉の森
Ouadi Qadisha and the Forest of the Cedars of God, 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)