シナイ山(ジェベル・ムーサー)
Mount Sinai, 2001シナイ半島にモーセが神から十戒を授かったとされるシナイ山があります。シナイ山は聖書の出エジプト記やコーランに何度も登場する山で、ホレブ山(Horeb)とか、ジェベル・ムーサーとも呼ばれています。
シナイ山はセントキャサリン市の近くにある標高2,285メートルの山で、麓には現存する最古の修道院として世界遺産になっている聖カタリナ修道院があります。
実際のところシナイ山がどこかといったことは定かではありません。この山かもしれませんし、別の山かもしれません。出エジプト記に照らし合わせてみると、もっと北だったのではとも言われています。
そういった考古学的なことはともかく、シナイ山は巡礼者や観光客に人気となっていて、多くの人が山頂で朝日を見ようと暗い中を山を登っていきます。山頂で迎える朝日は思い入れのある人ほど神々しく感じるようです。
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* エジプト情景素写 *
山頂にある教会は16世紀にあった教会の遺構の上に建設されたギリシャ正教会です。この教会は石の聖書のタブレットとして使われたと考えられる岩を囲んでいます。
また「モーセの洞窟」と呼ばれる小さな洞窟があります。ここでモーセが十戒を受け取るのを待っていたそうです。残念ながら一般には公開されていません。
聖カタリナ修道院
シナイ山のふもとにある聖カタリナ修道院は現存しているキリスト教の修道院としては世界最古となり、ユネスコの世界遺産に登録されています。
教会が建てられている場所は、モーセが山に登るときに燃えているのに燃え尽きない「燃える柴」があったといわれる場所です。そこに4世紀頃「燃える柴」の礼拝堂が建てられました。その後、6世紀、恐らく565頃に皇帝ユスティニアヌス1世の命により修道院が建てられたとされています。
教会名はアレキサンドリアに住んでいたクリスチャンのキャサリン(聖カタリナ)に由来しているとか。これは伝説のようですが、伝説がこの地に人を呼び込むこととなり、一般的な名として定着したようです。
ここには世界で最も古く運営されている図書館があり、バチカン図書館に次いで世界で2番目に多くの世界中の写本や手記の収集物を収蔵しています。収蔵しているコレクションには、ギリシャ語、コプト語、アラビア語、アルメニア語、ヘブライ語、古代シリア語で書かれたものがあり、とても文化的価値が高いです。
また教会内には古い時代のイコンも多く残っていて、美術的な価値も高いです。
* 感想など *モーセが十戒を授かったシナイ山。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教にとって神聖な場所となっていて巡礼に訪れる人も多いです。
登山は、この付近にある岩山らしく垂直にそびえたつような感じなので、ひたすら階段を登る感じの登山になります。足に自信がない人はラクダで楽をするのもいいかと思います。それと山頂はかなり寒いのでしっかりとした防寒対策をしておいたほうがいいです。
十戒の映画を見た人には思い入れもあるでしょうが、日本人にはどちらかというとあまりなじみのない山となるでしょうか。ありきたりの山だと思って登るときついですが、モーセが十戒を授かった山だといった思い入れや、宗教心があれば、少しは足取りが軽くなることでしょう。
シナイ山(ジェベル・ムーサー)
Mount Sinai, 2001 -風の旅人- (2020年1月更新)