シリア東部の情景#6
アルラーバ城砦
Qala'at Al-Rahba(Citadel of al-Rahba), 2001
デリゾールの南東にあるマヤディン(Mayadin)市の西の丘に中世のイスラム教徒の要塞、アルラーバ城砦(Qala'at Al-Rahba)があります。
この地の城はユーフラテス川沿いにあり、サラディンのアイユビッド王朝が支配してましたが、1157年の地震で倒壊し、現在の場所に再建されました。
モンゴル勢力から度重なる襲撃を受け、城は強化されていきました。マムルーク朝に引き継がれると、ラッカからアル・ラーバへ守備の拠点が移され、城も強化されます。
その後のオスマントルコ時代になると、モンゴル勢力の後退、交易路の変更等があり、城は使われなくなりました。放棄された城は地元の人がヤギ小屋に使用していたそうです。
現在も城は残っていますが、風化が激しく、自然に帰っている最中にといった感じです。城壁は元の形を連想できないほど崩れていて、城内の建物もボロボロです。
この城塞の凄いのは元の丘から切り出されるように堀が造られていることです。元々の地形がどうだったのかわかりませんが、凄まじい労力を必要としたに違いありません。
また、面白いことに城壁は二重になっていて、上から見たら野球のホームベースのような形をしています。
* シリア情景素写 *
* 感想など *
荒涼とした砂漠の中にある城。そういったイメージがぴったりくるのがここアルラーバ城砦です。
パルミラのアラブ城塞もそういった雰囲気がありますが、ここは砂漠中で自然に朽ちている感じや、周りにテントを張って暮らす人たちがいて、そういった雰囲気を引き立てていました。
シリア東部の情景#6
アルラーバ城砦
Qala'at Al-Rahba, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)