パルミラ遺跡
Site of Palmyra, 2001シリアの首都ダマスカスの北東約215km、砂漠の真ん中にあるオアシスにタドルムの町があり、そこに世界遺産となっているパルミラ遺跡があります。
パルミラは東のユーフラテス川沿いに栄えたメソポタミアやペルシャといった地域と、ダマスカスや地中海の港をつなぐ交易路の要所となっていて、砂漠を越える隊商隊にとっては重要な休息地点となっていました。
砂漠の中継都市として発展したパルミラは、紀元前にはセレウコス朝、紀元後にはローマに組み込まれます。特にヨルダンのナバテア王国がローマに征服された106年以降は交易の範囲が広がり、シルクロードの交易都市として町が発展し、繁栄を極めました。
サーサーン朝ペルシャの勢力が大きくなり、ローマの勢力が衰えると、その混乱に乗じてパルミラは独立し、パルミラ王国を興します。しかし、ローマ皇帝のアウレリアヌスの怒りを買い、272年に攻撃を受け、パルミラは陥落します。その時に町は廃墟となり、その後再建されることがありませんでした。
歴史に埋もれてしまった町でしたが、多くの遺構がきれいに残った状態で発見されると、その素晴らしさに世界中から多くの観光客が訪れる人気の遺跡となります。
しかしながら交通の要所というのは現在でも同じことで、シリア内戦では東部を中心とした諸勢力にとっては押さえておきたい要所となり、戦闘が激化。ISに占領され、意図的にベル神殿や凱旋門などの遺構が爆破されてしまいました。
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* シリア情景素写 *
* 感想など *今まで多くの遺跡を訪れました。その中で一番お勧めな遺跡は?と問われれば、ここパルミラ遺跡をあげます。
柱や建物がある程度残っているので遺跡自体の見ごたえがあるし、広いけど広大ではないし、砂漠にあることで遺跡らしい雰囲気を感じられ、周囲の視界がいい上に遺跡全体を眺められる場所もあり、アクセスもそんなに難しくないし、これぞ遺跡の中の遺跡といった感じです。
遺跡に興味がない人でも楽しめ、訪れたことに満足できる遺跡だと言い切れます。入場無料なので好きな時に気軽に入れるのも写真が好きな人にはうれしい部分です。私自身もとても好きな遺跡です。
残念ながら内戦で大きな被害が出てしまいました。詳しくは分かりませんが意図的に多くの遺構が爆破されてしまったようです。再び活気のあるパルミラに戻ってほしいと願いますが、かなりの時間が必要となりそうです。
パルミラ遺跡
Site of Palmyra, 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)