古代都市アレッポのスーク
Aleppo Old Souk(Al-Madina Souq), 2001アレッポ城の南西にはスーク(市場)が連なる旧市街があります。商品が並ぶ路地を多くの人が行き来する雑踏感は「これぞアラブの風景」といった光景です。
世界遺産には一括で「Al-Madina Souq(アル・マディーナ スーク)」として登録されていて、内部では「Khan al-Shouneh」「Souq al-Hiraj」「Souq al-'Atmah」「Souq al-Dira'」「Khan al-Wazir」などに分かれています。
細い路地でつながるこの市場の集合体は約13キロメートルの長さを持ち、屋根付きの市場としては世界最大規模の長さを誇っています。
大きさのさることながら古くからの建物を利用している部分が多く、洞窟のような石造りの建物だったり、屋根の高いキャラバンサライを利用していたり、野菜を売っていたり、肉を売っていたり、服を売っていたり、アレッポ特産のアレッポ石鹸を売っていたりと市場ごとに独特の雰囲気があります。
また重厚な古い石造りの建物では天井のドーム部分に明り窓が設置されていて、そこから薄暗いスークに入ってくる太陽の光芒がとても美しく感じました。
残念ながらアレッポはシリア内戦でも激戦地で、特にアレッポ城やその周辺の市場では激しい戦いが行われ、ほぼ壊滅状態になってしまいました。歴史的なキャラバンサライ(隊商宿)やモスクなども破壊され、また人々が商品を求めて行き交う光景もなくなってしまいました。
広告
* シリア情景素写 *

入り口に立つと通路の奥に何があるのかわからない高揚感を感じます。
まさに迷宮とか、ゲームのダンジョンに入るような気分になります。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

ここのエリアでは絨毯が売られていて、
実にアラブっぽい雰囲気です。
(Aleppo Old Souk, 26 Feb. 2001)

ここのエリアでは高い天井にある四角い穴から光がさしてきます。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

このエリアでは天井が独特な模様をしています。
お洒落なのようであり、蜘蛛の糸が張り巡らされているような不気味さも感じます。
その時の気分次第でしょうか。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

隊商宿、キャラバンサライを改造した建物で、とても天井が高いです。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

道の真ん中、交差点部に金物のポットが設置されていました。
噴水というパターンが多いのですが、
これはこれでアラブといった情緒があって良かったです。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

生鮮食品を扱っている通りです。
昔ながらの秤を使っている店が多く、情緒を感じました。
人が多く歩くのか、石畳が異常にすり減っています。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

適度に人が行き交う感じを撮ってみたのですが、ちょっとぶれてしまいました。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

上と同じ場所です。
私なりにアレッポのスークの中で気に入った場所の一つです。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

衣類を扱っている通りです。
通路の天井に衣類が吊り下げられている光景が面白く感じました。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

エキゾチックな衣類が並んでいて、面白く感じた場所です。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

この付近は特に通路が狭く感じました。
体が大きな人も多いので、すれ違うのも大変です。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

貴金属店が並ぶエリアもあります。
他とは違った独特な雰囲気を感じる通りです。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

お肉屋さん地帯です。写真では伝わらないですが、臭いが凄いです。
肉切り包丁を持っている人も多いので、
一人で歩いているとちょっと怖いです。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

このへんはバラックです。
普通の商店街といった雰囲気も好きです。
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)

スークの外側もやっぱり賑わっています。
ファッション関係のお店には多くの女性が訪れていました。
中東の女性はすっぽりと衣類に覆われている印象ですが、
実は脱いだら凄いんです。
見えない部分にもきちんとおしゃれをしていて驚きます。(女性観光客の談)
(Al-Madina Souq, 26 Feb. 2001)
日本でも渋谷ダンジョンとか言われるように、町が増改築を繰り返すと迷宮化していきます。ここもどんどんと広がり、収拾がつかないほど大きくなってしまったようです。
おまけにアレッポのスークは屋根の付いた建物や路地が続くので、歩いていると方向感覚を失っていきます。「迷路のような」といった表現がよく使われるのも歩いてみて納得です。
ここの凄いのは市場を形成している建物の中に中世のキャラバンサライなども混ざっていて、異国情緒満点というか、ダンジョンの雰囲気満点なところです。ゲームの中の世界を体験できます。
自分でどこのキャラバンサライを訪れるとか、どこにある有名店でアレッポ石鹸を購入するといったクエストを設定すれば、散策も楽しいものとなるでしょう。
そういった楽しみやワクワク感が半端ない場所でしたが、内戦で壊滅的な被害を受けてしまったのがこの地域です。内戦が終わってもこの風景が戻ってくることはありませんが、再びかつての賑わいがこの場所に戻ってくることを切に願っています。
古代都市アレッポのスーク
Aleppo Old Souk(Al-Madina Souq),2001 -風の旅人- (2019年12月更新)