広島の旅と情景
祭りの情景#5

御陵衣祭(馬とばし)

(廿日市市地御前 2015年訪問)

牡蠣棚がずらっと並ぶ様子が美しい地御前海岸には、宮島の厳島神社の摂社である地御前神社があります。厳島神社とつながりも深く、管弦祭では地御前に船がやってきます。

地御前神社では毎年旧暦の5月5日の端午の節句に合わせて御陵衣祭(ごりょうえさい)が行われています。御陵衣祭では、拝殿にて子供の成長を祈る祭典と厳島神社の舞楽が2曲舞われ、社殿の外では神馬の御渡りの儀が行われ、そのあとに古式ゆかしい装束に身を包んだ騎射による流鏑馬神事(馬とばし)が行われます。

この流鏑馬神事は古くから行われていて、慶長年間の道具が神社に残されています。

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* 情景素写 *

祭りの日の地御前神社 御陵衣祭2015年の写真
祭りの日の地御前神社

祭りの日には神社前の路上に出店が並び、賑やかな雰囲気となります。

地御前神社の由緒書き 御陵衣祭2015年の写真
地御前神社の由緒書き

宮島の厳島神社の摂社で、宮島管弦祭でも神社前の海岸に船がやってきます。

御陵衣祭のポスター 御陵衣祭2015年の写真
御陵衣祭のポスター

古風なポスターと錆びた画鋲と年期の入った掲示板の様子が調和していました。

祭典の開始 御陵衣祭2015年の写真
祭典の開始

拝殿内で神職によって端午の節句の神事が行われます。

神事の様子 御陵衣祭2015年の写真
神事の様子

細長く、光の感じのいい拝殿で行われるので、とても雰囲気のいい神事でした。

お祓い 御陵衣祭2015年の写真
お祓い

端午の節句の神事なので、子供を連れた氏子や参拝客が大勢参列していました。

神馬の御渡りの儀 御陵衣祭2015年の写真
神馬の御渡りの儀

拝殿内で神事が行われている間、外では飾られた神馬が通りを引かれていきます。

獅子頭 御陵衣祭2015年の写真
獅子頭

神馬を先導しるのは年期の入った獅子頭です。
噛みつかないので子供も安心して横を通り過ぎていきます。
担いでいる人がすごくうれしそうだったのがとても印象に残っています。

菖蒲 御陵衣祭2015年の写真
菖蒲

端午の節句といえば菖蒲。
神馬の御渡りの間、リアカーに満載された菖蒲が配られていました。

幣の神事 御陵衣祭2015年の写真
幣の神事

拝殿に戻ってみると、玉串奉納の儀が終わっていて、祭主が神様の宿った幣で参列者の頭を一人ずつ振れて周っていました。

舞手の登場 御陵衣祭2015年の写真
舞手の登場

祭典が終了すると、神官が退出し、代わりに雅楽隊が入場し、舞楽が始まります。
奥から舞い者が登場してくる様子は神々しく感じました。

舞楽の様子 御陵衣祭2015年の写真
舞楽の様子

本殿に向かって舞いを行います。
最初の舞いは蘭陵王。薄暗い拝殿で朱色の衣装が映えていました。

蘭陵王の面 御陵衣祭2015年の写真
蘭陵王の面

舞楽の仮面は使い込まれていて、とても年期を感じるものでした。

納曽利と雅楽 御陵衣祭2015年の写真
納曽利と雅楽

雅楽の演奏が流れる中、静かに、そして激しく、舞いが行われます。

納曽利の舞 御陵衣祭2015年の写真
納曽利の舞

次の舞いは納曽利でした。
毎年、面をつけた蘭陵王と納曽利が舞われているような感じです。

流鏑馬前の神社前 御陵衣祭2015年の写真
流鏑馬前の神社前

舞楽が終わると流鏑馬神事に移ります。
流鏑馬の馬は子供たちに人気で、多くの人に囲まれていました。

拝殿前 御陵衣祭2015年の写真
拝殿前での流鏑馬

いよいよ流鏑馬神事が始まります。
危ないから下がって。小さな子供が多いので、氏子の人たちも大変です。

空へ 御陵衣祭2015年の写真
空へ

地御前神社の拝殿の前では的に矢を射らず、天地と四方に矢を射る弓の神事が行われます。

四方へ 御陵衣祭2015年の写真
四方へ

実際に矢は射りませんが、実に様になっています。

祭りの情景 御陵衣祭2015年の写真
祭りの情景

もう行っていいんかいの。時間通りではない進行が祭りの情緒です。

大前神社前での流鏑馬 御陵衣祭2015年の写真
大前神社前での流鏑馬

踏切を渡った先にある大前神社の鳥居横に的が設置されていて、ここで実際に弓を射る流鏑馬が行われます。

的と矢 御陵衣祭2015年の写真
的と矢

ちょっと微妙な位置に刺さってしまいました。

地御前小学校での様子 御陵衣祭2015年の写真
地御前小学校での様子

地御前小学校で休憩というか、子供が馬に乗せられたりと、ふれあい時間になっていました。
昔はここに旅所があったようです。

住宅地を進む流鏑馬一行 御陵衣祭2015年の写真
住宅地を進む流鏑馬一行

小学校を出ると、町内を一回りしていきます。
狭い路地が多く、とてものどかな練り歩きです。

古い町家と流鏑馬一行 御陵衣祭2015年の写真
古い町家と流鏑馬一行

町域にはまだ古い町家も少し残っていました。

再び大前神社前で 御陵衣祭2015年の写真
再び大前神社前で

再び大前神社に戻ると、地元の人が待っていました。
ここでも子どもが馬に乗せられて記念撮影をしていました。
地域の祭りらしくのどかに時間が流れていきます。

御陵衣祭の流鏑馬 御陵衣祭2015年の写真
御陵衣祭の流鏑馬

地元の人が見守る中、今回はズバッと的の円に刺さりました。
天気が良かったこともあり、とても美しい光景でした。

流鏑馬の祭りというと、多くの人が訪れる大きな祭りといったイメージがありますが、ここの御陵衣祭は地元の小さなお祭りで、地域の祭りらしくのんびりとした雰囲気の中、神事や舞楽、流鏑馬が行われていきます。

流鏑馬は馬を走らせながらではなく、的の前で停まって矢を射るといったのどかなスタイルで行われます。馬とばしという名で呼ばれていたように、かつては多くの馬が神社の前を走り抜けながら矢を射っていたそうです。今では地面が舗装され、周囲に家も建ち並んでしまったので、本来の迫力ある流鏑馬の様子を見ることはできませんが、古式に則った流鏑馬の雰囲気と、普段なかなか見ることのできない宮島厳島神社の舞楽を楽しむことができる祭りです。

祭りの情景#5
御陵衣祭
-風の旅人- (2019年8月更新)

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* 訪問メモ *
・開催日
毎年旧暦の5月5日(端午の節句)
*旧暦なので毎年日にちが違います。
・開催場所
地御前神社および周辺(地図
廿日市市地御前5丁目18−9
・参考サイト
はつかいち旅ナビ

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