ウマイヤド・モスク
Umayyad Mosque, 2001シリアの首都ダマスカスは、古くからエジプトとメソポタミアを繋ぐ通商路として栄えてきました。歴史のある町には様々な年代のモニュメントがあり、古代都市ダマスカスとして世界遺産に指定されています。
その古代都市ダマスカスの旧市街の中心にあるのがウマイヤド・モスクです。このモスクは705年にウマイヤ朝第6代カリフのワリード1世によって建築されたとされていて、現存する世界最古のモスクとなります。
イスラム教は610年頃に始まったとされるので、教会などに比べると年代は比較的新しくなってしまうのはしょうがないことです。
ただこのモスクがある場所の歴史は古く、紀元前にはアラム人のハダト神殿があり、紀元後にはローマ帝国によってゼウス神殿に建て替えられ、4世紀にはキリスト教のジョン・バプティスト教会となったという神聖な場所です。
ウマイヤドモスクもそこにあった教会を改修して建てられたので、建物内にローマのバジリカ様式の柱が並んでいたり、聖ヨハネの霊廟があったりと、キリスト教の影響が見られます。
この他、美しいモザイク画が建物の壁面に描かれていたり、城壁のような壁で囲われていたり、様々な時代のミナレット(尖塔)が建てられていたりしているのも特徴です。
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* シリア情景素写 *

Madhanat al-Arus
モスクは堅牢な外壁に囲まれています。
まるで城壁のようで、防御塔のように3本のミナレット(尖塔)がそびえています。
北側にある花嫁のミナレットは一番最初に建てられました。
ロマンチックな名がついていますが、
ミナレットの屋根を提供した商人の娘にちなんで名付けられたそうです。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

花嫁のミナレットの入り口前です。
柱が並んでいて床もきれいです。
観光客はここでチケットを購入して入ります。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

楽園というモザイク画が建物の壁面に大きく描かれています。
モザイク画が多用されているのも特徴の一つです。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

手前は時のドーム。
モスクの中央にはバジリカ風の円形ドームがあります。
奥に見えるのが西のミナレットになります。
マムルーク朝のスルタン、カイトベイによって建てられたため、
「カイトベイのミナレット」としても知られています。
ミナレットの形状は八角形で、マムルーク朝時代の典型的な建築物です。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

奥に見えるのがイエスのミナレットです。
高さが77mあり、3本のうちで一番高いミナレットになります。
モスクでイエスの名が出てくるのも変な感じがしますが、
キリスト、ユダヤ、イスラムは伝説が重なる部分も多いです。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

中庭には大理石が敷かれ、
周囲を柱が並んだ回廊が一周しています。
とても美しく感じる空間です。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

The Dome of the Treasury
789年に建造されたものです。
寄贈されたものが保管されていたとか。
8本の柱に支えられています。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

建物の正面から見た向かい側になります。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

この付近は大理石の床に模様が入っていて美しいです。
日本の神社のようにまずここで洗います。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

二つ設置されていたはずです。何でしょう。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

地元の人用の入り口だったはずです。
ステンドグラスが美しいです。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

中庭の西側、柱列廊内の「バラダー川のパネル」と呼ばれているものです。
オリーブの木と町並みが描かれています。
偶像崇拝を禁止しているので、
人物が描かれていないのが特徴です。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

奥行き137mと長く、床には赤い絨毯が敷かれています。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

上下で2重のアーチを造る2列の列柱が並び、崇高な感じがします。
元々あったキリスト教の大聖堂の材料等を再利用しているので、
ローマのバジリカ様式が残っています。
視界的にバジリカを連想する人も多いかと思います。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

宗教施設なので、お祈りしている人も多いです。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

Shrine of John the Baptist
ヨハネの首が納められていると言われ、
キリスト教の聖地になっています。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)

A white pulpit
モスクの中心にある一番大事な場所です。
白い説教壇が取り付けられています。
ステンドガラスや壁の模様も美しいです。
(Umayyad Mosque, 31 Mar. 2001)
世界遺産に指定されているダマスカスを象徴するのがウマイヤドモスクです。美しい中庭と、大きなモザイク画、そしてバジリカ風の内部の様子はとても印象的でした。
中東では教会をモスクに改造した建物が多いので、ここもそういった種類のものですが、モスクの中にヨハネの廟があったり、イエスの名がついた塔があったりと、宗教が混在しているところも興味深く感じました。
ウマイヤド・モスク
Umayyad Mosque, 2001 -風の旅人- (2019年12月更新)