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風の祭事記 ~祭り、イベント訪問記~

立源寺 大祈祷会と水行式

目黒区の立源寺では法華経寺での荒行「百日行」を終えた荒行僧によって水行式と祈祷会が行われます。

・場所 : 長昌山立源寺(目黒区中根2丁目21−17)
・開催日時 : 毎年2月10日
・スケジュール : 13時半から
・備考 : 2010年訪問
*開催場所、日時、内容等は年によって異なる場合があります。

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*** 立源寺 大祈祷会と水行式の写真 ***

立源寺 大祈祷会と水行式の写真
壇信徒たちによる纏舞

荒行僧が入って来る前に場を盛り上げます。

立源寺 大祈祷会と水行式の写真
荒行僧の入場

経を唱えながら入場してきます。

立源寺 大祈祷会と水行式の写真
水行前の水行肝文

場の空気が張り詰めます。

立源寺 大祈祷会と水行式の写真
水行

見ているだけでも寒気がしてきます。

立源寺 大祈祷会と水行式の写真
本堂での大祈祷会

日蓮宗の祈祷です。

立源寺 大祈祷会と水行式の写真
荒行僧の紹介

水行、祈祷を終え、とても晴れやかな顔をされていました。

* 立源寺 大祈祷会と水行式について *

目黒区の東横線都立大駅と自由が丘駅の中間ぐらいのところに日蓮宗のお寺、立源寺があります。山号は長昌山で、寛永元年(一六二四)に碑文谷法華寺住僧、遠聲院日運の開基とのことです。本堂は昭和26年に再建されたもので、御本尊は三宝尊。お寺にある普賢菩薩と文殊菩薩は目黒区指定有形文化財に指定されています。この立源寺では毎年2月10日に荒行僧による水行と大祈祷会が行われます。これは水の行者として前人未到の日蓮宗大荒行三千日を成満した永村日鵬伝師が立源寺にて学徳を修めたことに由縁しての水行式になるそうです。

2月10日といえば千葉県市川市中山にある法華経寺で前年の11月1日から100日間行われる「百日行」が終了する日です。この百日行は大荒行堂にこもって俗界から総ての縁を断ち、1日に7回も冷水をかぶり、睡眠は3時間、食事も朝夕2回の粥と精進料理だけといった過酷な手練を百日間積み重ねるといったものです。毎年全国から百人以上の荒行僧が参加するそうです。そしてその百日行は10日の早朝に明け、各々の寺からやって来た信徒達に出迎えられる中、大荒行堂から出てきます。その後すぐに自分の寺に帰る者、知り合いの寺などに寄っていく者、それぞれの事情によりますが、毎年何人かの荒行僧は「百日行」が明けたその日に立源寺に寄り、水行を行います。

この日、立源寺では、境内の日蓮像の真ん前に注連縄を張った行場が設けられます。そこには大きな細長い四角の水盤と呼ばれる仮設水槽が設けられ、その周りにはすのこやむしろが敷かれます。午後1時半からの水行式に先立ち、住職や「東京立源寺」「目黒同心会」と書かれた半纏を羽織った壇信徒たちが団扇太鼓の演奏や纏舞を披露します。ちなみに10月にこの寺でもお会式が行われます。

団扇太鼓の演奏が行われる中、白衣を着た荒行僧が水行肝文を唱えながら行場へ入場してきます。どの僧も百日行が明けたばかりなので、顔はやつれ、無精ひげがのび、髪も剃髪してから三ヶ月分伸びたといった姿をしていて、荒行の厳しさを感じ取ることが出来ます。行場に入ってきたら水槽の上座に伝師が立ち、水槽の左右に残りの荒行僧が分かれて立ち、水槽に対峙します。そしてまずは水行肝文を唱えます。その後白衣を脱いで褌一丁の裸形になり、大荒行堂で100日間実施してきたものと全く同じ作法の水行を披露します。

1回、2回と水槽から水行桶で水を汲み、反動をつけて頭上から背後の首筋に一気に水を浴びせていきます。何度も冷水をかぶった荒行僧たちの気迫は冷たい冷気のように見ている方にもピリピリと伝わってきます。体も赤味をまし、身体から湯気が立ち昇る事も。この時に唱えられる水行肝文は国家安泰や家内安全といったもので、荒行僧が一同の口から気迫とともに繰り出される水行肝文はとても真に感じるものがありました。

水行式が終わると、多くの壇信徒たちが待つ本堂で大祈祷会が開かれます。まず水行を行った荒行僧によって加持祈祷が行われます。その後、水行を行った荒行僧の紹介が行われます。彼らは正確には加持祈祷を行う修法師となるようです。自己紹介を聞くと、それぞれ持ち寺があり、昔からの馴染みとか、永村日鵬伝師にあやかったりして訪れているようでした。最後に荒行僧が分担して壇信徒たちの背中を少し強くさすり、厄難消除とご健康をお祈りします。これはやってもらうと気持ちが軽くなるような気がしました。

風の祭事記 立源寺 大祈祷会と水行式

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<2010年訪問 - 2019年2月更新>

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