能地春まつり
(三原市幸崎町 2015年訪問)漁業と造船の町、三原市幸崎町能地では毎年3月第4土曜日と翌日日曜日に能地春まつりが行われています。能地春まつりは地元の常磐神社の祭りで、大漁旗がたなびく通りを四町会の華やかに飾った4基の布団だんじりが激しい練り合いながら進み、神社の前では各町の獅子太鼓が奉納されます。
瀬戸内の港町らしい勇壮な祭りで、広島県無形文化財にも指定されています。
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* 情景素写 *
瀬戸内海に面した三原市幸崎町は造船の町で、町のいたる場所から今治造船の大きなクレーンが見えます。
神社のある通りには能地春祭りの横断幕と大漁旗がつるされていました。
旧道になるようで古い立派なお宅が並んでいました。
広島県の無形文化財に指定されていて、県教育委員会による案内板が常盤神社前に設置されています。
神社の前では先に到着していた4丁目の子供たちが太鼓を打っていました。
本番前の調整といった感じでしょうか。
太鼓の途中で子どもが抱え上げられます。
祭りらしい面白い光景です。
常盤神社は小さな神社なので、だんじり一基だけでも普通の祭りの風景として十分成り立っています。
祭典の時間に合わせて、他の町会のだんじりがやってきて、勢いよく神社の前を行き来します。
だんじりは担ぐと非常に重たいです。
若い人が多くいないとなかなか上がりません。
担ぎあげられただんじりは、お決まりのように最後は地面にズドンと落とされます。
大丈夫か~。中に乗っている子供も大変です。
心配そうに見ている子供たちの様子が微笑ましかったです。
各町会のだんじりがそろうと、神社の前にゴザが敷かれ、巫女による舞いが行われます。
巫女さんの髪飾りは花に関したものが多いのですが、このようなシンプルな花冠は珍しいです。
巫女の舞いの後は、神社の前に8つの太鼓が並べられていきます。
各だんじりに2人ずつ乗っている男の子、計8人が連れられてきて、獅子太鼓が始まります。
それぞれテンポよく太鼓をたたいていきます。
8つの太鼓と笛が奏でる音は、迫力があるというより小気味よくといった感じです。
太鼓の途中で拍子をとるように何度も子供が右へ、左へ、担ぎあげられます。
見せ場でもあるので、そのまま放り投げてしまうかというぐらい勢いよく持ち上げていました。
途中から獅子舞が登場することから獅子太鼓という名がついています。
常盤神社での獅子太鼓が終わると、神輿とともに4つのだんじりが幸崎神社に向かって進んでいきます。
神輿もそこそこの大きさがあるので、重そうです。
だんじりは若い人が中心ですが、こちらは年配の方が中心となって担いでいました。
洋館と古い町家の間を元気よく進んでいきます。
赤い鳥居が並ぶ老婆神社前は道がきついカーブになっています。
だんじりをうまく曲げるのもコツがいるようで、各だんじりが見せ場とばかりにレースのように勢いよく曲がっていきます。
担ぎ棒の幅がぎりぎりといった感じの狭い場所もあります。
重いだんじりを担いだり、勢いよく押したりすればバランスも崩すこともあるわけで、
民家の壁にゴツンといったり、窓がパリンといってしまうこともよくある話です。
途中の駐車場で幸崎中学校の生徒による獅子太鼓が行われました。
曲によっては太鼓の叩き手の後ろを進んだりと邪魔な存在になります。
最後、中学生が大人に担がれ、会場内は盛り上がっていました。
中学生の獅子太鼓が終了すると、幸崎神社前にだんじりが進んでいきます。
神社前の観客の前で、各だんじりが回したり、揺らしたり、傾けたりと力技を披露します。
後ろからやってきた町会のだんじりとぶつけ、押し合っていきます。
押し合い続けると2基のだんじりがどんどん立っていき、合掌造りの屋根ように高くそびえるようになっていきました。
ゆっくりと立っただんじりを寝かしていき、組んだ状態を解消すると3丁目のだんじりは退出していきます。
今度は後ろの2丁目のだんじりが神社の階段下で練ります。
続いてやってくる神輿も階段下で差し上げたり、回ったりします。
この後、階段を登っていくのかと思ったら、ちょっとだけ登っただけでした。
神童役の子供は肩に担がれて階段を登っていき、幸崎神社へ向かいます。
この後幸崎神社で獅子太鼓の奉納が行われ、その後は老婆神社へ向かい一日目が終わります。
造船と漁業の町、三原市幸崎で行われる能地春まつりは、港町の祭りらしく少々荒々しく、そして勇壮な祭りでした。各町ごとに4基の布団だんじりが威勢よく練り歩いたり、力強く担いだり、回したりする様子は、まさに海の男の祭りといった感じです。華やかな布団だんじりが4基も練り歩く祭りは広島では他では見られないので、お勧めの祭りです。
その一方、神社の前では獅子太鼓が小気味よく奏でられる様子は少し繊細で、ちょっと違った印象を受けました。どういった文化が影響したのだろうか、この町の人が持つ感性なのだろうか、などと想像しながら祭りを見ると面白く感じるのではないでしょうか。
だんじりは広島市より東部の海岸沿いや離島で見られる行事ですが、近年では過疎化などから徐々に減っています。各町会で一基ずつだんじりを出すというのは色々な面で大変だと思いますが、これからも続いていってほしい祭りです。
能地春まつり -風の旅人- (2019年8月更新)