風の足跡 ~風の旅人旅行記集~

関東最東端、銚子初日の出ドライブ
#2 車で行く初日の出

<2014年1月>

今年の初日の出は、バイクではなく、車に乗って関東最東端の銚子へ出かけることにしました。(全5ページ)

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2、車で行く初日の出

出発は朝5時。先輩の特権・・・ではなく、私の家の近くに高速道のインターがあるので、我が家を集合場所とした。今までにない楽な展開で、後輩がそれぞれ車とスクーターに乗って我が家にやってきた。

スクーターでやってきた後輩と新車のフィットをほめつつ、定刻より少し過ぎて出発した。

私が助手席に乗り込み、もう一人の後輩が後部座席。小型車なので後ろに乗る後輩がちょっと窮屈そうだったが、一人で専有できるので長距離でも大丈夫だろう。

後輩の新車はホンダのフィット。バイク乗りが車を最初に買う時、ちょっと気になるのが、バイクを造っているホンダの車。

他のメーカーのバイクに乗っていたとしても、ホンダのバイクの性能の良さは分かっているし、日産とかならホンダの方が・・・と思ってしまうもの。

こだわりの用途があれば別だけど、手軽な車とか、貨物用など特にこだわりがない場合にホンダ車を買う人が多い気がする。ただ次もホンダかというと、そうでもないかなといった印象だ。

後輩もそういった典型で、同じクラスのコンパクトな車で比較したときにホンダに惹かれたとのこと。F1全盛期のホンダパワーとかいった伝説はもう過去の遺産となりつつあるけど、そういった時代を知っている人間にはその気持ちがなんとなくわかる。

地理院の地図
関東の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

首都高に乗り、都心部へ向かっていった。都心から銚子へは幾つかルートが選べる。たぶん一番早いのは、成田空港へ向かう感じで湾岸から東関東自動車道を進んで行き、利根川沿いの佐原香取ICで降り、そこから利根川沿いに国道356号を下っていくというルート。

ただ今回は時間的にあまり早く出発していないので、渋滞に引っかかるのでは・・・、といった嫌な予感がした。ちょっと遠回りになるけど下から回ったほうがいい気がする。

旅人の感がそう閃いたので、京葉道を千葉まで下っていき、そこから千葉東金道へ。そして銚子連絡道路を通って九十九里の横芝へ行き、そこから一般道で銚子に向けて北上することにした。

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さすがに元旦の早朝とあって、いつも渋滞している首都高もガラガラで走りやすい。混雑していればC1を避けてとか、ルートのアドバイスをすることもできるが、こうガラガラだとその必要もない。そもそもカーナビがついているので、助手席で指示することがあまりない。

後ろに座っている後輩がガサガサと持ってきたお菓子の袋を開けた。車内にいい匂いが漂う。「朝食べてないので腹が空いてきてしまて・・・、どうですか、色々と持ってきました。」と勧められ、「おっ、ありがとう」と食べる。楽しいドライブだ。

思えば毎年のようにバイクで寒い思いをしてきたな。出発の三日ぐらい前から毎日天気や最低気温をチェックして、時間があれば寒い中でバイクを洗車し、当日も防寒をしっかりとし、高速代が高いから頑張って下道で走ったり、色々と大変だった。

車だとただ座っているだけ。しかも暖房が効いていて温かい。運転する側になれば少しは大変だけど、それもまあバイクに比べればといった感じだ。

それに高速代、ガソリン代も乗っている人数で割れば安く済むので、3人も乗っていればバイクよりも断然安く行ける。

そう考えると、車は寒くないし、体も楽だし、経済的だしと三拍子そろっていて、今まで寒い思いをしてバイクで初日の出を見に出かけていたのは何だったんだろう・・・とちょっと考えてしまう。

でも、旅は効率を求めると楽しい、というものではない。むしろその逆で、効率の悪いことをわざわざやって楽しむものだと思う。バイクでの移動にこだわったり、日本一らしいという物をわざわざ見に出かけたりと気分で楽しむものだ。

車の効率のよさを実感すると同時に、バイクにはバイクなりの楽しさがあったことを改めて認識することができた。

地理院の地図
九十九里付近の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

ワイワイと会話しながら順調に高速の終点、九十九里の横芝に到着した。ここからは一般道、国道126号を東進し、銚子を目指していく。

ここまでの難点を挙げれば、後輩の運転が遅いこと。思えば一緒にバイクを走らせているときも彼はゆっくり走っていた。けど、車の運転ではそれ以上にゆっくりだった。

自分のペースよりも少し遅いぐらいで、目的地への到着時間を計算し、日の出時間の30分ぐらい前に到着する予定にしていたが、このままだと時間に余裕がない感じでの到着になりそうだ。

もう少し早く出発しておけばよかった・・・。今さら思ってもしょうがない。久しぶりに一緒に出かけるので、後輩のそういった性格をすっかり忘れていたのだ。

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国道126号を走りだすと、上下線ともそこそこ交通量があった。我々と同様に日の出を見る人達なのだろう。

初日の出のメッカとなっている九十九里ならではの元旦早朝の風景といった感じで、きっとそれぞれお気に入りの場所があるに違いない。

ここからは車の流れにのって進んで行くだけ。そう思っていたのだが、走りだして間もなく、大きな問題に直面してしまった。コンビニから我々の前に出てきた軽トラックが、とんでもなく遅いのだ。

最初は、そのうち曲がって家に帰るのだろう。なんて思っていたのだが、126号を延々と原付並の時速30キロで走り続けていく。おいおいどうなっているの。当然、後ろは大渋滞。後ろの車の挙動からイライラが我々にも伝わってくる。

目的地は同じ銚子か。ただでさえ遅れ気味なのに、このままでは本当に日の出に間に合わなくなるかもしれない。助手席で気持ちだけ焦る。焦るけど、助手席に座っているだけなのでどうにもならない。

バイクだったら信号に引っかかった時に前に・・・と考えてしまうが、車だとどうにもならない。けど、運転する後輩に「頑張って追い抜け!」と指示を出すと、「無理です。交通違反です。」と怒られてしまった。

イライラしやすい私よりも冷静な後輩が運転でよかったというべきかもしれない。

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見られればどこからでもいいか・・・。それが車の中からでも・・・。半分あきらめの境地となっていたが、何とか日の出時刻よりも前に銚子の半島部に到着できた。

といっても日の出まであと5分もない。初日の出は灯台のある犬吠埼ではなく、その下の長崎鼻の長九郎稲荷か、その周辺で見ようと考えていた。

しかし勝手の分からない場所で、しかも少々焦っていたので、曲がるべきところを直進してしまい、地球の丸く見える丘展望館の方へ来てしまった。

しまった。間違えた・・・。さっきのところを曲がるんだったな。仕方ない展望台のところを曲がって・・・と路地に入ったらもう車が多くて進めない状態。

日の出時間まで1分。もうじたばたしても仕方ない。ここで車を降りて日の出を見ることにした。中途半端な場所だけど・・・しょうがない。

日の出を待つ人々
日の出を待つ人々
日の出
靄っとした感じの日の出

さっきから待っているが、なかなか太陽が出てこない。時計を見ると6時50分。日の出時刻の46分はとっくに過ぎている。どうやら少し水平線上に靄がかかっているようで、その分遅れているようだ。

おかげで車から降りた瞬間に日の出といったバタバタな展開にはならず、一呼吸置くことができてよかった。

間もなく、あまりまぶしくない太陽が覗いてきた。靄っとしていて、ちょっと眠たい感じの太陽だった。

でも間に合うかと手に汗を握ってここにやってきたので、私の目にはその太陽がまぶしく輝いてみえる。改めて「あけましておめでとう」と後輩たちと感動の瞬間に挨拶を交わした。

地球の丸く見える丘での日の出
地球の丸く見える丘での日の出

あと10分あったらな・・・。あの遅い軽トラがいなかったら・・・。

雲っていて見えないのならしょうがないとなるのだが、自分の不手際で中途半端な感じになってしまったので、日の出を見ながらも「やっぱりこういう時間が決まっていることに対しては、時間に余裕を持たせて行動しないといけないな」といった反省の念が頭をめぐっていた。

でも当初の目的通り後輩たちと銚子で初日の出を見られた。その部分は変わりない。あるがままを楽しもう。現在ある状況の中で精一杯楽しむ。それが旅というものだ。

日の出とフィット
日の出とフィット

さて日の出を見たし、そろそろ行こうか。中途半端な場所に車を止めているので、早めに移動しなければクラクションを鳴らされてしまう。

でもその前に、銚子に初日の出ドライブに来た記念の写真を撮っておこう。初日の出の中にかっこよく佇む後輩の新車をパシャっと。

関東最東端、銚子初日の出ドライブ14'
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