* 赤塚梅まつりについて *
板橋区の赤塚にある赤塚公園・・・、と書くと、この付近一帯に多くの赤塚公園があるので紛らわしいのですが、正式には都立赤塚公園は6つの部分に分かれていて、その一つが赤塚城跡のある部分で、それに隣接するように溜池のある板橋区立の赤塚溜池公園があります。この赤塚溜池公園は名前の通り近年まで農業用水をためておく溜池があり、公園にする際に美しい人工の池として整備されました。とてもきれいな水辺の景観を持ち、板橋十景にも選ばれています。周囲には区立郷土資料館、区立美術館、赤塚城址などの施設があり、この周辺一帯で大きな憩いの場となっています。
公式的には赤塚溜池公園には約200本の梅の木が植えられています。池周辺にも梅はあるものの、梅が沢山のあるのは少し登ったところの城址部分で、この一角は立派な梅林となっています。ここ赤塚城は中世の平山城で、北条配下の千葉氏の居城だったようです。城といっても実際には砦といった程度の物だったらしく、本丸は「赤塚城址」の石碑のある広場で、溜池も堀の一部だったのではと推測されていますが、あまり詳しくは分かっていないようです。梅林にある案内板によると、元々梅畑だったものを農家から譲り受け、平成七年に公園として整備したもののとなるようです。案内板の最後には都立赤塚公園管理所と記されていました。・・・って、おかしいな。どうやら梅の本数はここ都立赤塚公園のものとごちゃごちゃになっているようです。どうでもいいといえばどうでもいいのですが、一旦、都立赤塚公園の飛び地整理したほうがいい気がします。
赤塚梅まつりは毎年3月の第一週末に行われています。溜池公園部分に軽食の出店や物産展、各団体のPRブースが並びます。梅林の脇では地元中学生による野点の実演が行われたり、美術館前にステージが設けられ、大正琴や太鼓が演奏されます。また当日は隣接する郷土資料館が無料になります。ちょうど訪れた時は特別展として「当世具足~大名とその家臣団の備え~」が行われていて、松代の真田家の武具が沢山展示してありました。その他、「赤塚梅まつり」を主題にした俳句大会が行われたり、各日とも午前11時から先着千名に甘酒が振る舞われます。
ここの梅まつりの変わっているのは赤塚城戦国絵巻武者行列や古武術演舞、鉄砲隊の実演といった時代劇的な事が行われることです。土曜日に行われる赤塚城戦国絵巻武者行列では、手作りの鎧兜を着た地元の小学生や地域の人たちが戦国時代の布陣から帰陣までの様子を再現するといったもので、式典会場から赤塚城址まで行進します。城跡に本陣跡のような舞台が設置されるので、なかなか絵になっているというか、本格的です。日曜日には同じく城跡で、年によって演目が異なりますが、居合いや手裏剣、十手術などといった古武道や鷹匠(たかじょう)による放鷹、西洋流火術鉄砲隊の演武が行われます。
なぜにこんなに古武道などに気合いが入っているのか。それはここが城跡だからというのもありますが、この赤塚の北側には高島平という地名があります。ここでは1841年に幕臣の高島秋帆が日本で初めて西洋式の砲術演習を行ったそうです。高島平という地名も彼の名前に因んでいるとか。この偉業を残そうと、地元有志らが西洋流火術鉄砲隊保存会を結成し、砲術演舞を行っています。そういったことも少なからず影響しているようです。とはいうものの、使用しているのは西洋のライフルではなく、日本古来の火縄銃。その辺は突っ込んではいけないのかもしれませんが・・・。でも演舞の迫力は凄く、特に一斉射撃の時は腹に響くような轟音がします。
風の祭事記 赤塚梅まつり
風の旅人
<2012年訪問 - 2019年2月更新>