風の結晶 ~風の旅人エッセイ集~
異文化体験エッセイ

アジアの床屋体験記

人間生きていれば髪は伸びるわけで、仙人のように伸ばし続ける気がないのなら、定期的に床屋に足を運ぶことになります。床屋自体嫌いではないし、どうせ床屋に行くのなら、各国の床屋を訪れてその違いを報告してみようではないか。そう思ったのは旅始まって最初の国、中国の床屋に行った後でした。あまりにも面白い体験をしたので、こういった事を誰かに伝えたいと思い書き始めた次第です。

この床屋体験は私がたまたま入った床屋の影響をまともに受けています。なるべくその国の事情をレポートするつもりで観察していたつもりですが、基本的には個人的な床屋体験記といった内容になっていますので、その点を留意してください。

*このページは2000年に旅をしながらレポートしたものです。現在では状況が違っていると思います。

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1、中国のレポート (2000年2月)

中国の安床屋といえば、知る人は知っていると思いますが、売春婦の置き屋となっていることがあります。場所によっては通りに床屋が10軒、20軒も並んでいて、夜になるとあやしいネオンを灯し、入り口で女の人が客が来るのを待っています。高級サロンになると高級な娼婦がそろっていて・・・という場合も稀にあるようですが、ちゃんと散髪しかやっていなく、腕の方も良く、値段も高いみたいです。しかし中国に暮らす友人の話しでは、よっぽどちゃんとした所に行かない限り、安床屋もサロンも腕はあまり変らないとの事でした。

商店街や住宅地にある床屋は見た目は普通の床屋で、分かる人にしかわかりません。そしてそういった事情を知らずに訪れると、私のように何でこんなにもてるのだろうと勘違いする事になります。って、よく考えたら散髪屋って床屋って書くのですね。今まで気にしたことがなかったけど、そういうことだったのか・・・、と納得してしまいました。

ショッピングセンター前での青空床屋
中国の青空床屋

キャンペーンなのか、日常の光景なのか、
ショッピングセンターの前で多くの人が髪を切っていました。

私が行った床屋は、シンセンの住宅街にある一見ごく普通の床屋でした。床屋が置き屋になっている事など知らず、見た目もそういう雰囲気もなく、店前にあった看板に書かれた値段の安さに引かれて入店しました。実際入店してみても店内には女の人の従業員が少し多いと感じたものの、客は子供とその付き添いの母親、それにおじいちゃんとごく当たり前の光景だったので全く置き屋だと気付きもしませんでした。

しかし前の人が終わるのを待っている時間に女の人が集まってきて、外国人が珍しいのか、それとも私って中国ではもてるのかなと張り切って筆談を始めたところ、あれれれ!?このお姉さん方はそういう商売の方・・・。ここって置き屋ではないかと気がついた次第です。

散髪の方はというと、料金は散髪が5元(60円程)、洗髪が10元(130円程)で、散髪と洗髪の組み合わせで行ってみました。まず散髪用の椅子に座らされ、そのままの体勢で頭にシャンプーを付け水を少し垂らし、長い時間マッサージをしながら洗髪。10元もするだけあって、これがなかなか気持ちいいです。流石はマッサージの本場中国といったところでしょうか。しかしながら、普通の椅子に座って洗髪を行うので、泡が溜まる度に洗い手が泡を手ですくって流し台へ捨てに行かなければならなく、ちょっと落ち着かない感じでした。

マッサージが終わると泡を付けたまま奥の個室のような流し場へ。洗い手の女性と2人きりになるのでちょっと怪しい雰囲気。ここでは日本の床屋にあるリクライニングの椅子に横になり泡を流して終了。再び元の椅子に戻り散髪の開始となります。

散髪自体は日本と変らず電動バリカンとはさみでの作業でした。この時点で私の髪型は普通の髪型で、普通に短くしてくれと頼んだので、残念ながら本場中国の角刈りを体験する事はできませんでした。友人の話しでは中国の角刈りの基本は頭のてっぺんが平らな事で、平らであればある程かっこいいそうです。その為床屋の人も腕の見せどころなので真剣に長い時間をかけて丁寧に平らにするとか。単なる角刈り、されども角刈り。後になってこのてっぺんを平らにする角刈りがいかに難しいかをしみじみと実感する事になり、中国で角刈りにしておけばよかったと後で後悔しました。

話しを戻すと、切り終ると再び奥の洗い場へ行き簡単に洗い、リンスを付けてそれを洗い流します。そして再び椅子に戻り、ドライヤーで髪を乾かしてもらい全ての課程が終了。しかし娼婦のお誘いはまだ続き、それから逃げるようにして床屋から脱出しないと散髪が終わらないのが中国の床屋事情のようでした。

2、ベトナムのレポート (2000年4月、2001年10月)

訪れた当時、ベトナムは豊かとはいえず大都市の一部を除いては安床屋しかないといった感じで、公園や市場などでは路上に椅子と鏡を設置しただけの青空床屋もよく見かけました。床屋の屋台版というのも面白そうだなと思ったものの、実際に自分が切ってもらうのは・・・・、恐くて体験しませんでした。

床屋関係でいえば、ベトナムのファッションは足や手の爪にカラフルな模様のマニキュアを塗るネイルアートが有名で、美容室や床屋でやっていたり、床屋同様に市場での青空屋台も多かったです。これは女性観光客に人気があるようで、同じ宿の女の子などは塗ってもらって喜んでいました。

ベトナムは中国の文化が強い国なので、やはり同じように床屋が置き屋になっているかと身構えて、入る店を考えていたのですが、どの店もそういう雰囲気は全くありませんでした。ただ一部の青空床屋、青空マニキュア塗り、青空洗髪屋のお姉さんなどは勧誘してくる事もあるようで、今日誘われたんだなどと自慢げに話す旅行者もいました。

公園での青空床屋
公園での青空床屋

市場や公園といった屋外で散髪している姿を時々見かけました。

ベトナム滞在中に床屋へ行ったのは4回。1回は首都のハノイで、後の3回はホームステイ先のムイネという田舎で行きました。料金の方は散髪に髭剃り込みでハノイでは10,000ドン(80円程)、ムイネでは6,000ドン(50円程)でした。ちなみに地元の人のお得意様料金はこれよりも10円程度安いもので、日本では千円の床屋が最安値だと考えると、経済の差というか、物価の違いを感じてしまいます。

ベトナムの床屋の多くは散髪のみで、洗髪を扱っていませんでした。またこの国でも首筋にタオルを巻いてビニールの散髪着を着せてくれるのですが、これがかなりいいかげん。洗濯バサミで散髪着とめる程度なので、服が切った髪だらけになってしまいます。その為上半身裸になって切ってもらっている人も多かったです。

散髪は、まずは霧吹きで髪に水をかけ、くしで髪を整えた後、髪を切っていきます。作業はハサミと手動バリカンによるもので、私自身初めて手動バリカンというものを体験しました。この手動バリカンというものは、ペンチのような形をしていて、手動で刈り込んでいきます。電動バリカンと違って剃るスピードが遅く、ジョリジョリといかにも剃ってもらっているという実感があり、初めて体験すると面白く感じます。しかしながら、あまり喜んでばかりもいられなく、時として髪の毛がバリカンにはさまり、「いたぁ~」と涙が出る思いをする事も。最終的にはやっぱり電動の方が速いし、痛くないし・・・といった感想になるかと思います。

散髪の方は、私が日本人だと分かると丁寧に時間をかけて切ってくれるのは嬉しかったのですが、後で宿に戻り髪を洗って鏡を見ると、きれいに揃っていなく、しょうがないなと自分で調整する事ばかりでした。なんというか値段相応といった感じで、腕の方はあまり期待できないようでした。そしてここベトナムから角刈りにするようになったのですが、てっぺんを平にする技術はないようで、スポーツ刈りみたいにされる事ばかりでした。

髪を切り終わると、ハケで髪を落とし今度は髭剃り。髭剃りは他の国と同じでしたが、ムイネでは耳掃除までしてくれました。しかしこれがなかなか恐怖の体験で、電灯で照らし鼓膜が破れてしまうのではないかというぐらい奥まで耳掻きの棒をつっこまれます。頭の中をいじられているような感触で気持ち悪く、2回目に行った時はもういいと途中で逃げてしまいました。安いけど腕の方はちょっとというのがベトナムの床屋事情のようでした。

3、カンボジアのレポート (2000年4月)

カンボジアも安床屋ばかりのようで、滞在中は高級サロンなどというのは一度も見かけませんでした。おそらく高級ホテルなど、一部の場所に行けばあるのではないかと思いますが、私には縁なきこと。ここでも青空床屋は健在で、今度こそ挑戦してみようか、やっぱりやめておこうかという方が私にとって重要な問題でした。

カンボジアではアンコール・ワットの遺跡があるシェム・リアップで床屋に足を運びました。料金は散髪、髭剃りで2000リアル(60円程)。観光地で行ったので、その他の地域はもっと安いのかもしれませんが、物価から考えるとそんなに値段は変らないのではないかと思います。

散髪の流れはベトナムとほぼ一緒で、手動バリカンとハサミでの作業でした。1つ違ったのが、ベビーパウダーを使用する事です。髪を切る前に霧吹きなどで水をかける代わりに、くしで髪をといた後に首筋と剃り込む部分にペタペタとベビーパウダーを塗りたくられました。肌を荒れなくする為と切る長さを調整する為に使っているようで、途中で何度も塗られました。

切り終わると洗髪がないので宿に戻り洗髪しなければなりませんでした。腕の方はまずまずのようで、洗った後もそんなに目立った不揃いはありませんでした。しかしカンボジアの流行なのか角刈りのようにしてくれと、ジェスチャーと簡単な英語で伝えたのですが、仕上がって鏡を見ると、両脇と後ろが極端に刈られて短くなっていました。これは日本的な感覚・・・、いや欧米人にも言われたので、国際的に明らかにおかしい。案の定、他の旅行者に何でそんなに短く刈り込んだのと言われ、その度にこれはカンボジアスタイルだと苦笑いしながら答えなければなりませんでした。

訪れた時期がちょうどカンボジア正月で、人々が水やベビーパウダーをかけ合って祝っていました。根本的にカンボジア人はベビーパウダーが好きなようです。そのベビーパウダーをたっぷりと使って散髪するのがカンボジアの床屋事情のようでした。

4、ラオスのレポート (2000年10月)

ラオスではあまり床屋を見かけませんでした。人口が少ないせいもありますが、看板がクメール語で書かれていたり、昨日は何もなかった普通の家が、今日通ると床屋として営業していたりと、単に私が見つけられなかったのかもしれません。いずれにしても床屋らしい床屋は少なかったように記憶しています。床屋の前には大抵値段表が置いてあり、それを見ると3000~5000kip(約40~70円)がラオスの相場のようでした。

もちろんこれは安床屋でのカットのみの値段で、サロンと名の付くこぎれいな床屋ではもっと高いはずです。ただそういった店は、ヴィエンチャンや観光都市で数軒見かけただけで、しかも客の入りはいまいちでした。

私の行った床屋は、観光地のルアン・パバンにある小さな床屋でした。中は汚く、ここだったら安いだろうと思って入店したのですが、値段を聞くと5000kip(70円)と言われ、「う~ん、ぼられてるのかな」と考えてしまいました。

でもまあこんなものかな・・・と散髪をお願いしたのですが、普通の床屋だと背中に髪の毛が入らないよう首にタオルを巻いて、その上からナイロン性の散髪着なり大きなシーツのような布を巻くのですが、なんとここではタオルも巻かず、そこまで大きくない汚い布を巻いただけでした。こりゃないよ。今までで一番最悪な待遇でした。やっぱりボラれたようだ・・・。

散髪もひどいことになるに違いない・・・と悲観していると、意外な展開が待っていました。なんと小汚い引き出しの中から電動バリカンを取り出したのです。これには正直驚きました。ラオスのこんな汚い安床屋で電動バリカンにお目にかかれるとは。今までベトナム、カンボジアでは電動バリカンなるものはお目にかかっていません。と言う事は、ラオスはそれらの国よりも豊かなのかもしれないと、小汚い安床屋の椅子に座りながら世界経済について頭を巡らせ始めました。

しかし電動バリカンがあっても、やはりここはラオス。コードが短く、バリカン様に合わせて人間が動かなくてはなりませんでした。お陰でコードに合わせてくるくると椅子が回され、落ち着きません。なんだか複雑な気分です。

電動バリカンでの刈り込みが終わると、今度は手動バリカンの登場。えっ、何でこうなるの・・・。言葉が通じないので説明を求めてもきっと無駄。きっとこの方が慣れていて細かい作業をしやすいのだろうといいように解釈をするものの、電動バリカンに手が慣れてしまったのか、それともあまり使われないせいで刃の方がなまっているのか、毛が挟まってしまって痛い思いをすることが多く、たまらない。

最後は私の説明が悪かったのか、えらく髪をすかれて終了。ここでも洗髪なしが基本のようで、宿へ戻って頭を洗ってみるとあっちゃこっちゃ毛が飛び出ていて、直すのにえらく苦労しました。電動バリカンがあったのには驚きましたが、コードの関係で目が回り、仕上げの手動バリカンでは痛い思いをし、腕の方はいまいちと、最悪な床屋体験となってしまいました。

町を歩いていて思ったのは、この国では女の人は皆同じような髪型をしているということでした。髪を長く伸ばし、後ろで結わいているというシンプルな髪形なので、美容院へ行く必要もないのかな?そしてよく庭先で母親に髪を切ってもらっている子供の姿も見かけました。素朴な国ラオスでは床屋というものはあまり必要のないものなのかもしれません。文化同様に髪型も素朴というのが、ラオスの床屋事情のようでした。

5、マレーシアのレポート (2000年5月、7月)

マレーシアでは、安床屋とこぎれいなサロンが半々ぐらいに感じました。生活水準がある程度高いので、安床屋といえどもちゃんとしていて、冷房が効いているのが当たり前といった感じです。

マレーシアでは半島部のマラッカとボルネオ島のコタ・キナバルと計2回床屋へ足を運びました。中国人の多い国なので、看板は中国語で書かれていて見つけやすく、どっちらかというと中国人の住む下町的な中華街の方が安床屋が沢山あったように思います。そして覗いてみると、どこも切り手は老人ばかりでした。若者の切り手はやはり高級サロンなど、流行の最先端の場に魅力を感じるのでしょう。値段の方は散髪のみでマラッカが6RM(180円程)、コタ・キナバルが7RM(210円程)でした。

マラッカでは町を歩いていて、思いつきで床屋に入ったのはよかったのですが、宿からちょっと離れた場所でした。散髪が終わって、このまま髪だらけの状態で暑い中を汗をかきながら宿に帰るのは大変だ。これはまずい。頭も洗ってもらえないかと頼んでみると、1RM(30円)で洗髪をしてくれました。

この国でも安床屋には洗髪がないのが基本のようで、洗面台に立ったまま頭をつっこんで洗髪してもらいました。経済的にはある程度豊かな国なので、これは元々の文化なのかもしれません。それか中国人的発想の自分でやれるものには金を払わないって事もあるのかなと思ったりもしました。

散髪の基本的流れは、他の国と一緒でした。霧吹きで髪を整えて、電動バリカンとハサミでの作業。この時には私の髪型は中国人ヘアーの角刈りだったので、入店すると二回とも中国人と間違えられ、何の迷いもなくマレーシア語ではなく、中国語で話しかけられてしまいました。それぐらい角刈りは普及しているので、いつものやつといった感じで頼むと、待っていましたとばかりに嬉しそうに作業を始めてくれました。

その作業の細かいこと。何度も修正を繰り返し、きれいに頭のてっぺんを平らにしていきます。ある意味芸術的かもしれません。普通角刈りなどはバリカンとハサミでさっさと作業が終わってしまうのですが、ここでは普通の髪型よりも時間と手間がかかっている感じでした。流石は中国人の文化。本場の中国はもっと凄いのだろうと思い、機会があれば中国で角刈りを体験したいと思いました。中国並みの角刈りの上手さがマレーシアの安床屋事情のようでした。

6、インドネシアのレポート (2000年5~10月)

インドネシアは何でもありの国です。その為床屋もピンからキリまで様々。市場へ行くと青空床屋が沢山あり、路上を歩いていると路上青空床屋も沢山あります。これは大都市だろうが田舎だろうが関係なくありました。もちろん屋根のついた普通の床屋も沢山あり、デパートへ行くと高級サロンもあります。

インドネシアでは3回床屋に行きました。最初に行ったのが、ジャワ島中部の都市ソロでした。宿のおばさんに髪を切りたいと言うと、親切に2件の床屋を紹介してくれました。早速紹介してもらった店へ行ったのですが、最初の店はここは美容室で大きなハサミがないのから男の人は切れないと断られ、2軒目はちょっと高級そうなサロンでした。料金もちょっと高め。そして切ってくれるには切ってくれたのですが、その腕のひどい事。床屋に行ってこれだけ腹が立ったのは初めてでした。

おそらく、普段男の人はめったに来なく、角刈りなどやった事がなかったに違いありません。おかげで宿に戻り、虎刈りにされた髪を自分でせっせと直さなければなりませんでした。そもそも宿のおばさんに聞いたのが間違いだったようです。それ以後、怖くてサロンと名が付く床屋へは行く気が起こらなくなってしまいました。

次に行ったのはカリマンタン島西部のポンティアナ。ここは中国人が多い街なので、マレーシア並みの腕の良さを期待して中国人経営の安床屋へ足を運んでみました。しかし私を担当してくれたのはインドネシア人の若者。外国人が珍しいのか、ひたすら質問の嵐。口は良く動くのですが、腕の方はいまいちでした。

隣で仕事をしている中国人の切り手が、何度もてっぺんと平らにするだみたいな事を言うのですが、どうしても丸っこくなってしまいます。おまけに切った後宿に戻り髪を洗ってみるとあっちゃこっちゃ毛がピョンピョンと出ていました。頼んで中国人に切ってもらった方が良かったようです。やはり角刈りは中国人でないと上手にできないものなのかもしれません。まさにお国芸であり、文化遺産だと感じました。

3回目はジャワ島東部の大都市スラバヤ。ここも比較的中国人の多い街です。宿の近くの商店街には中国人が多く、この近辺ならと安床屋に入ってみたのですが、ここでも切り手はインドネシア人でした。覚えた下手なインドネシア語でオーダーすると、完全に中国人と間違えられたようで、いつものやつねといった感じですぐ散髪にとりかかってくれました。

これは上手に切ってくれるに違いないと期待しつつも、大幅に短く切られた上に、スポーツ刈りみたいにされてしまいました。値段は今までの中で一番安かったのですが、やはりインドネシアの安床屋で切るとこんなもんかなとしみじみと実感してしまいました。

値段の方は散髪のみで1回目が7,500ルピー(100円程)、2回目も同じで、3回目は5,000リアル(70円程)と安いようなちょっと高いような。腕から考えるとやはりちょっと高い気もします。髪型を気にしない人にはいいかもしれませんが、ちょっといい加減なのがインドネシアの床屋事情のようでした。

7、ミャンマーのレポート (2000年12月)

ミャンマーでは床屋に2度足を運びました。一回目はインレー湖で、二回目はバガンと両方とも観光客の多い観光地でした。私が払った料金は約50円。一方地元の人はというと約10円。日本の物価からすると両方とも信じられないほど安いのですが、こっちで40円の差というのは結構大きく、ちゃんとした料理の1食分に相当します。この料金の差がミャンマーで流行りの外国人料金というやつで、ここミャンマーではレストラン、入場料、交通、宿泊費などに適用されています。大体3~10倍ぐらいが相場なのですが、まさか床屋にまで適用されているとは思いませんでした。

一回目は50円程度か~、まあ安いな~と感じていたのですが、ミャンマーの物価を理解してから行った二回目は、これはちょっと高いかな?倍ぐらいとられたのかな?と、宿の人に聞いてみて初めて真相を知りました。恐らく都会や田舎など特に観光地となっていない場所に行くと、地元の人と同じ料金で髪を切ってもらえるはずです。

床屋の様子はというと、ミャンマーの国には床屋が沢山あり、床屋には不便しないようでした。安床屋が大半で、都会や観光地にはこぎれいなサロンも少なからずありました。料金の方は先に書いた通りで髭剃り込みの料金。都会ではもうちょっと高いはずです。基本的には洗髪はないのですが、ヤンゴンの床屋では洗面台に頭を突っ込み洗っている姿を見かけたので、都会では少数派ながら洗髪込みの店があるようです。

さて散髪の方はというと、大抵どこの国の床屋でもどういう髪型にするのか聞いてくるものですが、私が2回行った限りでは何も聞かれなかったり、今の髪型が好きか?と聞かれただけで、散髪がはじまりました。安床屋へ行くくらいなので、特に髪型にこだわっていなく、さてどうなることやらと切られるままにしていると、一回目は電動バリカンを使い、まあなかなかやるじゃないと満足したのですが、二回目はひどく、宿に帰って鏡を見ながらどう直そうかと考え込んでしまうほどでした。そのせいか地元の人よりも高い値段を払っているのがえらく腹立たしく思えてきました。恐ろしく安いのだけど、イマイチ納得のいかないのが、観光客にとってのミャンマーの床屋事情のようでした。

異文化体験エッセイ
アジアの床屋体験記
風の旅人 (2020年3月改訂)

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