超極寒の富士五湖初日の出ツーリング
#3 本栖湖でのご来光
<2008年1月>
初日の出を見るために富士五湖の一つ本栖湖を訪れた。ある程度覚悟はしていたものの極寒の世界でした。(全5ページ)
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3、本栖湖でのご来光
本栖湖の展望台に到着したものの、車がぎっしりとすし詰め状態で、中継車や観光バスまで狭いスペースに停まっていた。
どこに停めよう・・・。こういう時にはバイクは便利なもので、車と車の間に横にしてすっぽりと駐車。いや、収納といった感じで停めた。
それぞれバイクを空いたスペースに停め、展望台へ。時刻は6時半。ちょうど空は夜の闇から青空へ変わっていく真っ最中のようで、澄んだ濃紺色をしていた。
富士山の方向を見ると、空が太陽の赤、空の濃紺と美しいグラデュエーションとなっていて、その美しい空を背景に富士山がシルエットとして浮かび上がっていた。幻想的というか、雄大というか、息を飲むようなとても美しい光景だった。
富士山よりも気になったのが、展望台付近の手すりにずらっと並んでいた三脚。この場所に三脚を立てている人は一体何時から場所取りをしていたのだろう。この混雑ぶりから考えるに、少なくとも日付が変わる前、昨年から陣取っていたに違いない。
よほど写真が好きじゃないとできないな。気合の入り方が違う・・・と思いながらも、いい写真を撮りたければわざわざ元旦に来なくても・・・とも思ってしまった。
展望台のいい場所は三脚が並んでいるし、どこで見よう。人垣の後ろから眺めるか。それでは味気ない。寒い中をわざわざバイクでここまで来たのだ。
展望台でなくても適当にいい写真が撮れる場所はないかな。展望台付近を少し歩いてみると、展望台の下のほうにも人がいる事を発見。
下にはそんなに人がいなく、ここなら今からでも大丈夫そうだ。ということで柵の切れ目から展望台の下に降りて、適当に斜面に腰掛けた。座って見られるし、ここは絶好のポジションってやつだな。
その後は仲間と座って日の出を待った。周囲からは「寒いよ」「まだ~」「この寒さ我慢できない」などといった会話が聞こえてくる。そりゃこの気温を考えれば当然だろう。
でも我々はマイナス5度という極寒の中を、バイクで風を切って走ることを想定した防寒対策をしているので、じっとしている分には寒さはほとんど感じない。
逆にじっと座っていると、体に沢山貼ってきたカイロが熱を供給してくれ、暖かい。冷えきっていた手足の感覚も徐々に戻ってきた。
7時頃になると、かなり空の色が明るくなり、周りの景色がはっきりと見えるようになった。
ちょうど今頃地平線から太陽に光が出た頃かな。昨年は日本一早い初日の出ということで清澄山へ行ったけど、確か6時46、7分ぐらいだったはず。
空は雲が一つしかない快晴で、日の出に関しては今年は何も問題がない。問題はないけど・・・、その一つしかない雲が富士山の頂上に帽子のようにのっかっていたりする。
日が昇ってくるまでに雲が動いてくれればいいのだが・・・。せっかくなので、すっきりとした富士山と日の出が見たい。
まだか、まだなのか・・・。段々と空が明るくなっていくものの、なかなか日が出てこない。
山越しに見る日の出は、空が明るくなってからもなかなか太陽が顔を出さないので、普通に眺めるよりもじれったく感じる。
そのじれったさを紛らわすように、他の仲間と写真を撮ったり、本栖湖の風景がモデルになっている千円札を富士山に重ねて写真を撮ったりしてみた。
そうこうしていると山腹の一部が今まで以上に光を帯びてきた。おっ、今度こそくるんじゃないか。
その期待通りに、「きた、きたぞ!」「見えた!」という声や歓声が上がり、まぶしい光が山腹付近から差し込んできた。
すばらしい初日の出だ。やはり日本を象徴する富士山。朝日をバックに聳える姿がまた格別。朝日が神々しく感じる。
ここ3年間、見れなかったり雲の中だったりとまともな初日の出を見ていなかったのもあって、夢中になってシャッターを押していた。
朝日が見えたと思ったら、すぐに普通のカメラでは逆光がきつくて写真が撮れなくなってしまった。いきなりまぶしい状態で太陽が姿を現すのが、ここというか、山を背にした日の出の欠点だ。
写真を撮ろうにもオートフォーカスが迷いっぱなし。撮った写真を確認してみても、フレアやゴーストが出まくり。太陽が覗いた瞬間が勝負となるようだ。
日が昇ると周囲にいた人々は一組、また一組と満足しそうに車へ戻っていった。我々も撤収するか。バイクを車と車の間に停めているから早めに出さないと、迷惑がかかる。
まぶしい朝日を浴びながら斜面を登り、展望台の駐車場へ行ってみると、展望台一帯は車でごった返し、バイクでさえ動けない状態になっていた。
ひとまずバイクを広い場所に移動し、仲間と合流した。今後の予定は東へ戻りながら富士五湖を制覇していく予定だ。
次の精進湖に向かうべく、出発準備を整えるものの、車が全く進んでいかない・・・。
進んで行かないだけならいいが、バスやディーゼル車もいるので排気ガスが辺り一帯に充満して空気がとても悪い。段々とのどが痛くなってきた。
このままここにいては体調が悪くなってしまう。逆方向はすいていたので、とりあえず一旦南アルプス方面に向かい、南アルプス展望台というところへ行ってみることにした。
本栖湖から長いトンネルを抜けると別世界。というほどではなかったが、トンネルを抜けるとすがすがしい冬の風景が広がっていた。
少し先のコーナーに設置された南アルプス展望台でバイクを停車。ここからは南アルプスの山々を見渡せるはずだったが、残念ながら山のある付近にうっすらと曇がかかっていてよく見えなかった。
せっかく来たことだし写真を撮っておこう。カメラをリュックから取り出していると、友人たちはベンチに座って「いや~落ち着く。ずっと我慢していたんだよ。」と、タバコを吸い始めた。
聞くと、さっきは周囲に人が多すぎて吸えなかったんだとか。最近はタバコ吸いも肩身が狭いよな。
せっかく空気がいいんだから、自然の空気を思いっきり吸い込めばいいのに・・・と思うのだが、おいしい水が酒をうまくするように、おいしい空気がタバコをうまくするとか何とか。
富士山の空気でタバコを吸うというのも、東京の人間からしたら贅沢なことかもしれない。
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