甲府盆地ミステリーツーリング
#6 スポット4:山高神代桜
<2008年4月>
甲府盆地の巨石にまつわる神社や遺跡などを巡るミステリーツーリングを行ってみました。(全8話)
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6、ミステリースポット4:山高神代桜
昼食後に向かったのは、日本三大桜とたいそうな呼び方をされることが多い山高神代桜。普通の観光地といえばそうだけど、ミステリーツーリングと名付けた今回のツーリングでは、桜のミステリースポットと呼ぶ方がふさわしい。
この山高神代桜の存在は前々から知っていたけど、桜の咲いていない時期に訪れても単なる老木。たいして面白味がない。今回はうまい具合にちょうど桜の時期に重なったので、みどりや食堂のチャーシューメン同様に満を期してといった感じで寄ってみた。
ちょうど見頃の日曜日だったこともあって、国道20号から神代桜へ続く道には凄い車の列ができていた。おそらく駐車場まで1キロくらいは並んでいたはず。しかも甲府側と諏訪側と両方から並んでいたので、合わせると2キロ、とまではいかないにしても、もの凄く長い車の行列となっていた。
そこまでしても見たいという日本人の桜愛にミステリーを感じつつ、バイクなので横をすり抜けて、駐輪場にバイクを停めた。
神代桜があるのは実相寺の敷地内。駐車場から寺までの間には出店が沢山並んでいて、賑やかな春祭りといった雰囲気だった。
周辺には有料駐車場もたくさん設置されていて、この時期だけ桜特需に沸きあがるといったバブルな雰囲気が漂っていた。農家のおじいちゃんたちも臨時収入にホクホクというやつかな。
人の流れとともに歩いていくと、実相寺に到着。境内の外には畑のように広い花壇があり、一面に水仙やチューリップなど花が植えられていた。境内にある桜と合わせると、とても美しい風景となる。
地元のボランティアが手入れしているようだが、この広さだと大変な労力だろう。駐車料金はこういったところに還元され、地域として神代桜の価値を高めているのだろうか。
実相寺の境内にあるのが、この賑わいの主役、山高神代桜。伝説では、神話の武将日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の折に植えたとされ、それが神代桜という名の由来となり、武川町山高の実相寺境内にある事から、一般的に山高神代桜と呼ばれている。
大正11年に日本の桜を代表する名木として国の天然記念物第1号の指定を受けたのが、ここ山梨県北杜市武川町の「山高神代桜」、福島県田村郡三春町の「三春滝桜」、岐阜県本巣市根尾の「根尾谷淡墨桜」で、分かりやすく日本を代表する名桜がこの三本の桜となる。
実相寺は地方の小さなお寺といった感じだった。こんな田舎のお寺でも、神代桜といった話題があればこれほどまで人が来るものなのか、と驚いてしまう。国の天然記念物の力は恐ろしい。
でも桜の咲いていない時期はとても静かなんだろうな。桜と同じで一年に一回、短い時期でも華があるのは寺としてもメリハリができて楽しそう。やっぱり話題性は重要かもしれない。
地方で寺の住職している知人も多いので、次に会ったときあれこれとアドバイスをしてみようかな。「君の寺も話題が必要だよ。今の時代は特徴がないと生き残れないぞ・・・」って大きなお世話だな。嫌われそうだ。
境内の片隅に天然記念物に指定されている神代桜があり、混んでいるだけあってまさに見頃、満開だった。
案内板によると樹齢は推定1.800年以上の古木で、樹種は日本中部特有のエドヒガン種。現在の幹囲は11メートル、基幹の高さは2.4メートルとなっている。かつては高さ30m、枝張り31mの日本最古にして最大の桜との評判だったようだ。
しかし現状は枝には全て添え木がされていて、本体(基幹)は上部がなく、いびつな木の塊に桜の枝をぶっ刺したというような木のお化け状態。日本三大桜と呼ぶにはちょっとみすぼらしい姿だった。
なんでも昭和34年の台風で主幹が折れてしまい、その後も雪や風により徐々に幹や枝が失われていったようだ。毎年三大桜というのを選んでいれば、三大桜という呼び方に価値があるとは思うけど、この状態では昔の三大桜だったという方が適切に思える。
伝説では日本武尊が手植えしたという神代桜。この伝説は微妙なところだけど、多くの枝が落ち、ボロボロのような状態になりながらも、これだけの多くの花を咲かせていることにとても驚かされた。
植物の神秘・・・、いや、「これもやっぱりミステリーだ。」と締めくくろうとしたら、先に後輩に「今日訪れた中で一番驚きました。凄いですね。」と言われて立ち場なし。
でも温暖化やら異常気象やらで気候が安定しなく、年老いた植物には大変なご時世の中、枯れる前に伝説的な神代桜が満開なところを見ることができ、本当によかったと思えた。
*Info* 神代桜(実相寺) 山梨県北杜市武川町山高2763(Google地図)
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