世界情景素写
レバノンの情景#6

ビブロス遺跡

Ruins of Byblos, 2001

ベイルートの北、約35キロにあるジュバイル(Jbeil,Jbail)の町には世界遺産に指定されているビブロス遺跡があります。

ビブロスという名はかつての都市名で、その名からバイブル(聖書)を連想できる人は少ないと思いますが、ビブロスの名はギリシャ語でパピルス、紙を表し、それが書物の「ビブリオン」となり、聖書の語源になったそうです。

そんな由緒ある名前を持っている都市の遺跡なのですが、遺跡自体も凄い歴史があります。古くは紀元前7000年頃から人が住み始めたと言われ、紀元前3000年頃から古代フェニキア人の都市国家が栄えた場所でもあります。

東地中海ではシリアにあるアルワード島(タルトゥース)やウガリットに通じる遺跡です。アルファベットの元とされるフェニキア文字が刻まれた石棺が見つかっているのも有名です。

フェニキア人が衰退していった後にはローマ、そして十字軍と町が建て替えられていき、今では時代が複雑に絡み合った遺跡となっています。

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* 情景素写 *

ビブロス遺跡前の通り ビブロス遺跡の写真
ビブロス遺跡前の通り

土産物やレストランが並ぶ通りです。
奥に見えるのが十字軍の城で、ビブロス遺跡の入場口があります。
旧市街にあたるようで、商店街自体も十字軍の城と調和していました。
って、遺跡の石を使っちゃったのかな?
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

聖ヨハネ洗礼教会 The Church of St John the Baptist
聖ヨハネ洗礼教会
The Church of St John the Baptist

十字軍時代に作られた古い教会です。
アラブとイタリア文化が混ざった建築物です。
(The Church of St John the Baptist, 11 Mar. 2001)

旧市街の学校
旧市街の学校

学校も周りの建物と同じように石造りでした。
服装からして教会付属の学校となるのでしょうか。
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

港と十字軍の城 Byblos Fishing Port ビブロス遺跡の写真
港と十字軍の城
Byblos Fishing Port

遺跡のすぐ下の海岸は小さな港になっています。
船と石造りの建造物が合わさるとヨーロッパ的な雰囲気に感じます。
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

海岸から見る十字軍の城 ビブロス遺跡の写真
海岸から見る十字軍の城

城の正面には海に向かって長い桟橋が設けられています。
この桟橋から見ると雰囲気があってよかったです。
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

港の様子 ビブロス遺跡の写真
港の様子

港の海上部分にも十字軍の遺構が残っています。
恐らくかつては重厚な石造りの建物が港に並んでいたと思われます。
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

港の遺構 ビブロス遺跡の写真
港の遺構

港に出入りする船を監視していたのでしょうか。
塔のような遺構が残っています。
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

漁船と塔 ビブロス遺跡の写真
漁船と塔

城壁のような遺構と一緒に写すと漁船も勇ましく見えてしまいます。
(In Byblos, 15 Mar. 2001)

十字軍の城 Byblos Citadel ビブロス遺跡の写真
十字軍の城
Byblos Citadel

十字軍時代に造られた城塞です。
ローマ劇場などの周辺の遺構の石を使用して建てられました。
少しずつ修復されています。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

古代の城壁跡と十字軍の城 ビブロス遺跡の写真
古代の城壁跡と十字軍の城

手前にあるのは古代の城壁跡で、この角度で見ると一番城らしく感じました。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

城壁内の様子 ビブロス遺跡の写真
城壁内の様子

内部の修復には時間がかかりそうな感じでした。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

遺跡の様子 ビブロス遺跡の写真
ビブロス遺跡の様子1

右側はヒクソス時代の城壁跡、
手前の土台しか残っていないものは青銅器時代の住居跡、
奥の柱はローマ時代のもの、この写真を撮った要塞は十字軍時代と年代が複雑です。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

遺跡の様子2 ビブロス遺跡の写真
ビブロス遺跡の様子2

右手の大きな遺構跡はバーラット・ゲバル神殿です。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

海辺にある建物 Othman Al Housami House ビブロス遺跡の写真
海辺にある建物
Othman Al Housami House

レバノンの伝統的な家屋になるようです。
余りの立地の良さに建ててしまったのでしょうか。
この付近から新石器時代の遺構が見つかっています。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

遺跡の南側 ビブロス遺跡の写真
遺跡の南側1

遺跡の南側に現在の町が開けています。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

遺跡の南側2 ビブロス遺跡の写真
遺跡の南側2

南側はオベリスク神殿など古い時代のものが多いです。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

オベリスクの神殿 Resheph (Obelisk) temple ビブロス遺跡の写真
オベリスクの神殿
Resheph (Obelisk) temple

小さなオベリスクが沢山あるだけの場所ですが、一番重要な場所です。
ここで有名な金が施された多数のブロンズ兵士像が発掘されました。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

小さな円形劇場 Roman Theater ビブロス遺跡の写真
小さな円形劇場
Roman Theater

海を背に小さな円形劇場があります。
どうやら城砦を建造する際に石材を持っていってしまったようです。
元々はどういった建物だったのでしょうか。
海側にはどういった壁があったのでしょうか。
立地的に色々と興味がわいてきます。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

石垣と野花 ビブロス遺跡の写真
石垣と野花

石垣なども少しずつ修復しているようです。
素朴な野草が多かったのが印象に残っています。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

遺跡の柱や石棺 ビブロス遺跡の写真
遺跡の柱や石棺

世界遺産となり、今後は整備が進んでいくのでしょうか。
訪れたときは世界遺産らしからぬ散らかりぶりでした。
(Ruins of Byblos, 15 Mar. 2001)

* 感想など *

世界遺産になっていて、聖書の言葉の語源となった遺跡。そう聞くと仰々しい感じや凄い遺跡といった印象を受けますが、いたって素朴な遺跡でした。

修復ものんびりとした感じで行われていて、明確な遺跡というか、柱がずらっと並んでいるような遺跡らしい遺跡を期待して訪れるとガッカリするかもしれません。ちょうどトルコのトロイの遺跡と同じ感じでしょうか。

遺跡が好きな人やのんびりとした風景が好きな人にはお勧めです。遺跡周辺も雰囲気がいいので色々と散策してみるといいかと思います。

レバノンの情景#6
ビブロス遺跡
Ruins of Byblos
-風の旅人- (2019年12月更新)

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