風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

房総半島最南端初日の出ツーリング
#2 バイク乗りと冬の雨

<2012年1月>

今年の初日の出は房総半島南端の野島崎に一人でバイクに乗って出かけました。(全6ページ)

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2、バイク乗りと冬の雨

当日は深夜3時出発・・・のはずが、少し寝坊して3時半の出発となってしまった。一人だと約束の時間がないので、ちょっといい加減。

いざとなれば目的地を近場に変えてしまえば何とかなる。そういった逃げ道が心の中にあると、目標に対して少しいい加減になってしまうものだ。

バタバタと慌ただしく家から出発すると、深夜の孤独な旅が始まった。一人旅なので気ままに自由な旅ができる。その反面、待ち合わせ場所で仲間が待っているといった、当てのある楽しみがない。

一人旅には慣れているので、一人で旅することにどうといった感情はないが、今までの初日の出のツーリングでは仲間と一緒に・・・といった思い出が走りながら頭に浮かんできて、そこに少し寂しさを感じてしまう。

地理院の地図
東京湾の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

出発は世田谷からなので、アクアラインを通って、高速で一気に館山までというのが時間的にも距離的にも肉体的にもベストルートとなる。現在は社会御実験中でETCの割引を利用したらとても安い。

しかしながら私のバイクにはETCというものが付いていない。昨年の九十九里への初日の出ツーリングでは、その時だけ友人が持っている余った機械をこっそりと付けて対応した。

ETCが付いていなくても、滅多に高速道路に乗らないのなら、時々料金が割高になるぐらい。いや、割引のない正規料金を払うだけなので、特に困ることはない。

しかし、アクアラインの場合だと理不尽なことにETCを利用した場合に比べて3倍以上の料金を払わなければならない。

2割、3割とかなら仕方ないなとなるが、3倍となると、ふざけるな!といった怒りしか湧いてこない。もちろんそれが嫌だったらETCを付けろということになるのだが、バイクのETCの取り付けはとんでもなく高い。

普段からバイクで高速を利用する人なら元を取れるかもしれないが、滅多に乗らない人間にはバカバカしく感じる値段だ。

時々助成金が出るキャンペーンも行われていたりするが、カードの同時申し込みとか、色々と制約が多く、これもわざわざ申し込みをしたいという気にならない。

と、一人のバイク乗りが納得いかないとブツブツと文句を言ったところで、NEXCOという巨大な組織にあらがうことはできない。払いたくなければ乗るなと追い返されるのが落ちである。

ということで、アクアラインでのルートは却下。高速道路も抗議のボイコット・・・。って、滅多に高速道路に乗らないからETCを付けていないわけで、いつも通りに延々と旅人らしく一般道で野島崎に向かっていくことにした。

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まずは都内を横切って湾岸道路へ。今日は比較的温かい南風が吹いているので、湾岸に出ても寒さを感じることはなかった。

しかし、温かい風はちょっと湿っぽく感じる。それに暗くてはっきりとわからないけど、南側の空には分厚い雲が掛かっている感じがする。途中で雨が降ってこなければいいが・・・。寒い時期なのでそれだけが心配だ。

順調に湾岸道路を千葉へ向けて進んで行き、稲毛で千葉街道へ。そして千葉市を過ぎると国号16号へ。同じ道を走っているようでも国道の番号が変わっていく。

そして木更津からは国道127号へ。ここまでは順調だったが、木更津インターを通り過ぎた直後、雨がぱらぱらと降ってきた。

やっぱり降ってきたか・・・。出発直前に見た予報では、天気は曇りのち晴れ、降水確率が10%だったので、レインコートを用意してこなかった。もし本降りにでもなったらアウトだ。

でもこの雨の感じでは本降りにはならなそうな感じ。降り方が弱いし、対向車の車も濡れていない。

この程度ではめげないぞ。今日の俺の覚悟は半端ないんだぜ。そんな強い意志で走り続けると、雨はすぐにあがった。どうだ。バイク乗りの勝利だ。

地理院の地図
内房の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

しかし、この小雨は序章でしかなかった。バイク乗りに挑戦してくるかのように、しばらく走るとまた小雨が降りだしてきた。また雨か・・・。二度目だとさすがに気持ちが萎えてくる。

小雨というのは一緒だったが、道路が完全にウェットコンディションになっていたのが、さっきとは違う。

ついさっきまでこの付近はそれなりの雨が降っていたということだよな・・・。もう雨雲の本体が通り過ぎたのならいいが、また同じぐらいの雨が降る可能性もある。

そういえば・・・・、寝坊していなければもっと先を進んでいたはずだから、この雨に降られてずぶ濡れになっていたかもしれない。そう考えると寝坊してよかったのかもしれない。

実は、旅人の閃きがそうさせたのか・・・。積み上げた経験というやつだな。と強がってみるものの、内心ではいつ本格的に降り出すかわからない不安で一杯だった。

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我慢して走っていると、雨脚は強くならず、すぐに止んだ。さっきより降られたけど、今回も何とかしのいだ。

もう降ってくれるなよ・・・と不安になりながら走り続けると、金谷のフェリー乗り場の案内板が見えた。

この先を右折すればフェリー乗り場だ。また雨が降るかもしれない。このままフェリーに乗って帰ろうかな・・・。

この状況ではちゃんとした初日の出を見られる可能性はほぼない。それどころかこの先に進めば雨がザーザーと降ってきて、収穫もなく引き返すことになってしまうかもしれない。

無理をせずここで船に乗るのも一つの選択だ。最初にやりたいと思っていたフェリー旅も達成できる。ここで待機していつでも船に乗れる状態にしておくのが、最善策ではないか。ちょっと・・・、いや、かなり弱気の自分がいた。

でも、ここまで来て目的を達成せずに帰るのも中途半端だな。ここまで来た分の時間とガソリン代を考えると・・・なんて考えてしまうのが私の悪い癖。

高速代をケチっているように、旅に関してはかなりの貧乏性なのだ。でもそれが旅の原動力となり、移動する意欲になっていたりもする。

地理院の地図
鋸南付近の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

貧乏性が優ったというより、現時点で雨が降っていなかったので、もう少し先の道の駅まで進むことにした。

道の駅ならもし雨が強く降ってきても軒先を借りることができるし、暗い中をフェリーに乗ってもやっぱり面白くない。

その後は雨が降ってくる事はなく、しばらく走ると道の駅きょなんに到着した。ここで小休止。バイクから降りると、雨上がりのためか、結構気温が温かく感じる。

服などの装備を確認してみると、若干一番上の上着が濡れている程度だった。内側の服にはしみ込んでいないので、まあ問題ないといった状態。

2度目の雨をしのぎ、金谷から帰りたいという誘惑にも勝ったし、今回もバイク乗りの勝利だな。

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