風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

甲府盆地ミステリーツーリング
#4 スポット3:石森山

<2008年4月>

甲府盆地の巨石にまつわる神社や遺跡などを巡るミステリーツーリングを行ってみました。(全8話)

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4、ミステリースポット3:石森山

大石神社から南へ6キロほど。中央本線の山梨市駅から南東へ1キロ弱のところにある石森山公園が次の目的地だ。

地図を見ながらバイクを走らせると、今までと違ってあっけないほど簡単に到着することができた。既に2つものミステリーを解決したので、我々探検隊もかなりレベルアップしているようだ。

そう思いたいところだが、ここは平らな甲府盆地にあって、不自然な感じでこんもりとした丘となっていた。だから遠目から「あれが石森山だ。」とすぐに発見することができ、迷わなかった。

いや、もしかしたらロールプレイングゲームのように立石神社と大石神社を訪れた人には丘が高く見えるような仕掛けがあったり、古代パワーで丘が光って見えるようになったのかもしれない。

どちらだろう。後輩に尋ねてみたが、「面白くないです。」と、にべもない。

石森山の案内図の写真
石森山の案内図

石森山はまるで古墳のような感じの丘だった。高さは約13m程あり、周囲が平坦なので、この丘の立地には不自然さを強く感じてしまう。

丘には大きな石が多いことから、山梨に超古代文明の酋長の墓を発見とか、古代文明の巨大遺構を発見・・・・とフェイクニュースを流せば、多くの人が「はい」と信じてしまいそうだ。

案内板の石森山のいわれを読むと、石が森のようにある山・・・ではなく、奇岩と森があるから石森山となったとか。

そしてこの不自然な丘は古くから人々の目に止まったようで、日本武尊が立ち寄ったという言い伝えやデイタラボッチの伝説なども残っている。そう考えると凄い場所に思える。

立地や名前、伝説からしてミステリーが満載の予感。これからの丘の探索に期待が高まってくる。

山梨岡神社の写真
山梨岡神社

この石森山には丘の真ん中あたりに山梨岡神社があり、丘全体のバランスをとっているかのようだ。

訪れてみると、ちょうど桜の時期で、社殿の赤い屋根と桜が見事に調和していてきれいだった。

最初に訪れた立石神社も赤い屋根と桜が見事だったな。この地域の人は赤が好きなのかな。武田の赤備えの名残・・・ってやつか。

山梨岡神社の拝殿の写真
山梨岡神社の拝殿

まずは拝殿で参拝しておこう。変な奴が来たと、インディージョーンズのように石が転がってきたら面白い・・・、いや大変だ。

お参りしていると神社の下の広場では地域の女子たちが何やら変な踊りをしている。ダンスとか、民謡にしては変だ。これはもしかして黒魔術か・・・。この地域には凄い迷信が伝承されているのかもしれない。

何をやっているのか尋ねてみたいところだが、そろそろおじさんと呼ばれる年になるので、不審者と間違われると大変。陰からこっそりと観察・・・、これも怪しいおじさんになってしまう。気になるけど先を急ごう。

後で知るところによると、今日は信玄公まつりの日だったとか。そしてこの時期の山梨は春祭りが盛んなようで、おそらく神楽の舞いの練習をしていたのではないかと思う。

石森山頂上の岩の写真
石森山頂上の岩

神社から更に丘の上に登っていった。そこまで高い丘ではないし、てっぺんが見えているので今までよりも足取りが軽い。

丘の一番高い部分に到着してみると、小さな広場になっていて、周囲には大きな岩が幾つかあった。岩の中には上に社が置かれているものもあり、このエリアからは神域といった雰囲気を強く感じる。きっと古代においても祭礼場だったのだろう。

祠と石灯篭の写真
祠と石灯篭

この丘の最大の見所となっているのが、東側にある朝日雀という岩だ。この朝日雀は二つで対になった岩で、間はきれいに隙間が開いている。そしてこの隙間をまっすぐに伸ばすとその方向は・・・・、なんと真東になるとか。

探検隊の必需品であるコンパスを持参してきたので、試しに測ってみると実際にその通りだった。横にいる後輩も「へぇ~凄い!」と今日一番驚いた顔をしている。

そうか、ようやく後輩も石のミステリーの楽しさに目覚めてくれたか。感慨深く思っていたら、「コンパスを持ってきているんですね。」と、私がコンパスを持ってきていることに感動しているだけだった。

石森山の朝日雀の写真
朝日雀

こういった方向を表す石を方位石といい、ピラミッドには欠かせない石となっている。方位石がここにあるとは・・・、ここもまたピラミッドに匹敵するような場所だったに違いない。

でもな、う~ん。やっぱり・・・、なんかとってもいい加減な感じがする。隙間っていっても軽く五度以上の誤差はあるだろうし、第一にこんな丸い石で正確な方向を測定するだろうか・・・。

真東にこだわるならきちんと岩を削って直角を作るはず。もしかしたら夏至から冬至までの角度を網羅している優れものだとか・・・。

いやいや、なんというか、これって夫婦岩って名前にした方がいいんじゃないの?もしくは丘を部分的にピラミッドのような四角錐に整え、山梨ピラミッドにしてしまったらどうだ。そのほうが訪問者が増えそうな気がする。

桃岩と桜の写真
桃岩と桜
神社の巨大草鞋の写真
神社の巨大草鞋

丘の上を一回りした後、下の神社まで戻ってきた。神社の下にも丸っこい石が割れている桃岩があり、ちょうど桃の花が咲き始めている時期だけに旬な岩といった感じ。

それにしてもなんでこんな丸い砲弾のような丸い岩が丘の上にあるの?転がって丸くなったのなら丘の上にあってはおかしい。それがやっぱり不思議に感じる部分。運動会の玉ころがしのように転がしてきて並べたとか。

神社下の池はダイダラボッチの足跡だという言い伝えがあり、神社には巨大な草履が奉納されていた。実はダイダラボッチの運動会が行われたとか・・・。

石森山、阿夫利神社の石群の写真
石森山、阿夫利神社の石群

丘の一番下には多くの岩が積みあがっている阿夫利神社がある。ここは積み木のように岩が積みあがっていて、少し石造りの遺跡っぽい雰囲気が感じられる。

もしかしたらこの場所はストーンヘンジのような神殿があり、それが崩れてしまったのかもしれない。掘り返せばきっと考古学的な発見があるにちがいない。あるいは石を組み直せばお宝の場所を指し示すかも。

頑張る後輩の写真
頑張る後輩

考古学発見では後輩は協力的ではないのは今まで訪れた2つの神社で経験済み。やっぱり黄金の力に勝るものはない。

後輩に「武田の隠し財宝がここに眠っているかもしれん。岩を動かしてくれ。」と頼むと、「では、少し下がっていてください・・・」と岩にゆっくりと近づいていき、念力超能力で岩を動かし始めた。って、本当に動いたら腰抜かすけど・・・。

岩と桃畑の写真
岩と桃畑

ここ石森山は丘全体に色んな岩があり、独特な景観を作っていて楽しい場所だった。後輩もここには不満がなかったようで、あまり文句がない。さっき岩を動かせなかったことを恥じているだけかもしれんが・・・。

総合的に考えると、ここだけ丘になっていて、岩がやたらと多く、しかも角の取れた岩ばかりというのはやはり不自然な感じがする。だからミステリーという言葉がふさわしい場所には違いないんだけど・・・、どうもすっきりしない。

案外この付近を開墾する際に邪魔な岩を全部ここに集めただけだったりして・・・。なぞはなぞのままでいい事もあるからな。

*Info* 石森山公園 山梨県山梨市下石森995(Google地図

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