風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

房総半島最南端初日の出ツーリング
#6 三浦半島への船旅

<2012年1月>

今年の初日の出は房総半島南端の野島崎に一人でバイクに乗って出かけました。(全6ページ)

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8、三浦半島への船旅

天気も回復したし、せっかく遥々房総半島の南部に来ているのだから色々と見て回りたい。そう思う反面、早く家に帰りたいという気持ちも強かった。

一人でバイクを走らせていると、感動を分かち合える人がいない。もうそれなりに見て回ったので、これ以上見て回ったとしても淡々とした消化作業になりそうだ。

それに来る途中で雨に降られたし、そもそも夜中から動いているので疲れてきた。

結局、早めに帰ってゆっくりしたい、といった気持ちの方が勝り、館山からフェリー乗り場のある金谷まで一気に向かうことにした。

今から急げば乗る予定にしていた便よりも一つ前の便にギリギリ間に合いそうだというのも、その決定を後押しした。

地理院の地図
東京湾の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

急いで、といってもタカが知れているが、寄り道もせずに一気に走り、フェリー乗り場に到着したのは10時すぎ。10時20分の船になんとか間に合った。

港の切符売り場に乗船券を買いに行くと、「出発時間が迫っています。バイクから先に乗せますので、すぐに車列の一番前に行ってください。間に合わない場合は乗れない可能性があります。」と、せかされてしまった。

料金は1960円。ETCの割引きがないとアクアラインを通るよりもフェリーの方が安い。船旅を満喫出来てこの値段なら納得だ。

フェリーに乗船 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
フェリーに乗船

乗れないと次の便まで待たなくてはならない。それは絶対避けたい。急いでバイクのところへ戻り、手袋もせず、ヘルメットも適当に被り、車列の前にバイクを動かすと、係りの人に「そのまま船に乗ってください。」と言われ、あたふたと乗船した。

船の中を進んでいき、一番奥の隅っこにバイクを停めると、係の人が手際よくバイクを固定していった。こうやってフェリーにバイクを乗せるのは久しぶりだな。

一番最後は・・・、いつだっけ。確か5、6年前に三河湾をフェリーで横切ったことがあったな。その時以来か。

他にバイクはいなく、私のバイクの固定作業が終わると、すぐ車が入ってきた。この便は、正月だからか、時間帯なのか、乗船する車はあまりいなかった。

国旗が掲げられている様子 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
国旗が掲げられている様子

眺めのいい上部甲板へ行ってみると、すぐ近くに砲台山、そして少し先に以前の初日の出ツーリングで訪れた鋸山がよく見えた。あの時は足が棒のようになって大変だったな・・・。

大変だったけど、それ以上に友人達とワイワイ楽しかったな。そう考えるとやっぱり一人のツーリングは感動や困難を分かち合える仲間がいないので寂しく感じる。

金谷港を出港 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
金谷港を出港

乗船する車が全て船に納まると、船は金谷港を出港した。エンジンの振動が体にも伝わり、岸から船が離れていく。

少し風が冷たいけど海風が気持ちいい。やっぱり船旅はいいな。滅多に乗れないからこそ価値があるのかもしれない。

クルーズ船といった類ではないけど、旅に船の移動が加わるとちょっと贅沢な旅とか、一味違った旅に様変わりするように感じる。

そんなことを考えながら甲板デッキで一人で悦に浸っていたが、デッキにいる人が一人、また一人と船室に戻っていき、気が付けば私一人になっていた。

さすがに寒いよな。普通の人は。風を切って走るだけの防寒をしているバイク乗りは、少々の海風に吹かれても寒くはない。特に今日のように温かい感じの南風が吹いていると余裕だ。

海から見る州崎半島 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
海から見る州崎半島

洲崎灯台がよく目立ちます。

しばらく甲板で風景を見ながら船旅を満喫していたが、次第に飽きてきた。

よしっ、船の中を探検だ。船室やデッキを見学したり、売店を訪れたりと船内を散策してみるものの、ゆっくりと落ち着ける場所はやはり甲板のようで、再び甲板に戻ってきてしまった。

久里浜の工場群 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
久里浜の工場群
すれ違うフェリー 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
すれ違うフェリー

途中で久里浜からのフェリーとすれ違い、そして久里浜にある石油タンクや巨大な煙突がどんどん大きくなっていくと、東京湾を横断する船旅は終わり。

久里浜港にフェリーが無事に接岸すると、下船の準備。係の人が固定していたロープを外してくれ、車が全て出た後にフェリーから降りた。

久里浜のフェリー乗り場で 東京湾フェリー 房総半島最南端初日の出ツーリング12'
久里浜のフェリー乗り場で

船から降りると、青空の下で太陽を光を浴びるバイクと、フェリーがいい雰囲気だった。記念撮影をしておこう。

日の当たる場所で改めて自分のバイクを見ると、雨に降られたせいでカウルの下の方が泥だらけになっていた。

一人でも絶対に日の出を見に行くぞ!と、出発前日に気合を入れて洗車をしたのにな・・・。出発したときはピカピカな状態だったのにな・・・、

でもまあこれも旅のお土産の一つかな。ちゃんと歩んだ証だと思えばいい。さて帰ろう。あと一息だ。さわやかな青空が広がる三浦半島を北上していった。

line

今回のツーリングは行く行かないで迷い。出発しても目的地に着く前に雨に降られたりと、一人でのツーリングの割にはバタバタとした感じのツーリングとなってしまった。

でもそういったトラブルや心境の変化は、旅においていいスパイスとなるもので、終わった後で乗り越えたとか、頑張ったといった充実感や満足感に変わっていくものだ。

一人ででも頑張って出かけてよかった。やっぱり旅は思い切っていくという気持ちが大切だな。と、改めて思ったものの、もう若くないので、しんどい旅ばかりをしていては疲れてしまう。

正月ぐらいはワイワイと友人たちと楽しみながらツーリングをしたいな・・・。来年は絶対友人を連れて行くぞ!とも思ってしまった。

房総半島最南端初日の出ツーリング12'
ー 完 ー
風の旅人 (2020年11月改訂)

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