* 代々木八幡宮 もちつき大会について *
代々木公園の西側、山手通りに面して代々木八幡宮があります。鎌倉時代に鶴岡八幡宮を勧請したのが創始とされています。この神社の面白いのは境内に今から約5000年前の代々木八幡遺跡があり、そこに古代住居跡が実際に復元されていることです。木々の生い茂る神社の境内にある竪穴式住居はすっかりと風景に溶け込んでいて、当時を彷彿させてくれます。
この代々木八幡宮では毎年2月1日にもちつき大会が行われます。このもちつき大会は代々木もちつき唄保存会が主催しているもので、もちつき唄を歌いながら餅がついていくといった伝統的なもちつきが行われます。
ここ代々木地区では、初台、代々木、西原、上原一帯で昭和30年頃まで農家が5、6軒を一つの単位として、共同で各戸を順に回りながら正月を迎えるための餅をつく習慣があったそうです。その際にみんなが心が一つになるように、リズムがとりやすいようにと代々木もちつき唄が歌われました。しかしながら、戦後になると付近の宅地化が急激に進んでいき、この地域から農家がどんどんと減っていきました。そして大勢でもちつき唄を歌って餅をつく機会がなくなってしまいました。このままでは代々木のもちつきの習慣やもちつき唄が失われてしまう。杵と臼で餅を搗くということ自体が都市部で行われなくなっている現状に危惧した地元の有志の方々が、昭和43年に代々木もちつき唄保存会を結成し、毎年2月1日にもちつき大会を開くようになりました。
当日は午前10時頃から午後2時頃までもちつきが行われます。このへんは結構アバウトです。「もちつき唄」は餅をつく前段のこねる作業で唄われます。「目出たな 目出た目出たの 若松さまよ 枝も栄えて 葉も茂る」「庭にゃな 庭にゃ鶴亀 五葉の松 松の下にゃ おじじとおばば」「お前な お前な 百まで わしゃ 九十九まで 共に 白髪の 生えるまで」「共にな 共に白髪じゃ まだまだおろか 石の土台が朽ちるまで」といった唄に合わせながら搗き手がぐるぐる廻り餅をこねていきます。
コネが終わるとツキとなります。ここのもちつきは3~4人でつくのが基本のようで、3~4人でつき、最後は一人でアゲツキを行っていました。そしてついたお餅はすぐにお供え餅にして神前に供え、その後見物人にはからみ餅にして配り、残りの餅は2日後の節分会で参詣者に配られます。また希望者にはもちつきの体験もさせてもらえます。
風の祭事記 代々木八幡宮 もちつき大会
風の旅人
<2011年訪問 - 2019年2月更新>