* 亀戸天神社 梅まつりと菜種御供について *
浅草の南東、東京スカイツリーを望む場所に亀戸天神社があります。古くは総本社に当たる太宰府天満宮に対して東の宰府として「東宰府天満宮」、あるいは「亀戸宰府天満宮」と称され、境内の配置も太宰府天満宮に模しています。現在でも菅原道真を祀る関東の天神信仰の中枢を占めていて多くの祭事が執り行われています。
亀戸天神社では菅原道真公が好まれた梅の花が多く植えられていて、境内にはおよそ300本の梅の木が植えられています。そして2月上旬から3月上旬まで梅まつりが行われます。一応梅まつりと名がついていますが、特に何かがあるといった感じの梅まつりではありません。露店もほとんど出ていなく、境内の散策を楽しみましょうといった感じの梅まつりです。
本殿前には5才の道真公の像があります。その台座には5歳で詠まれたという「美しや 紅の色なる梅の花 あこが顔にも つけたくぞある」の歌碑が刻まれています。像の周辺は梅の木が多く植えられているので、道真公も梅の木に囲まれて幸せそうです。池の西側には紅梅殿と名付けられている社があります。道真公が京から九州へ旅立つときに日頃可愛がっていた梅を見て詠んだ「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」という句はとても有名ですが、その梅が道真公を慕って京の都から一晩にして屋敷の庭へ飛んできたというのが「飛梅伝説」です。その飛梅の実生を祀っている社がこの紅梅殿になります。この他、池の東側には梅の木が多く植えられていて、写真を撮ったり散策をするにはいい感じです。
梅まつりは特に何もない感じですが、期間中の2月25日には菜種御供(なたねごく)という神事が行われます。11時に本殿で献花式が行われ、お賽銭箱の後ろ辺りに菜の花が供えられます。これはこの日が菅原道真公のお亡くなりになった日で、「なたね」が「なだめ」に通じることから神前に菜の花をお供えして道真公を慰めるのだとか。社殿前に購入用のテントが設置されて、そこで一口500円で購入することが出来ます。白い紙が巻き付けられているのは、名前を書いた短冊です。うそ替えといい、なんか天神様はダジャレが多いような気がするのですが・・・、って口に出してはいけないのでしょうね。でもこういう遊び心と言ってはなんですが、こういった神様と人間が近づけるような場や雰囲気というのも必要な事なのでしょうね。
亀戸天神社は江戸時代から「亀戸の藤」「藤の花の天神様」と呼ばれるほどの藤の名所であり、5月の連休頃に行われる藤まつりの時には多くの露店が並び、凄まじいほどの参拝客で賑わいます。その藤まつりと比べてしまうと梅まつりは少し寂しく感じてしまいます。でも落ち着いて境内を散策するには梅まつりの方がよく、境内に多くある道真公に所縁の梅などを見ながら色々と思いを馳せてみるのもいいのではないでしょうか。
風の祭事記 亀戸天神社 梅まつりと菜種御供
風の旅人
<2010年訪問 - 2019年2月更新>