御陵衣祭(馬とばし)
(廿日市市地御前 2015年訪問)牡蠣棚がずらっと並ぶ様子が美しい地御前海岸には、宮島の厳島神社の摂社である地御前神社があります。厳島神社とつながりも深く、管弦祭では地御前に船がやってきます。
地御前神社では毎年旧暦の5月5日の端午の節句に合わせて御陵衣祭(ごりょうえさい)が行われています。御陵衣祭では、拝殿にて子供の成長を祈る祭典と厳島神社の舞楽が2曲舞われ、社殿の外では神馬の御渡りの儀が行われ、そのあとに古式ゆかしい装束に身を包んだ騎射による流鏑馬神事(馬とばし)が行われます。
この流鏑馬神事は古くから行われていて、慶長年間の道具が神社に残されています。
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* 情景素写 *
祭りの日には神社前の路上に出店が並び、賑やかな雰囲気となります。
宮島の厳島神社の摂社で、宮島管弦祭でも神社前の海岸に船がやってきます。
古風なポスターと錆びた画鋲と年期の入った掲示板の様子が調和していました。
拝殿内で神職によって端午の節句の神事が行われます。
細長く、光の感じのいい拝殿で行われるので、とても雰囲気のいい神事でした。
端午の節句の神事なので、子供を連れた氏子や参拝客が大勢参列していました。
拝殿内で神事が行われている間、外では飾られた神馬が通りを引かれていきます。
神馬を先導しるのは年期の入った獅子頭です。
噛みつかないので子供も安心して横を通り過ぎていきます。
担いでいる人がすごくうれしそうだったのがとても印象に残っています。
端午の節句といえば菖蒲。
神馬の御渡りの間、リアカーに満載された菖蒲が配られていました。
拝殿に戻ってみると、玉串奉納の儀が終わっていて、祭主が神様の宿った幣で参列者の頭を一人ずつ振れて周っていました。
祭典が終了すると、神官が退出し、代わりに雅楽隊が入場し、舞楽が始まります。
奥から舞い者が登場してくる様子は神々しく感じました。
本殿に向かって舞いを行います。
最初の舞いは蘭陵王。薄暗い拝殿で朱色の衣装が映えていました。
舞楽の仮面は使い込まれていて、とても年期を感じるものでした。
雅楽の演奏が流れる中、静かに、そして激しく、舞いが行われます。
次の舞いは納曽利でした。
毎年、面をつけた蘭陵王と納曽利が舞われているような感じです。
舞楽が終わると流鏑馬神事に移ります。
流鏑馬の馬は子供たちに人気で、多くの人に囲まれていました。
いよいよ流鏑馬神事が始まります。
危ないから下がって。小さな子供が多いので、氏子の人たちも大変です。
地御前神社の拝殿の前では的に矢を射らず、天地と四方に矢を射る弓の神事が行われます。
実際に矢は射りませんが、実に様になっています。
もう行っていいんかいの。時間通りではない進行が祭りの情緒です。
踏切を渡った先にある大前神社の鳥居横に的が設置されていて、ここで実際に弓を射る流鏑馬が行われます。
ちょっと微妙な位置に刺さってしまいました。
地御前小学校で休憩というか、子供が馬に乗せられたりと、ふれあい時間になっていました。
昔はここに旅所があったようです。
小学校を出ると、町内を一回りしていきます。
狭い路地が多く、とてものどかな練り歩きです。
町域にはまだ古い町家も少し残っていました。
再び大前神社に戻ると、地元の人が待っていました。
ここでも子どもが馬に乗せられて記念撮影をしていました。
地域の祭りらしくのどかに時間が流れていきます。
地元の人が見守る中、今回はズバッと的の円に刺さりました。
天気が良かったこともあり、とても美しい光景でした。
流鏑馬の祭りというと、多くの人が訪れる大きな祭りといったイメージがありますが、ここの御陵衣祭は地元の小さなお祭りで、地域の祭りらしくのんびりとした雰囲気の中、神事や舞楽、流鏑馬が行われていきます。
流鏑馬は馬を走らせながらではなく、的の前で停まって矢を射るといったのどかなスタイルで行われます。馬とばしという名で呼ばれていたように、かつては多くの馬が神社の前を走り抜けながら矢を射っていたそうです。今では地面が舗装され、周囲に家も建ち並んでしまったので、本来の迫力ある流鏑馬の様子を見ることはできませんが、古式に則った流鏑馬の雰囲気と、普段なかなか見ることのできない宮島厳島神社の舞楽を楽しむことができる祭りです。
御陵衣祭 -風の旅人- (2019年8月更新)