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風の祭事記 ~祭り、イベント訪問記~

宝仙寺 節分会と僧兵行列

中野区にある宝仙寺の節分会では行事を盛り上げるために僧兵行列が行われ、多くの見物人でにぎわいます。

・場所 : 明王山宝仙寺(中野区中央2-33-3)
・開催日時 : 毎年2月3日
・スケジュール : 15時半から
・備考 : 2010年訪問
*開催場所、日時、内容等は年によって異なる場合があります。

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*** 宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真 ***

宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真
僧兵の行列

商店街を歩く様子は物々しいといった感じです。

宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真
寺の前の通り

タイムスリップしてしまった・・・という感じでしょうか。

宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真
僧兵の入場

境内だとそこまで違和感がなくなります。

宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真
柴燈大護摩

よく山伏が行っていることを僧兵が行います。

宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真
護摩焚きと僧兵達

棒状の護摩木が燃やされます。

宝仙寺 節分会と僧兵行列の写真
高く積まれた福升と三重の塔

豆まきに期待大といった感じです。

* 宝仙寺 節分会と僧兵行列について *

中野区の青梅街道と山手通りが交わる付近に宝仙寺という寺があります。平安後期の寛治年間(1087~94)頃、源義家によって創建されたと伝えられている古刹ですが、空襲で堂塔伽藍すべてを消失してしまい、詳細は分からないそうです。この宝仙寺では節分の日に合わせて節分行事が行われているのですが、これが少々変わっていて、外国人の間ではちょっとした評判になっているようです。

宝仙寺の節分会は三つの行事からなっています。まず最初に行われるのが僧兵行列です。午後三時半頃に寺の少し西にある明徳稲荷神社から腰に太刀をさし、手には薙刀を持ち、頭には頭巾を被るといった僧兵姿をしている年男、檀信徒による僧兵行列が出発します。多いときは総勢百人に及ぶというからなかなかの規模です。

僧兵とは簡単に言うならお寺の僧が武装したものですが、仏法保護や寺の自治権の名の下に日々武芸の鍛錬をし、武器を携えて夜盗や盗賊、場合によっては大名などと戦ってしまうぐらい強力な軍団である場合もありました。後ろにお釈迦様がついていたので強かったのかもしれません。僧兵で有名なのは武蔵坊弁慶でしょうか。弁慶姿にコスプレした人が沢山歩いているのが僧兵行列といえばわかりやすいでしょうか。

なぜこの寺で僧兵行列が行われているのかは、戦後焼けてしまった本堂の再建を行っていた際に、焼け跡の地下からかつて僧兵が用いていたと思われる遺物が発見されたそうです。そのことにちなんで、寺院再建の行事として僧兵行列を行ったのが始まりで、これがなかなか評判よく、昭和28年より節分の行事にあわせて行うようになったそうです。

僧兵の行列は細い道から一旦青梅街道に出て、お寺の境内に入っていきます。道中は特にパフォーマンスみたいなものがあるわけではなく、時々ホラ貝が吹かれるぐらいで淡々と進んでいくといった感じです。ただ見ていて思ったのは僧兵の姿は結構体格がよく見えてしまうもので、小柄な女性が扮していてもそれなりに厳つく見えてしまいます。そういった集団が黙々と進んでいくと結構威圧感があるものです。武者行列は比較的どこでもあるし、僧侶や山伏の行列というのは寺の行事で見ることが出来るけど、僧兵の行列というのはなかなか見ることが出来ません。そういう意味ではとても貴重な行事となっているかなといった感じでしょうか。

お寺に入ると、本堂前庭にある三重塔横に準備されている護摩焚き場に入っていきます。そして午後4時から柴燈大護摩が行われます。これは真言宗の行事になり、災厄を逃れて安全に生活する「息災(そくさい)」、福徳を増進させ生活を豊かにする「増厄(そうやく)」、健康を保ち長生きする「延命(えんめい)」を祈願する護摩だそうです。護摩自体は珍しくないのですが、僧兵姿で行うとなんか別の行事に思えてしまいます。護摩では木札に願いを書いて燃やすことが多いのですが、ここは四角い木の棒というか、角材のような棒を使っていました。その護摩棒を持って護摩に参加すると金剛智水がもらえます。多くの信者の方が参加されていました。

この後、4時半から三重塔の護摩場の反対側に設置された壇上から、年男らとともに僧兵たちが豆まきが行われますが、他の用事があったので見ていません。僧兵が投げる豆まきもまた面白そうです。また機会があればゆっくりと見たい行事です。

風の祭事記 宝仙寺 節分会と僧兵行列

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<2010年訪問 - 2019年2月更新>

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