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修禅寺春季弘法忌
湯汲み式

修善寺の礎を築いた弘法大師への感謝を示し、「とっこの湯」で汲んだ湯を湯汲み娘が持って温泉街をパレードし、弘法大師霊前に献湯します。

・開催場所 :修善寺と温泉街(伊豆市修善寺)
・開催日時 :4月20、21日(湯汲み式は21日)
・行事内容 :法要、練り行列
・備考 :2012年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 修禅寺春季弘法忌 湯汲み式訪問記 *

・修禅寺春季弘法忌 湯汲み式について

修善寺本堂 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
修善寺本堂

弘法大師が開いたとされるお寺です。

伊豆にある修善寺といえば平安時代に弘法大師が開いたとされる有名なお寺で、その寺の名前が付けられた修善寺の町は門前町、そして温泉郷として栄えています。

修善寺の温泉街の中心を流れる桂川の中にある独鈷の湯は弘法大師が独鈷杵(仏具)で川中の岩を打ち、そこから霊泉を湧出させたと言い伝えられています。現在では足湯として利用され、修善寺温泉の象徴的な存在となっています。

また、修善寺温泉と聞くと文学的な響きを感じる人もいるかと思います。明治時代など古き良き時代には静かな環境を求め、夏目漱石など多くの文豪が訪れ、この地を愛したそうです。現在でも落ち着いた雰囲気が感じられる温泉郷です。

修善寺の山門 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
修善寺の山門

春と秋に大祭が行われます。

修善寺のお寺では、春と秋に大祭が行われていて、春季弘法忌は「春のお弘法さん」、秋季弘法忌は「秋のお弘法さん」と地元では親しみを込めて呼ばれています。春と秋の違いは、春には神輿と湯汲み式があり、秋には花火大会があります。

春季弘法忌は毎年4月20日と21日に行われます。20日には神輿の渡御と万燈会が行われます。神輿には普段は目にすることのできない秘仏の大師像が載せられ、奥之院までの約5kmを「お上り」し、一泊して翌日に「お下り」してきます。

行事前の記念撮影 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
行事前の記念撮影

男児も女児も青い上着を着ていました。
温泉街だけあって着物が様になっているお母さんばかりです。

21日には大般若祈祷、湯汲み式が行われます。湯汲み式は1200年前にこの地で温泉を発見し、温泉街として繁栄する修善寺の礎を築いた弘法大師への感謝祭で、「とっこの湯」で汲んだ湯を持った30人ほどの湯汲み娘が稚児などと温泉街を練り歩き、本堂の大師霊前に奉納します。華やかな練り行列で、修善寺温泉の春の風物詩として親しまれています。

・行事の様子

練り行列の出発 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
練り行列の出発

住職を先頭に笛、露払い、太鼓と続きます。

稚児さん 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
稚児さん

お母さんに手を引かれて歩きます。

湯汲み娘 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
湯汲み娘

各旅館や外湯の名前の入った桶を持っています。

湯汲み娘は約30人ほどで、揃いのピンクの着物にたすき掛け姿で、昭和12年に新調した湯汲み桶を持って歩きます。

桶には旅館や施設の名が入っていて、その旅館などの関係者、或いは市内などからの応募者から選ばれます。

お湯汲み 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
お湯汲み

「独鈷の湯」で僧侶から温泉を桶に移してもらいます。

修善寺の前を流れるのが桂川。山門のすぐ前にかかるのが虎渓橋で、そのすぐ上流の河原に「とっこの湯」があります。弘法大師が独鈷杵で河原の岩をうがち霊泉を湧出させたという伝説の湯です。

僧侶とお湯汲み娘は「とっこの湯」へ向かい、ここで読経とともに僧侶の汲む湯を桶に入れてもらいます。

河原にいる白い調理服の人たちは見学者ではなく、修善寺調理師会の人達で、行事に合わせて稚鮎の放流を行っていました。

桂橋< 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
桂橋

お湯を汲んでいる間、桂橋で稚児さんが待機していました。
緑の多い雰囲気のいい橋です。

お湯汲み娘の列 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
お湯汲み娘の列

川辺の旅館街にピンクの着物がよく合っていました。

竹林の小径 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
竹林の小径

手入れの行き届いた竹林の小径を進んでいきます。
趣きのある光景です。

神輿と合流 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
神輿と合流

途中で神輿と合流し、一段と賑やかな行列になります。

春季弘法忌で一番大事な行事が弘法大師を乗せた神輿渡御です。前日の20日に修禅寺を出発し、西へ4.6kmほどの奥之院まで行列をつらねて「お上り」し、一泊して翌21日に「お下り」します。

担ぎ手は白装束に烏帽子を着用し、「南無大師遍照金剛」と大声で唱えながら進みます。「お上り」では途中まで僧侶、御詠歌講員、護持会や観光協会役員が行列して見送り、「お下り」では途中で稚児たちが出迎え、そして湯汲み行列と合流してお寺に戻ります。

開帳と読経 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
開帳と読経

この時だけ扉が開けられ、弘法大師の像を拝見できます。

一般の方の焼香 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
一般の方の焼香

多くの人が焼香に訪れていました。

お神輿に載せられているのは秘仏の大師像です。稚児行列やお湯汲み行列と合流して温泉街を練り歩いたのち、「とっこの湯広場」でいったん神輿を降ろし、開帳や読経が行われたのちに焼香が行われます。

この時だけは内部に安置された秘仏の大師像を拝観することができるとあって、多くの方が焼香を行っていました。

護寺会の方々 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
護寺会の方々

弘法大師の幟旗を持って歩きます。

小学生たち 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
小学生たち

小学生が神輿の前で声を張り上げていました。

神輿の山入り 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
神輿の山入り

重たそうな神輿です。

神輿の帰還 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
神輿の帰還

そのまま堂の中へ入り、大師像は元の場所に安置されます。

お湯汲み娘の到着 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
お湯汲み娘の到着

無事に到着です。ほっとしたような表情をしていました。

お湯汲み娘によって運ばれたお湯の入った桶は本殿内に運ばれます。そして読経のあと、各旅館へ運ばれ、それぞれのお風呂に注がれます。

・感想など

お湯汲み娘 修禅寺春季弘法忌湯汲み式の写真
お湯汲み娘

温泉旅館の名が入った木桶を持って歩きます。

温泉のお湯に感謝し、温泉の湯の入った桶を持った着物姿の女性が温泉街を練り歩くというのは温泉地ならではといった風情でした。春らしくピンク色の着物を着ているのも素敵に感じる部分です。

手にする桶には各旅館の名が書かれています。これも風情を感じる部分ですが、お湯汲み娘にとっては書かれている旅館のためにも途中でこぼしてはいけないと責任重大です。笑顔でありながらも真剣な表情で桶を持っているのが印象的でした。

なんでもお湯汲みに参加すると良縁に恵まれるとかなんとか。本当にそうなるといいですね。

修禅寺春季弘法忌 湯汲み式
<2012年訪問>
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* 情報、アクセス等 *

・修禅寺春季弘法忌 湯汲み式の概要

・開催日時中止 2020年4月20、21日(月火) (毎年4月20、21日)
・開催場所修善寺境内と修善寺温泉街(伊豆市修善寺964)
・行事内容法要、献湯、練り行列
・スケジュール13時半から
・アクセス等伊豆箱根鉄道修善寺駅からバス。有料の駐車場有。
・備考ーーー
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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