アルラーバ城砦
Qala'at Al-Rahba(Citadel of al-Rahba), 2001デリゾールの南東にあるマヤディン(Mayadin)市の西の丘に中世のイスラム教徒の要塞、アルラーバ城砦(Qala'at Al-Rahba)があります。
この地の城はユーフラテス川沿いにあり、サラディンのアイユビッド王朝が支配してましたが、1157年の地震で倒壊し、現在の場所に再建されました。
モンゴル勢力から度重なる襲撃を受け、城は強化されていきました。マムルーク朝に引き継がれると、ラッカからアル・ラーバへ守備の拠点が移され、城も強化されます。
その後のオスマントルコ時代になると、モンゴル勢力の後退、交易路の変更等があり、城は使われなくなりました。放棄された城は地元の人がヤギ小屋に使用していたそうです。
現在も城は残っていますが、風化が激しく、自然に帰っている最中にといった感じです。城壁は元の形を連想できないほど崩れていて、城内の建物もボロボロです。
この城塞の凄いのは元の丘から切り出されるように堀が造られていることです。元々の地形がどうだったのかわかりませんが、凄まじい労力を必要としたに違いありません。
また、面白いことに城壁は二重になっていて、上から見たら野球のホームベースのような形をしています。
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* シリア情景素写 *

Qala'at Al-Rahba
城壁はボロボロですが、丘の上に堂々とした姿で聳えています。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

隣の丘から眺めてみた図です。
砂で埋まっていますが、
恐らく昔は垂直に切られた岩盤の上に建てられていたはずです。
これだけの岩を丘から切り出すのは凄い手間です。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

砂で滑りやすい丘を登ってみると、かろうじて壁が残っていました。
まるで鳩の家のようです。
根元部分の浸食がひどく、強い風の日に倒壊してしまいそうです。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

この部分は城壁にかなりの厚さがあります。
ただ全てが触ると砕けそうな脆さです。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

まるで賽の河原状態。
あと何年この状態で保てるでしょうか。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

眼下には麦畑が広がっていました。
奥の緑の多い場所がユーフラテス川です。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

ベドウィンの人たちでしょうか。
城を背景にするとカッコいいです。
それにしてもよく城の岩石部分を丘から切り離したものです。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

お買い物中。
テントにしっかりとアンテナが取り付けられています。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

少し離れた場所から木を入れてみたりして。
どう撮ってもカッコいい城です。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

テントがいくつもあり、砂漠らしい風景です。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

日が傾き、埃っぽい土地らしく少しかすんだ感じとなりました。
(Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

デリゾールへ戻るバスを拾ってもらいました。
(Near The Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)

給油の道具などが夕日を浴びていい感じでした。
(Near the Qala'at Al-Rahba, 16 May. 2001)
荒涼とした砂漠の中にある城。そういったイメージがぴったりくるのがここアルラーバ城砦です。
パルミラのアラブ城塞もそういった雰囲気がありますが、ここは砂漠中で自然に朽ちている感じや、周りにテントを張って暮らす人たちがいて、そういった雰囲気を引き立てていました。
アルラーバ城砦
Qala'at Al-Rahba, 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)