風の足跡 ~風の旅人旅行記集~
トルコ旅行記96'

§1、カイセリ商人の洗礼
#1-1 目的地の変更

<カイセリ 1996年7月27日>

乗り継ぎで立ち寄ったカイセリ。名の響きに惹かれ、町を散策してみると、思い出に残る出会いが幾つもありました。(全5ページ)

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1、目的地の変更

まだ完全に夜が明けきらぬ朝6時。トラブゾンからの夜行バスはカイセリのオトガル(バスターミナル)に到着した。

バスを降りて朝の新鮮な空気を吸うと、今まで窮屈に座席に収まっていた身体が目を覚ました。

宿代と時間を節約する為、ここのところ夜行バスでの移動が続いている。しかし実際のところ、時間やお金は節約できても睡眠不足や疲労は蓄積されていくものだ。あまり多用はするものではないなと、きしむ背骨を鳴らしながら思った。

地理院の地図
トルコの地図

国土地理院地図を書き込んで使用

今回の旅の始まりは1996年7月。大学三年生の夏休みを利用して、一人でトルコやエジプトなどを周っていく旅をすることにした。

異国情緒あふれるトルコに行ってみたいという思いは昔からあり、今回それをようやく実行できた。そしてこの旅が記念すべき海外一人旅デビューでもあった。

旅はイスタンブールから始まり、トラブゾン、そしてエルズルム、ワン湖とトルコの東に向かう予定にしていた。

しかし現在、トルコ東部ではクルド人過激派によるテロが頻発しているらしく、「今は治安が悪いからわざわざ行かないほうが・・・」とチケット売り場の人や仲良くなったトルコ人が注意してくれた。

本当なのだろうか。一体どの程度危険なのだろうか。まさか旅行者が襲われるなんて事はないよな。全然大丈夫だよと言う人もいたし・・・。

自分なりに色々と考えてみるものの、こういったことが起きない日本で暮らしているので、何がどう危険なのか、どの程度の危険があるのか、具体的にどの地域から危険になるのかといったことが、全く見当が付かない。

もしかしたら単に私が頼りなく見えるだけなのだろうか・・・。この旅行は私にとって初めての一人旅だった。

しかもまだ出国してから一週間も経っていないので、傍から見れば旅の初心者というのは一目瞭然。みんなが必要以上に心配して注意してくれているのかもしれない。

とはいえ・・・、やっぱり危ないと2回以上言われれば行かないに越したことはない。今回はやめておこう。縁がなかったということで・・・。

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こういった成り行きでトルコ東部の旅程を変更し、トラブゾンから奇岩で有名なカッパドキアのギュレメに行くことにした。

しかし、カッパドキアまでのバスのチケットを買おうとすると、このバス会社では直通の便はなく、カイセリという町で乗り継ぎになるとの事。

他のバス会社を当たれば直通があるのだろうか。それともどこも同じなのだろうか。

その辺の事情はよくわからないけど、長々と親身になって色々と教えてくれた販売員に「他のバス会社にするよ」「他を探してみるよ」とは言いにくい。全く便がないのならしょうがないってなるけど、なんだか裏切るようで嫌だ。

それに乗り継ぎがあることは、車窓から一つ多く町が見れてお得な面もあるではないか。そう考えると、乗り継ぎ便でも問題がないように思える。

「カイセリ経由でも問題ないよ。チケットをください」と販売員に伝え、カイセリ経由でカッパドキアに向かう事にした。

バスのチケット
バスのチケット
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