風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

関東最東端、銚子初日の出ドライブ
#3 イワシ汁と獅子舞

<2014年1月>

今年の初日の出は、バイクではなく、車に乗って関東最東端の銚子へ出かけることにしました。(全5ページ)

広告

3、イワシ汁と獅子舞

地理院の地図
銚子の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

今年の初日の出は、銚子の半島の下部分にある長崎鼻で見ようと計画していた。

しかし銚子に到着したのが日の出の時間ギリギリ。しかも焦って道を間違えてしまい、地球の丸く見える丘付近で日の出を迎えることとなってしまった。

もう日は昇ってしまったけど、せっかくなので長崎鼻の方へも行ってみよう。地球の丸く見える丘で日の出を見た後は海の方へ下っていった。

外川駅を越え、しばらく進むと長崎集落へ到着。どこに車を止めよう・・・。長九郎稲荷神社下の浜辺付近に車が並んで停まっていた。そろそろ帰る人もいて、その空いたスペースに駐車した。

車から降りて浜辺の堤防に行ってみると、ここの浜辺からは先端にある小さな灯台と太陽がいい感じで見えた。

水平線付近の靄っとした感じがまだ少し残っているのが幸いして、この時間でもまだ十分に初日の出といった雰囲気を感じられる。もう一回初日の出を見られ、ちょっと得をした気分だった。

長崎鼻の灯台と朝日
長崎鼻の灯台と朝日

この長崎鼻付近は漁村となっていて、この集落の背後にある丘には長九郎稲荷神社が集落と海を見守るようにある。

長九郎稲荷は、江戸時代に紀州から移り住んだ長九郎という漁師が、子孫繁栄と豊漁を願って、京都の伏見稲荷大社を勧請したのが始まりとなる。地元では「ちょぼくり稲荷」と呼ばれ親しまれているそうだ。

この神社の北西には古き良き漁師町の面影が残る町並みで知られる外川地域がある。かつては「外川千軒大繁盛」というほど賑わい、今でもその名残を各所で見ることができる。

この外川を整備したのもやはり和歌山から移住してきた崎山治郎右衛門だ。この崎山治郎右衛門は海難にあった時に銚子の人々に助けられたことから、紀州人を連れてここにやってきて、町や港の整備に尽力をしたとされている。

これをきっかけに町が発展していき、銚子に紀州人が移住するきっかけとなった。銚子と紀州。初めて知ったのだが、とても強いつながりがあるようだ。

長九郎稲荷神社
長九郎稲荷神社

サンマとイワシの鳥居が強烈な個性を放っています。

丘の上にある長九郎稲荷へ向かった。丘を歩いて登っていくと、丘の上で迎えてくれたのは、とてもユニークな鳥居だった。

なんとここの鳥居はサンマとイワシの形をしている。といっても厳密には鳥居の横棒部分が魚の形をしているのだ。

今日は元旦ということで大漁旗が掲げられていて、サンマもイワシも一段と気持ちよさそうな感じがする。新春の朝日を浴びて泳ぐサンマとイワシ。どこか鯉のぼりと似たような雰囲気を感じる。

まずは粗相のないように初詣。何を願おう。頭上にサンマとイワシがいると願い事も微妙。

おいしい刺身定食にありつけるように・・・とか?大漁祈願はスムーズにいきそうだけど、交通安全とかはなんか難しそうに感じてしまう・・・。

大漁旗とベンチ
大漁旗とベンチ

この神社を訪れたのは、このユニークな神社で初詣をするためだけではなく、実は接待を期待してだった。

ここでは初日の出に合わせてイワシのつみれ汁を配布すると聞いていたので、お参り後、まだあるかなとおばちゃんのいるテントを訪れてみると、「お兄さん達も食べていく?」「はい」と笑顔で答えると、おばちゃんもにっこり。三人分よそってくれた。

丘の上に置いてあるベンチに座りながら頂くと、やっぱりおいしい。潮風と昇ってきたばかりの太陽の日を浴びながら食べるイワシ汁はまた格別。来てよかった・・・。

後ろの方から、「何食べてるの!」といったサンマとイワシの抗議の視線が気になったが、まあそれはそれ。今日は元旦だし、ちゃんとお参りしたから許してほしい。

ちなみに座っているベンチにはヒゲタ醤油の宣伝がデカデカと入っていた。醤油会社からの寄贈品なのだろうか。

銚子といえば醤油の町。ヤマサ醤油とヒゲタ醤油の工場がある。どちらの工場も工場見学が行われていて、以前にヒゲタ醤油の工場見学に訪れたら、小さな醤油をお土産にもらった。

今度はヤマサの工場見学にも行ってみたいが、さすがに元旦はやっていない。また次の機会にしよう。

金ぴかの鳥居
朝日を浴びた金ぴかの鳥居
鳥居下の足跡
鳥居下の足跡

食べ終わると、長崎集落の方にある鳥居へ向かった。この鳥居が凄い。何と金ぴかなのだ。しかも朝日を浴びてピカピカと光り輝いている。鳥居をくぐると金運もりもりといったところだ。

この鳥居には面白いことに、足元に足跡のマークが描かれている。わざわざ白抜きで描かれているといった凝りようで、しかも4つある。一度に四人参拝できますといったところだろうか。

この足跡に合わせてお参りすればご利益があるかもしれない・・・。と、実際に立ってみると、下を向いたときに足跡が沢山あってちょっと不気味。いや普通に見てもやっぱり不気味。指が六本ないか確認してしまったりして・・・。

長崎の集落と朝日
長崎の集落と朝日

この鳥居付近からは太陽とともに長崎の集落や灯台がよく見える。もしかしてここから初日の出を見るのが一番だったのか。

地球が丸く見えるし、太陽に照らされる外川の集落と灯台がとてもいい感じに見える。ちょっと電線が気になるけど、まずまず悪くなさそうな感じだ。

或いは金ぴかの鳥居から日が昇ってくるのを眺めるのもいいかもしれない。きっと金運が上がる。もしかしたらさっきの足跡の上に立って日の出を迎えると、宇宙人と交信できるとか。って、色々と想像の尽きない楽し場所だ。

見るべきものは見たし、食べるものは食べた。そろそろ車に戻ろう。車に戻るには神社の前を通らなければならないので、再びおばちゃんいるテントの方へ。

目が合ったので、「ここはいい眺めですね。日の出の時に来ればよかったです。」と言うと、「そうだっぺ」とうれしそうな顔で答えてくれた。

そしてまだちょっと残っているから全部食べていってくれと、2杯目をごちそうに。これで全部なくなりおばちゃんも安ど。残り物には福があったな。って、あまり人が来なかったのかな・・・。

line

おばちゃんにお礼を言って神社を後にした。そして車に乗り込むと、さっき日の出を見た地球の丸く見える丘展望館付近に戻った。

次の目的地はこの傍にある渡海神社。ここでは毎年元旦の朝8時半から渡海神社正月式「神楽」奉納されている。せっかくだから銚子の正月を満喫していこう。

渡海神社の拝殿
渡海神社の拝殿
お稲荷さんの祠
お稲荷さんの祠

神社を訪れてみると、地元の小さな神社といった感じだった。境内には人は多くなかったが、神楽が奉納される神楽殿前にはもう既にカメラマンらしき人たちが陣取っていた。

まだ少し時間があるようなので、境内を散策。森の深い神社といった感じで、奥の方ではお稲荷様の朽ち加減が別の世界に誘っているようだった。

この渡海神社は、709年に勧請された海の神様を祀る神社で、境内林は珍しい「極相林」として千葉県指定天然記念物になっている。

極相林とは・・・、説明が難しい。千葉県の観光サイトの説明だと「極相林とは、陽樹(松や楢など)と陰樹(シイ、カシ、ツバ等)とが共生している林をいいます。」と書いてある。いろんな植物が共存しながら極みに達した森?ってなものだろうか。

纏振り
纏振り

8時半になるとお囃子が始まり、最初に纏振りが行われた。演じるのは、地元高神町の高神連。

纏振りが終わると一旦、関係者のあいさつや神楽などの紹介が行われ、その後にメインイベントの恵比寿、獅子舞が演じられた。

恵比寿
恵比寿

やせ型の恵比寿様でした。

獅子舞
獅子舞
獅子頭
獅子頭

最後にちょこっと日が当たって幻想的でした。

正月ということで縁起がいい恵比寿や獅子舞、そして両方とも子供に人気のある演目ともあって、境内は盛り上がっていた。

最後に餅撒きが行われて終了。沢山のお菓子を拾った子供たちが笑顔で神社を後にしていたのが印象的だった。

我々も後ろにまで飛んできたお菓子を幾つか手に、もっと賢くなりますようにと獅子舞に頭を噛んでもらって、神社を後にした。

関東最東端、銚子初日の出ドライブ14'
#3 イワシ汁と獅子舞
「#4 元旦の観光巡り」につづく Next Page

広告

広告

広告