世界情景素写
シリア東部の情景#5

マリ遺跡と国境の町ブカマル

Mari ruins & Abu Kamal, 2001

マリ王国の王都だった都市遺跡が、デリゾールの南東約120キロ、イラクとの国境の町アブカマルの北西11キロのユーフラテス川の西岸にあります。

マリは紀元前3000~1700年頃に栄えていました。ちょうど同じころに栄えていたのがアレッポの南にあるエブラで、マリとは同じ交易都市としてライバル関係にあり、覇権争いをしていたと考えられています。

一度衰退したものの、アムル人のもとで再興され、紀元前1900年頃から始まった第二次黄金時代にはユーフラテス上流のトルコ領付近まで領土を拡大していきました。この時代に造られたマリの王ジムリ・リムの宮殿は300以上の部屋があったとされ、その評判は近隣諸国にとどろいていました。現在発掘され、遺跡内での最大の見どころとなっています。

その後、バビロニアのハンムラビによってマリは破壊されます。王室の図書室もその際に埋まったようで、遺跡の発掘の際に書簡や行政文書、祭祀の記録など楔形文字のアッカド語の書かれた25,000枚以上の粘土板(マリタブレット)が見つかりました。このタブレットによって多くの歴史的発見がありました。

とても歴史がある都市遺跡で、発掘品などは素晴らしいのですが、遺跡自体は痕跡ばかりで、見るべきものは少ないです。

このマリからはイラクの国境までは20キロほど。せっかくなので国境の町アブ・カマルにも訪れてみました。周辺に大きな都市遺跡があるようにアブ・カマルは古くから穀物や綿花栽培などの農業が盛んな土地です。国境にも近いしデリゾールのような活気があるのかなと期待して訪れたのですが、思ったほど活気がありませんでした。

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* シリア情景素写 *

マリ遺跡
マリ遺跡

辺り一面に遺構の土台部分があるといった遺跡です。
(Mari [Tal Hariri], 16 May. 2001)

王宮跡付近 マリ遺跡
王宮跡付近

なんとなくぺトラ調で。
この辺りはきれいに整備されています。
(Mari [Tal Hariri], 16 May. 2001)

ジムリ・リムの宮殿 マリ遺跡
ジムリ・リムの宮殿

ジムリ・リムの宮殿屋根が取り付けられている重要な部分です。
でも地層の見学をしている感じです。
(Mari [Tal Hariri], 16 May. 2001)

イラクへ続く幹線道路
イラクへ続く幹線道路

デリゾールからユーフラテス川沿いに続く道です。
(Near the Mari, 16 May. 2001)

途中の風景
途中の風景

何か見えたので写真を撮ってみました。
(Near the Mari 16 May. 2001)

ブカマルの町で
アブカマルの町で1

屋台が出ている通りです。
全体的に寂れた感じがする町でした。
(In Al Bukamal, 16 May. 2001)

ブカマルの町で2
アブカマルの町で1

スーク(市場)にも訪れてみましたが、閑散とした感じでした。
(In Al Bukamal, 16 May. 2001)

* 感想など *

ドゥラ・エウロポスの後にマリ遺跡を訪れました。ユーフラテス川沿いのスケールの大きなドゥラ・エウロポスを見た後だったので、ここは・・・、なんだか工事現場の様・・・。というのが素直な感想となってしまいました。順番を逆にすればよかったです。

まだまだ発掘の途中なので今後に期待・・・と思いたいのですが、内戦で盗掘が相次ぎ、遺跡内が穴だらけといった惨状になっているようです。

シリア東部の情景#5
マリ遺跡と国境の町ブカマル
Mari(Tal Hariri) & Al Bukamal, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)

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