三浦半島コロッケツーリング
#2 横浜コロッケ巡り
<2011年11月>
今回は少し趣向を変えて、コロッケ店を巡りながら後輩と三浦半島を一周してみました。(全6ページ)
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2、コロッケfile.1 見上商店の「ミカミのコロッケ」
本日の旅の始まりは保土ヶ谷。朝早く集まっても店が営業していないので、ツーリングにしては遅い10時に後輩と保土ヶ谷で待ち合わせをした。
が、待ち合わせ時間を10分経っても後輩が来ない。連絡もこない。今日は10時だし、そんなに家から遠いわけでもないんだから遅れるなよ・・・と思いつつ、無駄に待つのが嫌いな性格。それに今日は予定がぎっしり詰まっている。ということで、先に行くことにした。
保土ヶ谷といえば、保土ヶ谷バイパスとか、第三京浜とか、横浜新道とか、首都高などと大きな高速道路や有料道路が通っている交通の要所だ。
新しくできた現代の交通の要所といったイメージを持っていたのだが、古くからの東海道の要所で、江戸時代には宿場町も置かれていた。
保土ヶ谷宿があった旧街道沿いには今でも幾つか昔の史跡や寺社が残り、歴史を感じる散策を楽しめるようになっている。新しい発見だった。
本日最初に訪問した見上商店は、その旧東海道沿いではなかったが、古くからの旧道といった少し趣を感じる商店街の中にあった。
店の前までやってきたものの、店構えがいかにも地元の商店といった雰囲気だ。こういう店はなかなか一人で入りにくい・・・。でも、ここでくじけてはコロッケツーリングがいきなり挫折してしまう。
ってことで、ちょっとだけ勇気を振り絞りつつ、明るい顔を大事にして入店すると、店番のおばあちゃんが「いらっしゃい。今日は寒いよね。」と当たり前のように話しかけてきた。
「そ、そうですね。」などと相づちを打ちつつ、「コロッケが欲しいのですけど・・・」と頼むと、「あっちで頼んで」と、おばあさんは奥の総菜・精肉コーナーのカウンターを指さした。
カウンターにはおじさんがいて、そこで「コロッケを一個ください。」と注文すると、おじさんは「少し待ってね」と笑顔で注文に応じてくれた。
作業を見ていると今から油を温めるといった感じだった。50円のコロッケを一個だけの注文じゃ悪かったかな・・・。でも嫌な顔をせずに対応してくれるところがうれしい。
「外に出ると寒いから、そこに座ってなさい」というおばあさんの好意に甘えていると、後輩から電話がかかってきた。今待ち合わせ場所に着いたとのこと。
「遅い!」ここの場所を伝えてすぐに来るように伝えた。コロッケはまだ揚げていなかったので、おじさんに後輩の分を追加してもらった。
「できたよ」とおじさんから声がかかり、コロッケが出来上がった。店番をしているおばあちゃんに料金を払って外に出ると、ちょうど後輩がやってきた。
「遅れてすいません」と謝る後輩に寛容なところをみせ、店の外に置いてあるベンチに座って早速二人で食べ始めた。
コロッケはちょっと縦に長い感じがする小判型。大きさは少し小さめ。50円という値段を考えるとこんなものかな。
食べてみると、揚げたてともあって衣はカリッとしていて、中には値段の割には挽肉が入っていた。
結構肉が頑張っている感じのコロッケで、肉の甘みがよく生きているかなという気がする。今日最初のコロッケだし、揚げたてということもあって、とてもおいしく感じた。
ここのコロッケが凄いのは、横浜の商店街が企画した「ガチコロ」で2位を獲得していたり、横浜市の地域に根ざした商店街のおみやげ「街なか ちょい土産」にも選ばれていることだ。
また通販でも結構売れているような感じで、ローカルでほのぼのとした雰囲気の店からは想像できないほど有名なコロッケとなっている。
その秘訣はやっぱり値段かな。もしこのコロッケが80円とか100円だったらまた評価が違っているけど、この値段を考えれば誰でも「安くてうまいコロッケ」と納得してしまうはず。
*Info* 見上商店 横浜市保土ヶ谷区霞台48-36(Google地図)
3、コロッケfile.2 ハクライ屋のコロッケ(2018年閉店)
保土ヶ谷から国道1号を通って横浜市内へ向かった。環状1号線、国道16号と合流していき、交通量が増えていくとともに、町もどんどんと賑やかになっていった。
京浜急行戸部駅手前で市道を右折し、野毛方面に南下した。桜木町駅から野毛山動物園に続く商店街にグルメ番組などの取材を受けるような有名なコロッケ屋がある。という情報を得て野毛にやってきたのだが、想定外にこの付近が大混雑していた。
どうやらこの界隈には場外馬券場のWINSがあり、しかもちょうど秋のG1戦線真っ只中ともあって、馬券を買い求める人々で大混雑しているようだ。
警備の人が道のあちこちに立っていて、バイクで立ち入れないような雰囲気・・・。仕方なく少し離れた場所にバイクを停めて歩いて向かうことにした。
新聞を持った人に交じりながら歩き、目的の店に到着。着いてみれば店の前までバイクで問題なく来ることができた感じ。ちょっと失敗かな・・・。でもコロッケをおいしくするための運動と思えばいい。
お目当ての店の名はハクライ屋。コロッケはクロケットという西洋料理を日本式に改良した日本風洋食となる。洋食のコロッケ、そして文明開化の地、横浜ということを考えると、実に魅力的な名が店名に付けられている。
驚くべきは、この店ではコロッケとコロッケパンしか扱っていないことだ。そのコロッケも一種類だけと、まさにコロッケに一品入魂している店といえる。
取材をたくさん受けたことよりも、人気店になっていることよりも、コロッケに一品入魂している部分にもの凄く惹かれる。どういう味のコロッケだろうか。
店の営業開始時間の11時に合わせて訪れたので、見上商店に引き続きその日の最初のお客となった。
揚げるのに少し待たされたが、新鮮な油で揚げてもらえると思えば気にならない。しばらく店の外で待っているとコロッケが揚がった。
油を切って渡された熱々のコロッケは、きれいなきつね色をしていて、そして丸っこく少し厚みがあった。見た目からもおいしそう。
カリカリの衣を割ってみると、中はビックリするほど真っ白だった。中身まできれいなコロッケも珍しい。
ジャガイモは北海道産ということで、ジャガイモの白さにこだわり、丁寧に作られているのが分かる。まるで工芸品のよう・・・というのは大袈裟かもしれないが、こだわりの一品といえる品だ。もっともメニューにこのコロッケしかないので、こだわって当然といえば当然かもしれない。
味の方はその白いジャガイモがおいしいコロッケといった感じだが、コロッケらしい味付けを期待して食べると肩透かしを食らった気分になる。シンプルなポテトサラダを衣に包んだといった印象だ。
値段は130円とミカミのコロッケの2.6倍。厚みがある分、揚げ時間も長くなる。手ごろさや手軽さは少し薄れ、ちょっと晩御飯のおかずにコロッケ10個くださいといった商店街にある地域御用達のコロッケとは少しカテゴリーが違う気がする。
この上品な味や形だと、それなりのレストランで特製ソースをかけてお召しあがれといった方が似合っているかもしれない。そう感じたコロッケだった。
*Info* ハクライ屋 横浜市中区野毛町3-125(2018年閉店)
4、コロッケfile.3 グルメショップ・カネヒラの「浜の名物三角コロッケ」
桜木町から国道16号線、通称横須賀街道を南下していった。堀割川沿いを進んで行き、八幡橋交差点で中通りと合流するような形で右に曲がり、その少し先にある浜マーケットでバイクを停めた。駅でいうなら京浜東北線の根岸と磯子の中間になる。
この浜マーケットは戦後の闇市から誕生した商店街で、昔のバラックの市場っぽい建物に小売店が軒を連ねている。今でも活気があり、昭和のレトロな雰囲気がぷんぷんと感じられる場所だ。
お目当ての店はこのマーケット内に軒を連ねている「グルメショップカネヒラ」という総菜屋さんだ。なんと横浜の商店街が企画したコロッケの一番を決める「ガチコロ(横浜商店街コロッケナンバー1決定戦)」の投票で、一位を獲得したのがこの店となる。
訪れたときも店の前には地元の人の壁ができていて、コロッケが人気というよりも、この店自体が地域に愛されていることが伝わってくる。
ガチコロで一位を獲得したのは「浜の名物三角コロッケ」で、値段は一個90円(*現在は100円)。その名の通り三角の形をしている。
なぜ三角形をしているのか。記事のインタビューを読むと、店主もわからないそうだ。祖父の代から素材のじゃがいもにこだわって作っていたが、形に関しては気がついたら三角形だったとかなんとか。
早速購入して食べてみると、おっ、と思うほどしっかりと味が付けられていた。ポテトの柔らかい味を期待して食べると、ちょっとガッカリするかもしれない。
「横浜ソース」をかけて食べるとおいしいと紹介文に書いてあったが、もうしっかりと味がついているので、このままソースを付けずにスナック感覚で食べる方がおいしい気がする。
ユニークな三角形をしたコロッケ。そして横浜で人気のコロッケ。私がコロッケを食べた感じでは、おいしくさせるために遊び心で三角になったんだよと、コロッケが語りかけてくる気がした。
*Info* グルメショップ・カネヒラ 横浜市磯子区久木町20-5(浜マーケット内)(Google地図)
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