シリア南部の情景#4
マアルーラの町並み
View of Maaloula, 2001
ダマスカスの北56km、アンチレバノン山脈の荒涼とした岩山が聳え立つ渓谷にひっそりとマアルーラの村があります。人口は3千人弱で、村の名はアラム語の「入り口」に由来しています。
世界最古のキリスト教徒定住地の一つと言われ、マアルーラ住民の大半がキリスト教を信仰しています。教会や修道院が多く、村のいたるところで十字架を見ることができ、聖テクラ修道院(Mar Taql)など岩山の洞窟を利用した修道院があるのもここの特徴の一つです。
また古いアラム語を話す住民がいることでも知られています。古代セム語に属するアラム語はレバント(西アジアの東地中海地域)で広く使われていた言葉で、イスラム勢力の拡大とともにアラビア語が使われるようになり、今では理解できる人はごくわずかしかいません。
ここは本当に凄い景観を持った村で、巨大な岩山のある斜面に建物が張り付くように建てられています。その特異な景観に感嘆すると同時に、非常に危うく感じてしまいます。
* シリア情景素写 *
* 感想など *
崖の間に張り付くようにして立地しているといった町の様子は絶景といった感じでとても美しかったです。ただ日本人としてはありえないというのが正直なところでしょうか。
あまり村のことを詳しく知らなかったし、足が棒のようになっていたので、由緒ある教会や岩窟を利用した修道院を訪れず、景色だけ見て満足し、帰路に着いたのが心残りです。
イスラム教とキリスト教が混在しているのも美しいと感じた場所ですが、シリア内戦ではほぼ全ての宗教施設が破壊されてしまいました。とても悲しいことです。
シリア南部の情景#4
マアルーラの町並み
View of Maaloula, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)