風の祭事記 風の旅人祭り訪問記
風の祭事記

風の祭事記 ~祭り、イベント訪問記~

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神

亀戸天神社では初天神の日に合わせて「前年の凶事を嘘(鷽)にして吉事に取り(鳥)替える」という言い伝えによるうそ鳥を交換するうそ替え神事が行われています。境内では里神楽も奉納され、多くの人でにぎわいます。

・場所 : 亀戸天神社(江東区亀戸3丁目6-1)
・開催日時 : 毎年1月24日、25日
・スケジュール : 8時~18時
・備考 : 2012年訪問
*開催場所、日時、内容等は年によって異なる場合があります。

広告

*** 亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真 ***

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真
混雑する社殿前

多くの人が御利益を求めて参拝に訪れていました。

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真
うそ売り場

長い行列ができていました。

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真
巨大なうそ

拝殿前に置かれていました。でかいです。

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真
納められたうそ

赤いくちばしが可愛いです。

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真
人が集まる神楽殿

神楽が始まると多くの人が集まってきました。

亀戸天神社 うそ替え神事と初天神の写真
里神楽

東京都無形文化財に指定されています。

* 亀戸天神社 うそ替え神事と初天神について *

浅草の南東、東京スカイツリーを望む場所に「藤の花の天神様」として知られる亀戸天神社があります。江戸時代から亀戸の藤と呼ばれるほどの藤の名所であり、また古くは総本社に当たる太宰府天満宮に対して東の宰府として「東宰府天満宮」、あるいは「亀戸宰府天満宮」と称され、現在も菅原道真を祀る関東の天神信仰の中枢を占めています。

この亀戸天神社では多くの神事や行事が行われますが、その中でも特殊なのが「うそ(鷽)替え神事」です。うそ替え神事は江戸時代の文政3年(1820年)より続く神事で、檜の木から神職の手で一体一体心を込めて作られた「うそ鳥」の木彫りの像を取り替える行事です。なぜそんなことをするかというと、少々ダジャレじみていますが、「前年の凶事を嘘(鷽)にして吉事に取り(鳥)替える」という言い伝えによるもので、一年間大切に祀ったうそ鳥の像を新しいものに替える事によってこれまでの悪い事が「嘘」になり、新たに幸運を得ることができると信じられています。江戸時代には多くの人が集まり各々持ち寄ったうそ鳥を交換する習わしがありましたが、現在では神社に納めて、新しいうそ鳥を購入することでうそを取替えるようになっています。

このうそ替え神事は毎年1月24日と25日に行われます。この二日間しか手に入らない貴重な開運お守りとなるので、両日ともに多くのうそ替えの参拝者で賑わいます。私が訪れたときも凄まじい行列が出来ていました。なんでも2日間で3万3千本のうそが売れるとか。ビックリする数です。うその大きさも幾つかあって、5cm程の一番小さなもので600円で、20cmを超える大きな物は7千円します。なんでも一番大きなものは200体だけしか売られないので、それを求めたい人などが早朝から並んでいるとか。またうそを購入すると抽選番号がもらえ、25日の3時からの抽選に当たると小さな純金の延板に鷽を刻んだ金鷽がもらえます。これまたうそ(鷽)みたいな話です。

また、鷽(うそ)の字が学問の学(學)に似ていることもあり、受験生へのお守りとしても人気となっているようです。ちょうどこの時期は受験シーズンなので、子供のために買い求めに来る親も多いとか。ちなみにうそ(鷽)という鳥は伝説とか、空想上の鳥ではなく、実在します。日本海沿岸に生息するスズメ科の鳥で、なんでも太宰府天満宮では害虫を駆除してくれる事から幸運を招くとして重宝されていたとか。また鷽(うそ)の字が學(がく)に似ていることもあり、学問の神様である天神様とのつながりが深いと考えられ、このような風習が生まれたそうです。そして江戸時代に亀戸天神にもうそ替えの風習が伝わったそうです。太宰府と亀戸の他は京都の北野天満宮、大阪の天満宮でも行われていて、関東では谷保天満宮で11月に行われています。

毎月25日は天神の日です。これは菅原道真の誕生日と命日が25日である事に由来していて、毎月25日は天神様の日として様々な神事、祭事が執り行なわれます。そして新年明けて最初の25日は初天神の日になります。この日は多くの祈祷が行われたりしますが、古くより「正五九祭」として里神楽が奉納される事で知られています。「正五九祭」とは正月、五月、九月を短縮した物で、里神楽は年に三回しか行われません。奉納神楽を演じるのは竪川睦で、里神楽と葛西囃子は東京都無形文化財に指定されていて、神楽を見られる貴重な機会ということで、多くの神楽愛好家が訪れます。

縁起物ほどそれを信じていない人、或いは他の宗教の人から見るとバカバカしく感じることがあります。最初このようなイベントがあると知ったときは、こんなダジャレのような信仰があっていいのか・・・と思ってしまいましたが、実際に訪れてみるとこれだけ多くの人が信じているなら御利益があるかも・・・と典型的な日本人らしく多数派の方へ考えが流れていました。このうその像はなかなか可愛らしいたたずまいをしていて、郷土玩具としても人気があるそうです。小さい物を一つ買って帰ろうかと思ったのですが、あまりの行列の長さに諦めました。

風の祭事記 亀戸天神社 うそ替え神事と初天神

風の旅人
<2012年訪問 - 2019年2月更新>

広告