* 西新井大師 だるま供養について *
東京足立区には開運・厄除けの霊場として名高い西新井大師があります。ここでは、毎年2月3日の節分の日に一年間のつとめ終えただるまを炊き上げて供養する「だるま供養」が行われます。ダルマ供養は昭和29年から毎年行われている行事です。関東ではどんど焼きで正月飾りとともに燃やすことが多く、また近年ではどんど焼き自体も様々な事情から行われなくなっているといったご時世なので、ダルマをこれだけ盛大に燃やす供養祭は珍しい行事となっています。
西新井大師で供養されるだるまは、1年間家内安全や商売繁盛などのために飾られていたもので、年末に行われた納めの大師や新年のお参りで新しいだるまと引き替えに納められたものです。その数およそ2万個というからビックリしてしまいます。さすが関東厄除け三大師といわれるだけはあり、全国的にみても最大規模のだるま供養祭となるようです。
ダルマ供養は本堂や不動堂がある境内ではなく、少し離れた東武大師前駅の横にある光明殿の敷地で行われます。供養祭は本堂で11時から行われている護摩が終わってからになります。護摩を終えた僧侶は待機していた木遣りや山伏姿の修験者とともに供養祭の会場である光明殿まで練り行列を行います。
光明殿の敷地には竹笹と木枠に囲まれた中にびっしりとダルマが積まれていて、その前に祭壇が設けられます。法要はその前で行われます。最初は高僧による法要が行われ、しばらくすると2人の山伏姿の修験僧が長い竹に祭壇にある灯明の火を受け、山と積まれただるまの四方に点火していきます。同時におよそ30名の僧侶たち全員で読経を唱え、だるまの供養が行われます。火の勢いが強くなってきたところで、山伏が真刀を振って四隅の邪気を切り払っていましたが、これは熱気でかなり辛そうでした。ここからは僧侶や山伏ではなく、消防団の活躍の場。燃え広がらないように水をかけたりと大忙し。すぐ後ろが駅なので、背後に鉄の高い柵が設置されているのですが、これもすぐに熱くなり、水をかけると凄まじい水蒸気が上がっていました。僧侶は30分程で退出していきますが、その後もダルマは燃え続けていました。風の強さなどにもよるようですが、だいたい1時間ぐらいで燃え尽きるそうです。
僧侶と山伏、そして消防の連携で燃えていくダルマたち。燃える様子がおぞましいのは当然ですが、燃えても丸い形が白い灰になると、頭がい骨のように見えて、ちょっと気持ち悪いです。壮絶なものを見たいといった好奇心の旺盛な方にはお勧めですが、くれぐれも気分が悪くならないようにお気を付けください。
風の祭事記 西新井大師 だるま供養
風の旅人
<2012年訪問 - 2019年2月更新>