世界情景素写
エルサレムの情景#1

ヴィア・ドロローサと聖墳墓教会

Via Dolorosa and Church of the Holy Sepulchre, 2001

ヴィア・ドロローサ(Via Dolorosa)というのは「苦難の道」とか、「悲しみの道」という意味です。キリスト教の神、イエス・キリストはゴルゴダの丘で十字架に磔(はりつけ)にされました。その際に十字架を背負って刑場のあるゴルゴダの丘まで歩いたとされ、その道のりをヴィア・ドロローサと言います。

約1kmのヴィア・ドロローサには、イエスにまつわる場面が全部で14カ所設置されています。これらは聖書にも書かれている場面で、留(ステーション)と言い、1~9留が道沿い、イエスが亡くなったゴルゴダの丘に建てられている聖墳墓教会内に10~14留があります。

時代とともに町並みが変わり、場所や場面が変わっているので、正確にここで行われたというものではありませんが、キリスト教徒にはヴィア・ドロローサの14の場面を辿りながら訪れるのが、本当の巡礼となるようで、世界中から多くの人がイエスの最後の歩みを辿って聖墳墓教会へ向かっています。

イエスの墓がある聖墳墓教会はキリスト教の各宗派の聖地となっていて、ギリシャ正教会、ローマカトリック教会、アルメニア使徒教会、コプト正教会、エチオピア正教会、シリア正教会の6つの宗派によって管理されています。破壊と改築が繰り返され、また6つの種派の祭壇があるので、複雑な建築をしています。

毎週金曜日にはフランシスコ会の主催で巡礼者、観光客が参加できるヴィア・ドロローサが行われています。現在のヴィア・ドロローサを整備したのがフランシスコ会で、1342年から行っているとのことなので、とても伝統があります。

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* エルサレム情景素写 *

十字架を背負う為に出てくるキリストの写真
十字架を背負う為に出てくるキリスト

この後鞭で打たれ、十字架を背負ってゴルゴダの丘へ登っていきます。
こういったイエスにまつわる絵やレリーフが至る所に掲げられています。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

第1留での様子 ヴィア・ドロローサの写真
第1留での様子

ヴィア・ドロローサはここから始まります。
現在は小学校となっていますが、かつてここにアントニオ要塞があり、
伝承では要塞の中にあった総督官邸で
ピラトに裁かれ、死刑の宣告を受けたとされています。
主催のフランシスコ会の神父たちによって場面の回顧と祈りが行われます。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

第2留での朗読 ヴィア・ドロローサの写真
第2留での朗読
Church of the Condemnation

鞭打ちの教会横の壁が第2ステーションとなっていました。
ここで鞭で打たれ、いばらの冠を被せられ、
ゴルゴダの丘へ十字架を背負歩き出しました。
一番最初の図の場面です。
各ステーションでは当時の場面を朗読し、
最後に参加者全員で祈りがささげられます。
(At Old City of Jerusalem, 8 Apr. 2001)

茨の教会 ヴィア・ドロローサの写真
茨の教会

鞭打ちの教会の隣にある教会です。
(At Old City of Jerusalem, 8 Apr. 2001)

ヴィア・ドロローサの道行 ヴィア・ドロローサの写真
ヴィア・ドロローサの道行

次のステーションに向けてぞろぞろと歩いていきます。
中世の町並みを大勢の巡礼者が歩く様子が美しかったです。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

第5留の様子 ヴィア・ドロローサの写真
第5留の様子

シモンがイエスに代わって十字架を背負った場所です。
商店街の中にあります。
通行人の邪魔にならないように道の真ん中を開けています。
特に微妙な時期だっただけに気を使っていました。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

第6留の様子 ヴィア・ドロローサの写真
第6留の様子

ベロニカがイエスの顔をハンカチでぬぐったとされる場所です。
警官がトラブルがないように見守っていました。
実際、そこまで自爆テロに神経質になっている感じではありまんでした。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

石壁の続く通り ヴィア・ドロローサの写真
石壁の続く通り

石壁に石畳が続く通りを巡礼者が歩く様子は
まるで中世にタイムスリップしたかのようです。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

コプト教会と修道士 ヴィア・ドロローサの写真
コプト教会と修道士

ここは第9留で、イエスが三度目に倒れたと言われています。
ここからは教会の敷地内に入っていきます。
目の前に見えるコプト教会の姿が美しいです。
(At Old City of Jerusalem, 7 Apr. 2001)

聖墳墓教会の中庭 ヴィア・ドロローサの写真
聖墳墓教会の中庭

教会は破壊と建築が繰り返され、
また様々な宗派の教会が建てられているので、
とても複雑な建築となっています。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

第10留での様子 ヴィア・ドロローサの写真
第10留での様子

第10留は聖墳墓教会二階部分外側に突出た小さな聖堂です。
ここはイエスが十字架に磔になる前に、衣服を剥ぎ取られた場所になります。
この衣服はローマ兵たちがくじで分け合ったようです。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

第11留での様子 ヴィア・ドロローサの写真
第11留での様子

教会の建物に入って最初のステーションで、
イエスが十字架に打ち付けられ、息を引き取った場所です。
ここからは観光客も混じって人が多くなりました。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

十字架に打ち付けられるイエス 聖墳墓教会の写真
十字架に打ち付けられるイエス

担いできた十字架に両手と足を釘で打ちつけられた様子が描かれています。
キリスト教徒には一番つらい場面です。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

第12留での様子 ヴィア・ドロローサの写真
第12留での様子

十字架が建てられた場所とされています。
ギリシャ正教が管理していて、他の祭壇と違って銀色が多いです。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

12ステーションの祭壇 聖墳墓教会の写真
12ステーションの祭壇

祭壇の下には十字架が立てられたとされるくぼみがあります。
手を入れると直にゴルゴダの丘の岩盤に触れることとができます。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

第13留 聖墳墓教会の写真
第13留

イエスが十字架から降ろされた赤い大理石です。
ここでイエスの体に香油が塗られ、
清らかな亜麻布(あまぬの)で包まれました。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

塗油の石 聖墳墓教会の写真
塗油の石

ここは石に触るだけではなく、口づけする人、
うつぶせになって一心に祈る人など後を絶えません。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

第14留での様子 ヴィア・ドロローサの写真
第14留での様子

イエスの墓とされている廟です。
赤い大理石で造られています。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

廟と天井 聖墳墓教会の写真
廟と天井

長い蝋燭が天井に向かって聳えるように立てられていました。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

教会での祈り ヴィア・ドロローサの写真
教会での祈り

最後は奥の方の祭壇で祈りを行っていました。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

中央の祭壇 聖墳墓教会の写真
中央の祭壇

小瀬川の河口は工場が並び、コンビナート地帯となっています。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

中央ドームのイエス 聖墳墓教会の写真
中央ドームのイエス

右を向いても左を向いてもイエスキリストのレリーフや像ばかりです。
上を向いたら天井にもいました。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

祭壇と燭台 聖墳墓教会の写真
祭壇と燭台

小瀬川の河口は工場が並び、コンビナート地帯となっています。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

聖墳墓教会での礼拝 聖墳墓教会の写真
聖墳墓教会での礼拝

ろうそくと聖書を持ち修道士が礼拝を行っていました。
教会内には岩窟のような祭壇もあります。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

聖墳墓教会での礼拝2 聖墳墓教会の写真
聖墳墓教会での礼拝2

各宗派の祭壇を回って礼拝をしているようでした。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

聖墳墓教会での礼拝3 聖墳墓教会の写真
聖墳墓教会での礼拝3

十字架が立てられたギリシャ正教の祭壇前での礼拝です。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

教会の出口で 聖墳墓教会の写真
教会の出口で

年月の長さを感じる柱が取り付けられていました。
(At Church of the Holy Sepulchre, 7 Apr. 2001)

* 感想など *

ヴィア・ドロローサについて詳しく知っていたわけではなく、同じ宿に泊まっていた旅行者にこういったことをやっていると教えられ、せっかくだからと参加してみました。

各ステーションで何があったということを予習していればヴィア・ドロローサの道のりも感慨深いものがあるでしょうが、よくわからないままついていったので、正直、何が何だかさっぱりわからなく、雰囲気のいい散歩といった感じになってしまいました。せめて場面ごとの解説を持っていればよかったなとちょっと後悔しています。

でも宗教関係者や他の参加者の様子から、ここがとても重要な場所だということがよくわかり、また聖墳墓教会の神聖な雰囲気も素晴らしく、とても素敵な時間を過ごすことができました。

エルサレムの情景#1
ヴィア・ドロローサと聖墳墓教会
Via Dolorosa and Church of the Holy Sepulchre, 2001
-風の旅人- (2019年12月更新)

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