地中海沿岸の情景#5
ラタキアの町で
Cityscape of Latakia, 2001
ラタキアはシリアの地中海岸沿岸にある最大都市で、港湾都市としてもシリアで一番です。近郊の海岸にビーチも多く、ビーチリゾート地としての地位もシリアで一番です。スカーフをしていない女の人の姿も多く目にし、他の都市に比べて少し明るい雰囲気を感じました。
ラタキアには紀元前2千年紀のフェニキアの時代から町があり、紀元前4世紀のセレウコス朝の時代に港湾都市として大きく町が整備されました。
その後は、ローマ、東ローマ帝国、アラブ人やファティマ人、セルジューク朝と目まぐるしく支配者が変わります。そして1097年に派遣された第1回十字軍によってアンティオキア公国の一部となり、その後はアイユーブ朝のサラディン、マムルーク朝、オスマン帝国と再び目まぐるしく支配者が変わっていきます。
第一次世界大戦後はフランスに割り当てられ、アラウィ人の自治領となり、1930年から1936年までフランスが統治する名目上の独立国・ラタキア国の首都となっていました。1944年にはシリアに再統合され、現在に至ります。とんでもなく波乱に満ちた歴史を持つ町です。
支配者が変われば町が壊されるのが世の常。歴史が多すぎる分、町には歴史的な遺跡はほとんど残っていません。またアサド大統領の出身地であるというのも町の歴史に付け加えるべきでしょうか。
* シリア情景素写 *
* 感想など *
複雑な歴史を持っているためか、町中には遺跡みたいなものは少なく、シリアの中でもラタキアだけ少し違った雰囲気を感じました。海岸の雰囲気などはベイルートと被る部分が多かったです。
地中海沿岸の情景#5
ラタキアの町で
Cityscape of Latakia, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)