シャイザール城
Qala'at Sheizar, 2001ハマの北西25kmにシャイザール(ムハルデ)の集落があり、同じくハマを流れているオロンテス川沿いの丘にシャイザール城砦の遺構があります。
オロンテス川のさらに上流にはアパミアがあり、ここシャイザールはちょうどハマとの中間地。この地は要害の地としてアラブ人同士、そしてアラブ人とビザンチンと古くから争いが続きました。
十字軍の時代になると、十字軍からの攻撃を防ぐためにシャイザール城砦が使われました。
戦で、また地震で倒壊しては再建を繰り返されましたが、マムルーク朝の修復を最後にシャイザール城は放置されました。
現在、入り口付近は比較的形が残っていますが、丘の上に上がってみると、ほとんど何もないといった感じです。多くの石材は下の集落に使われてしまったとか。
残っている遺構も全体的に倒壊が進み、城塞の横幅が50mしかないというのもあって歩きにくい状態です。ただ城塞からの眺めは素晴らしく、集落側では広大な平野を眺められ、反対側のオロンテス川では深い峡谷を眺めることができます。
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* シリア情景素写 *

城の手前の道沿いには古い石橋がかかっています。
とても素朴な風景です。
おそらくオスマントルコ時代のものと思われます。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

集落の背後に城砦があり、美しい光景となっていました。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

集落の背後にある丘の上に城があります。
全体的に形が整っていなく、崩れた岩山といった印象です。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

城のメインゲートです。
趣きのある石橋を渡って入城します。
ゲートは上部が欠けているもののよく修復が施されています。
入り口から見ると堅牢な城砦といった感じで、とても威厳があります。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

硬い岩盤の上に石垣が造られています。
石垣部分はあちこちで崩れ、かなりもろくなっています。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

入り口のゲートの上あたりです。
何とか形をとどめているといった遺構が多いです。
いくつかのアーチは形を留めていましたが、
上を歩くと崩れそうです。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

石材も少ないので修復は無理そうな感じです。
奥には新しめの建物が建てられています。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

一番高いところから。
眺めはいいです。
少しマチュピチュっぽい感じがします。
要塞の幅はわずか50mで、長さは約470mです。
とても細長い城郭です。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

かろうじて残っているといった感じで、
このへんは今にも壊れそうです。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

一番南側には大きな建物が残っています。
この先は防御のために人工的な溝が造られています。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

新しめの建物があり、中に入ってみると空っぽでした。
比較的新しく、監視塔として最近まで使われていたのでしょうか。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

なんとなくこういう写真が好きなので。
地平線まで見渡せます。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

町の反対側も断崖絶壁です。
こちら側は深い峡谷になっていて美しいです。
同じオロンテス川ですが、水車がのんびりと回るハマの町とはえらい違いです。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

城壁の上で少年がたそがれていました。
何を思っているのでしょう。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)

ここは昔から城下町として栄えていたのでしょう。
川沿いの町なので畑の緑が多いです。
(Qala'at Sheizar, 4 Mar. 2001)
シャイザール城にはあまり形を留めている遺構は残っていませんでしたが、細長い丘の上に立地している様子が独特に感じました。ハマの町では水車が点在し、のんびりと流れる印象があったオロンテス川が、城塞横で深い峡谷を形成しているのにも驚きました。
この城塞は両脇が断崖となっているので、城内を散策していると山の尾根を歩いているようだし、入り口の反対側は切り通しになっているので、感覚としてはプチサラディン城といった感じでしょうか。
シャイザール城
Qala'at Sheizar, 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)