* 湯島天神梅まつりと神輿渡御について *
湯島天神といえば学問の神様として有名中の有名なわけで、合格祈願に訪れる受験生は数知れません。訪れる度に絵馬掛けに山のようになっている合格祈願と書かれた絵馬の多さにはビックリしてしまいます。とはいえ、ここには「合格守」と名前がついたお守りやお札はなく、「学業守」になります。普段からの勉学の成果、いわゆる学業成就が合格に結びつくという事になるようです。いくら学業の神様といっても大量にお守りを購入したり、合格祈願のお祓いを受けるだけで合格させてしまっては賄賂を払って入学させるのと同じようなものです。その辺のことはしっかりと神様も見ているようですね。ちなみに「湯島天神」と「湯島天満宮」といった呼び方が知られていますが、現在の正式名称は湯島天満宮になります。江戸時代は両方の名前で呼ばれていて、明治維新後は湯島神社となり、平成12年に湯島天満宮にしたようです。ただ湯島天神という名、愛称の方が広く知られている感じでしょうか。
湯島天神といえば江戸時代から梅の名所として広く知られてきました。多くの文人や知識人などに愛され、作品にも登場しています。戦時中に大ヒットしたこの地の梅を歌った「湯島の白梅」も知られているでしょうか。現在境内にある梅は樹齢70~80年の白い花を咲かす白加賀が中心で、境内には約300本ほど植えられています。そして毎年2月上旬から3月上旬にかけて梅祭りが行われます。現在の梅まつりは昭和33年から行われているものです。約45万人の人出を数えるというから超人気の梅まつりとも言えます。ただちょうどこの時期は受験シーズン真っ直中。周辺に大学や高校が多いことから合格祈願に訪れる人も数知れないので、単純に数だけ見て凄い人気の梅まつりというわけでもなさそうです。
湯島天神の梅まつりは神社が主催しているわけではなく、文京梅まつり実行委員会と文京区観光協会が主催し、後援は文京区、読売新聞社、東京観光財団、上野観光連盟、白梅商店会、湯島天満宮氏子崇敬会など神社に関わる団体とそうそうたる顔ぶれが揃っていて、境内の出店の多さやイベントの多さにも納得します。イベントは期間中の土日祝日を中心に行われます。まといのパレードや琵琶の演奏、野点、カラオケコンクール、和紙人形感謝祭、各地の物産展等々目白押しです。また社殿の裏手には舞台が設置され奉納演芸が行われます。これがまた凄い種類です。梅まつりお決まりのお囃子、太鼓、里神楽に和風演芸の数々、更にはベリーダンスやフラメンコ、フラダンスに中国雑技団となんでもござれといった感じです。
また2月の最終日曜日には御神輿も出ます。2月25日といえば菅原道真公の命日であり、道真公を祀る天神様では縁日などの特別な日になっています。この神輿渡御もそういった意味合いが含まれているのではないでしょうか。神輿は2基の神輿が出ますが、2時間ほど神社の周辺を移動して、神社に宮入してくるといった小規模なもので、例祭での神輿渡御に比べるといまいちな感じです。ただ小さい二の宮の方はピンクの梅の花があしらわれている「梅まつり」という駒札が掲げられ、女性中心に担がれます。神輿の胴回りにはジャラジャラした飾り部品(瓔珞?)が取り付けられたままだったり、鈴が取り付けられているので、女性のかけ声とジャラジャラ、シャンシャンといった梅の花の香りのようにさわやかな音がする梅まつり神輿渡御かと思いました。しかしながらこの時期はとても寒いので、その日の気温次第では寒中神輿となります。担いでないと体が冷え、担いだ後も休んでいると汗が冷えてととても辛そうでした。でもやはり神輿を担ぐ機会の少ないこの時期だからこそ多くの担ぎ手が神輿恋しさに集まってきます。そして久しぶりに神輿に触れるうれしさから自然と笑顔があふれています。そういった様子を見ているとやっぱり江戸っ子は神輿が好きなんだなと感じてしまいました。
風の祭事記 湯島天神梅まつりと神輿渡御
風の旅人
<2010年、2012年訪問 - 2019年2月更新>