地中海沿岸の情景#7
ウガリット遺跡(ラス・シャムラ)
Ugarit (Ras Shamra), 2001ラタキアの少し北にあるウガリットは古代都市国家跡の遺跡です。
ウガリットは紀元前1450年頃から紀元前1200年頃にかけて最盛期を迎えた国際的な港湾都市国家であり、古代の中東において主要な経済の中心地でありました。
ウガリットの遺跡から発掘された粘土板から解読されたウガリット文字は原シナイ文字に続く世界最古の音素文字の一つであり、アルファベットの原型とも言われています。
粘土板の文書にはシュメールや古代エジプト、ヒッタイトなどの文字もあり、ウガリットがエジプトや小アジア、そしてメソポタミアといった主要な大国と貿易をする国際的な都市だったことがうかがえます。
繁栄を極めていたウガリットでしたが、紀元前1192年から1190年の間に海の民からの攻撃で町は破壊され、そのまま破棄され、歴史から埋もていきました。
世界でも古い都市のうちの一つなのですが、3千年前の都市の遺構ということで、十字軍の城とかローマの遺跡のような観光客が喜ぶ見所はありません。
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* シリア情景素写 *
* 感想など *ヒッタイトか、メソポタミア、エジプトとか、紀元前に栄えていた大きな古代文明の名を聞くと、壮大なロマンを感じます。でもそういったロマンを感じながら実際にそういった場所を訪れると、失望することが多いです。
当たり前ですが、3千年前のものがちゃんと残っているはずはありません。エジプトのピラミッドが特別なのです。ここもやっぱりそういった古代の文明の遺跡で、解説もほとんどなく、勝手に想像を膨らませるしかありませんでした。
歩きながら思うのですが、考古学者はつくづく凄いなと。よくこれだけの材料から様々なことを想像し、昔の町の様子を構築できるものです。
ウガリット遺跡(ラス・シャムラ)
Ugarit (Ras Shamra), 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)