広島の旅と情景
祭りの情景#6

能地春まつり

(三原市幸崎町 2015年訪問)

漁業と造船の町、三原市幸崎町能地では毎年3月第4土曜日と翌日日曜日に能地春まつりが行われています。能地春まつりは地元の常磐神社の祭りで、大漁旗がたなびく通りを四町会の華やかに飾った4基の布団だんじりが激しい練り合いながら進み、神社の前では各町の獅子太鼓が奉納されます。

瀬戸内の港町らしい勇壮な祭りで、広島県無形文化財にも指定されています。

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* 情景素写 *

造船の町 能地春まつり2015年の写真
造船の町

瀬戸内海に面した三原市幸崎町は造船の町で、町のいたる場所から今治造船の大きなクレーンが見えます。

神社のある旧道 能地春まつり2015年の写真
神社のある旧道

神社のある通りには能地春祭りの横断幕と大漁旗がつるされていました。
旧道になるようで古い立派なお宅が並んでいました。

能地春祭りの案内板 能地春まつり2015年の写真
能地春祭りの案内板

広島県の無形文化財に指定されていて、県教育委員会による案内板が常盤神社前に設置されています。

本番前の調整 能地春まつり2015年の写真
本番前の調整

神社の前では先に到着していた4丁目の子供たちが太鼓を打っていました。
本番前の調整といった感じでしょうか。

抱え上げられる子供 能地春まつり2015年の写真
抱え上げられる子供

太鼓の途中で子どもが抱え上げられます。
祭りらしい面白い光景です。

常盤神社前 能地春まつり2015年の写真
常盤神社前

常盤神社は小さな神社なので、だんじり一基だけでも普通の祭りの風景として十分成り立っています。

神社前を進むだんじり 能地春まつり2015年の写真
神社前を進むだんじり

祭典の時間に合わせて、他の町会のだんじりがやってきて、勢いよく神社の前を行き来します。

だんじりの担ぎあげ 能地春まつり2015年の写真
だんじりの担ぎあげ

だんじりは担ぐと非常に重たいです。
若い人が多くいないとなかなか上がりません。

大丈夫? 能地春まつり2015年の写真
大丈夫?

担ぎあげられただんじりは、お決まりのように最後は地面にズドンと落とされます。
大丈夫か~。中に乗っている子供も大変です。
心配そうに見ている子供たちの様子が微笑ましかったです。

巫女の舞 能地春まつり2015年の写真
巫女の舞

各町会のだんじりがそろうと、神社の前にゴザが敷かれ、巫女による舞いが行われます。

巫女さんと花冠 能地春まつり2015年の写真
巫女さんと花冠

巫女さんの髪飾りは花に関したものが多いのですが、このようなシンプルな花冠は珍しいです。

獅子太鼓の準備 能地春まつり2015年の写真
獅子太鼓の準備

巫女の舞いの後は、神社の前に8つの太鼓が並べられていきます。
各だんじりに2人ずつ乗っている男の子、計8人が連れられてきて、獅子太鼓が始まります。

太鼓のたたき合い 能地春まつり2015年の写真
太鼓のたたき合い

それぞれテンポよく太鼓をたたいていきます。
8つの太鼓と笛が奏でる音は、迫力があるというより小気味よくといった感じです。

担ぎ上げられる子供 能地春まつり2015年の写真
担ぎ上げられる子供

太鼓の途中で拍子をとるように何度も子供が右へ、左へ、担ぎあげられます。
見せ場でもあるので、そのまま放り投げてしまうかというぐらい勢いよく持ち上げていました。
途中から獅子舞が登場することから獅子太鼓という名がついています。

そろそろ出発 能地春まつり2015年の写真
そろそろ出発

常盤神社での獅子太鼓が終わると、神輿とともに4つのだんじりが幸崎神社に向かって進んでいきます。

神輿渡御 能地春まつり2015年の写真
神輿渡御

神輿もそこそこの大きさがあるので、重そうです。
だんじりは若い人が中心ですが、こちらは年配の方が中心となって担いでいました。

元気よく進んで行くだんじり 能地春まつり2015年の写真
元気よく進んで行くだんじり

洋館と古い町家の間を元気よく進んでいきます。

老婆神社前 能地春まつり2015年の写真
老婆神社前

赤い鳥居が並ぶ老婆神社前は道がきついカーブになっています。
だんじりをうまく曲げるのもコツがいるようで、各だんじりが見せ場とばかりにレースのように勢いよく曲がっていきます。

狭い道 能地春まつり2015年の写真
狭い道

担ぎ棒の幅がぎりぎりといった感じの狭い場所もあります。
重いだんじりを担いだり、勢いよく押したりすればバランスも崩すこともあるわけで、
民家の壁にゴツンといったり、窓がパリンといってしまうこともよくある話です。

中学生による獅子太鼓 能地春まつり2015年の写真
中学生による獅子太鼓

途中の駐車場で幸崎中学校の生徒による獅子太鼓が行われました。

獅子舞 能地春まつり2015年の写真
獅子舞

曲によっては太鼓の叩き手の後ろを進んだりと邪魔な存在になります。

見せ場 能地春まつり2015年の写真
見せ場

最後、中学生が大人に担がれ、会場内は盛り上がっていました。

だんじり回し 能地春まつり2015年の写真
だんじり回し

中学生の獅子太鼓が終了すると、幸崎神社前にだんじりが進んでいきます。
神社前の観客の前で、各だんじりが回したり、揺らしたり、傾けたりと力技を披露します。

喧嘩の開始 能地春まつり2015年の写真
喧嘩の開始

後ろからやってきた町会のだんじりとぶつけ、押し合っていきます。

聳えるだんじり 能地春まつり2015年の写真
聳えるだんじり

押し合い続けると2基のだんじりがどんどん立っていき、合掌造りの屋根ように高くそびえるようになっていきました。

2丁目だんじりの練り 能地春まつり2015年の写真
2丁目だんじりの練り

ゆっくりと立っただんじりを寝かしていき、組んだ状態を解消すると3丁目のだんじりは退出していきます。
今度は後ろの2丁目のだんじりが神社の階段下で練ります。

神輿の見せ場 能地春まつり2015年の写真
神輿の見せ場

続いてやってくる神輿も階段下で差し上げたり、回ったりします。
この後、階段を登っていくのかと思ったら、ちょっとだけ登っただけでした。

幸崎神社へ 能地春まつり2015年の写真
幸崎神社へ

神童役の子供は肩に担がれて階段を登っていき、幸崎神社へ向かいます。
この後幸崎神社で獅子太鼓の奉納が行われ、その後は老婆神社へ向かい一日目が終わります。

造船と漁業の町、三原市幸崎で行われる能地春まつりは、港町の祭りらしく少々荒々しく、そして勇壮な祭りでした。各町ごとに4基の布団だんじりが威勢よく練り歩いたり、力強く担いだり、回したりする様子は、まさに海の男の祭りといった感じです。華やかな布団だんじりが4基も練り歩く祭りは広島では他では見られないので、お勧めの祭りです。

その一方、神社の前では獅子太鼓が小気味よく奏でられる様子は少し繊細で、ちょっと違った印象を受けました。どういった文化が影響したのだろうか、この町の人が持つ感性なのだろうか、などと想像しながら祭りを見ると面白く感じるのではないでしょうか。

だんじりは広島市より東部の海岸沿いや離島で見られる行事ですが、近年では過疎化などから徐々に減っています。各町会で一基ずつだんじりを出すというのは色々な面で大変だと思いますが、これからも続いていってほしい祭りです。

祭りの情景#6
能地春まつり
-風の旅人- (2019年8月更新)

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* 訪問メモ *
・開催日
例年3月第四土曜日と日曜日
・開催場所
常磐神社と幸崎神社にかけての町域(地図
三原市幸崎能地4丁目19−20
・参考サイト
三原観光NAVI

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