風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

宇都宮餃子ツーリング
#1 冷凍餃子事件

<2008年2月>

餃子が無性に食べたくなり、2月という寒い中、バイクに乗って餃子の町、宇都宮へ後輩と出かけてみました。

*この旅行記は全5ページで構成されています。2008年2月の旅行記です。現在とは状況が異なっている部分もあるかと思います。

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1、冷凍餃子事件

かつては手抜き料理の代名詞とか、まずくて食えないと言われていた冷凍食品も、冷凍技術の向上や製品の改良が積み重ねられたことで、今ではすっかり一般的な食材として認知されるようになりました。

冷凍庫には冷凍食品が入っていて当たり前。近年発売される冷蔵庫の冷凍室の大きさがどんどんと大きくなっている事からも、家庭での冷凍食品の重要度がよく分かります。

その一般家庭で当たり前になりつつある冷凍食品。ここのところ、テレビのニュースや新聞、そして巷の話題を独占しているのも冷凍食品の餃子です。

しかしながらそれは美味しいとか、不味いとか、形や食感、値段などといった以前の問題で、なんと食べちゃ駄目な毒入り餃子だったりします。

なんでも意図的に殺虫剤の成分が混入されたようで、それを食べた人がひどい中毒症状になってしまいました。しかも日本人が大好きな餃子ともあって被害者も日本各地で続出。

これは無差別殺人なのか。食品テロなのか。そのニュースが流れると日本中に衝撃が走りました。そして国民的関心事件となり、報道も加熱していきました。

冷凍の餃子の写真 宇都宮餃子ツーリング08'
冷凍の餃子

一体どこで毒が入れられたのか。これが一番の関心事でした。

製造は中国の工場とのこと。なので、中国の工場、日本への物流時、日本の倉庫、日本の物流、販売店と様々な可能性が考えられましたが、国内の線は早い段階で日本警察の捜査によって消えました。

中国で・・・。というのが、自然な流れになるのですが、国際的な問題になるのでなかなか捜査が進まず、進展のないまま問題が長引いていきました。それとともに餃子のイメージも長い下り坂に突入していきます。

「これは甚大な風評被害だ。」そう餃子メーカーの人がインタビューでしゃべっていました。実際に売り上げが下がっているのでその通りなのですが、連日メディアから餃子の単語が耳に入ってくると、餃子好きの人間としてはむしろその逆の発想になってしまうのです。

絶えず餃子の宣伝が流れているような感じで、やたらと餃子を食べたくなってしょうがない。というのは被害に遭われた方に不謹慎な言い方ですが、どんどんと頭が餃子に洗脳されていく感じで、ここのところ普段よりも餃子を食べていました。

更には最近のマイブームである食べ歩きの煽りを受けて、スーパーで売っているような餃子では物足りないぞ。やっぱり専門店で食べたい。そうだ。本場というか、餃子の町で知られる宇都宮に行って餃子を食べよう。そう思い付いたところから、今回の旅が始まりました。

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テレビをつけると、毎日、餃子の映像が流れてくるし、ネットニュースを見ても餃子の文字ばかり。これだけ目に耳に餃子が入ってくると、餃子好きとしては餃子が食べたくなって仕方がなくなるというものだ。

会社帰りなどにあまり売れ行きがよくないスーパーで売っている国産の冷凍餃子や普通の生餃子を買ってくるものの、いまいち満足ができない。餃子を食べたと心が満たされるようなうまい餃子が食べたいな・・・。異常に餃子に飢えた状態になってしまった。

地理院の地図
関東の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

そうだ。餃子といえば宇都宮だよな。この体の中から湧き上がってくる餃子熱を抑えるには宇都宮まで行くしかない。そうすればこの禁断症状のような餃子熱が下がるかもしれない。

よしっ、餃子の町、宇都宮に餃子を食べに行くぞ。思い付きで計画したものの、地図で調べてみると宇都宮は思っているよりも遠い・・・。しかも2月なので寒い・・・。

やっぱり暖かくなってからにしようかな・・・。ちょっと迷うものの、一度行きたいと思い立つと少々の困難があっても行きたくなってしまうのが旅人の性(さが)。それに私の中の餃子を食べたいという情熱もまだ沸騰中。行くしかないな。思い立った時が行き時だ!

でも・・・、やっぱり一人だと寒くて心細い。もしかしたら誰か行きたいってやつがいるかもしれない。淡い期待を抱きつつ、友人や後輩に電話してみると、後輩が一人志願してきた。

「えらい。その根性はきっと将来役に立つぞ。」などとおだてつつ、後輩と予定を合わせ、2月11日の建国記念日に宇都宮まで寒中餃子ツーリングを行うことにした。

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そういえば日光は行ったことはあるけど、宇都宮周辺は立ち寄ったことがないな。餃子以外に何があるんだろう。後輩を誘ったことだし、ちゃんと下調べをしておこう。

わざわざ一日のためにガイドブックを購入するのはもったいない。根っからの貧乏性なので、近所の図書館で栃木のガイドブックを借りてきた。そしてパラパラとページをめくると、巻頭の特集に宇都宮餃子のほかにも佐野ラーメンが載っていた。

おっ佐野ラーメンもいいではないか。餃子といえばラーメン。ラーメンといえば餃子。同時には食べれないけど、組み合わせ的には黄金コンビだ。

紹介文によると、昔ながらの調理方法にこだわりがあるとか。そういった職人魂が寒い中をわざわざ食べに行きたいといった気持ちにさせてくれる。では、餃子の前に佐野ラーメンといきますか。

地理院の地図
北関東の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

でも食ってばかりでは腹がきついぞ。少しは観光をして腹をすかせたり、昼食までの時間調整をしなければ・・・。

という事で、ガイドブックを見ながら目的地にしたのが足利。ルート的にそんなに外れないし、足利幕府を開いた足利氏のふるさとということで知名度も抜群。NHKの大河ドラマ「太平記」の舞台にもなったしな。

これだけ名が知れていると後輩にも説明しやすい。いや、「ここは何があるんですか?」と聞いてくる後輩に、いちいち説明しなくて済むから楽ちんというのが正しいかな。

宇都宮餃子ツーリング08'
#1 冷凍餃子事件
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