マルガット城(マルカブ城)
le Margat (Qala'at Al-Marqab), 2001シリアの地中海側の山の上には多くの十字軍時代の城があり、キャッスル・ベルトと呼ばれています。その中でも規模が大きいのがマルガット城です。
シリアの地中海岸を代表する都市、ラタキアとタルトゥースのちょうど中間ぐらいにバニヤースの町があり、その約6km南、海岸から2kmの丘の上にマルガット城があります。標高は360mあるので、丘というよりは山の上といった表現が正しいでしょうか。
ビザンチン帝国の拡大に対する防御として、初期のイスラム時代に建設されたのがマルガット城の始まりです。
その後、支配者が十字軍と代わり、この城もクラック・デ・シュヴァリエやサフィータのシャステル・ブラン同様にテンプル騎士団の支配下に置かれました。その時に城の増築が行われ、巨大で堅牢な城塞となりました。
ここよりも北にあるサラディン城は英雄サラディンが陥落させたことで知られていますが、ここはサラディンさえも落とせませんでした。
現在でも比較的城壁が形よく残っていて、立派な姿を見ることができます。黒い石を使った姿はクラック・デ・シュヴァリエとは違った雰囲気で、美しというより無骨に感じます。
ただ城内は結構ボロボロで、クラック・デ・シュヴァリエとサラディン城と3つの城で世界遺産の登録を目指しましたが、城内の整備を理由にマルガット城だけ登録がかないませんでした。その後、修復に力を入れているようで、徐々に形が整ってきているといった感じです。
ちなみに、フランス語でマルガット城、アラビア語で「見張り塔」を意味するマルカブ城となります。どちらの表記も見かけ、少しややこしいです。クラック・デ・シュヴァリエやシャステル・ブランはフランス語の名が一般的なので、ここもマルガットの方が整合性があるでしょうか。
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* シリア情景素写 *
* 感想など *クラック・デ・シュヴァリエを見た後だったので、訪れても面白くないのではと思っていたのですが、なかなかどうして凄い城でした。武骨な感じのする黒色のせいか、迫力を感じました。
バックパックと一緒にラタキアに移動中に立ち寄ったので、城しか訪れませんでしたが、今思えば近くの丘とか、下の町からこの独特な城の姿を眺めればよかったなと後悔しています。
マルガット城(マルカブ城)
le Margat (Qala'at Al-Marqab), 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)