古代都市アレッポのスーク
Aleppo Old Souk(Al-Madina Souq), 2001アレッポ城の南西にはスーク(市場)が連なる旧市街があります。商品が並ぶ路地を多くの人が行き来する雑踏感は「これぞアラブの風景」といった光景です。
世界遺産には一括で「Al-Madina Souq(アル・マディーナ スーク)」として登録されていて、内部では「Khan al-Shouneh」「Souq al-Hiraj」「Souq al-'Atmah」「Souq al-Dira'」「Khan al-Wazir」などに分かれています。
細い路地でつながるこの市場の集合体は約13キロメートルの長さを持ち、屋根付きの市場としては世界最大規模の長さを誇っています。
大きさのさることながら古くからの建物を利用している部分が多く、洞窟のような石造りの建物だったり、屋根の高いキャラバンサライを利用していたり、野菜を売っていたり、肉を売っていたり、服を売っていたり、アレッポ特産のアレッポ石鹸を売っていたりと市場ごとに独特の雰囲気があります。
また重厚な古い石造りの建物では天井のドーム部分に明り窓が設置されていて、そこから薄暗いスークに入ってくる太陽の光芒がとても美しく感じました。
残念ながらアレッポはシリア内戦でも激戦地で、特にアレッポ城やその周辺の市場では激しい戦いが行われ、ほぼ壊滅状態になってしまいました。歴史的なキャラバンサライ(隊商宿)やモスクなども破壊され、また人々が商品を求めて行き交う光景もなくなってしまいました。
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* シリア情景素写 *
* 感想など *日本でも渋谷ダンジョンとか言われるように、町が増改築を繰り返すと迷宮化していきます。ここもどんどんと広がり、収拾がつかないほど大きくなってしまったようです。
おまけにアレッポのスークは屋根の付いた建物や路地が続くので、歩いていると方向感覚を失っていきます。「迷路のような」といった表現がよく使われるのも歩いてみて納得です。
ここの凄いのは市場を形成している建物の中に中世のキャラバンサライなども混ざっていて、異国情緒満点というか、ダンジョンの雰囲気満点なところです。ゲームの中の世界を体験できます。
自分でどこのキャラバンサライを訪れるとか、どこにある有名店でアレッポ石鹸を購入するといったクエストを設定すれば、散策も楽しいものとなるでしょう。
そういった楽しみやワクワク感が半端ない場所でしたが、内戦で壊滅的な被害を受けてしまったのがこの地域です。内戦が終わってもこの風景が戻ってくることはありませんが、再びかつての賑わいがこの場所に戻ってくることを切に願っています。
古代都市アレッポのスーク
Aleppo Old Souk(Al-Madina Souq),2001 -風の旅人- (2019年12月更新)