
大室山の山焼き
伊豆の大室山では早春に環境保全のために山焼きが行われます。山を丸ごと焼いてしまう様子はとても迫力があり、多くの観光客が訪れます。
・開催場所 : | 大室山(伊東市富戸) |
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・開催日時 : | 2月第二日曜日 |
・行事内容 : | 山焼き |
・備考 : | 2010年訪問 |
*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。
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* 大室山の山焼き訪問記 *
・大室山の山焼きについて

登山が禁止なので、リフトで上がります。
伊豆半島の東側、伊東市南の伊豆高原に大室山があります。標高580mの綺麗な円錐をしている山で、山頂には直径300m、周囲1000m、深さ70mの噴火口跡があります。とても面白い景観を持つ山で、手軽に山頂に上がれるリフトも設置されていることから、人気の観光地となっています。
大室山では毎年2月の第2日曜に大室山の山焼が行われます。気候のいい時期にしか訪れない人は、あの緑の山を焼いちゃうの?とビックリする事でしょう。本当に山を丸ごと焼いて山全体が真っ黒になってしまいます。
この山焼自体は700年の伝統があり、もともとは野草の成長のために欠かせない重要な山の保全行為だったのですが、今ではもっぱら観光事業として毎年行われています。

訪れた年は3月中旬の開催にずれ込み、早咲の桜が咲いていました。
山焼きは条件が揃わないと行えない行事です。当日に雨が降らないことはもちろんですが、風が強かったり、乾燥しすぎていたり、また前日などに雨が降ってしまうと地面が濡れて山焼きが行えません。
山焼きが行われない場合は翌週への順延となります。延期となる事も多く、2月の第三日曜日になったり、酷い時は3月中旬ということもあります。2月中旬から3月上旬頃の日曜日に伊豆方面へ行くのなら念のため伊東観光協会のサイトで確認してみるといいでしょう。運がよければちょうどビンゴという可能性もあります。

全山焼きが行われる前に演奏が行われます。
行事はまず9時半から山頂焼き、お鉢焼きが行われます。大室山の上にはリフトでしか上がれなく、運べる人員に限りがあるので、時間帯によっては長い列ができたり、制限が行われます。
お鉢焼きが終わると、麓のリフト乗り場のところで11時15分から神事が行われます。雨天などで中止の場合でもその日は神事のみは行われるようで、逆に延期の場合には太鼓の演奏が行われます。
12時からはいよいよ山の外側全体を焼く全山焼きが行われます。初めて見るならさくらの里あたりが無難なところでしょうか。風向きなどにもよりますが、リフト乗り場周辺の麓から先着で選ばれた人達によって一斉に点火され、山全体に火が広がっていきます。
ちなみに当日は、全山焼きの時間が近づくにつれて恐ろしいほどの渋滞します。バイクだと駐車場が満車でも隅っこに停めさせてくれますが、車はそうはいかないので駐車待ちの車列が山を一周してしまうこともあります。中途半端な時間に訪れるなら山の周回道路に近づかず、少し離れた場所から眺めるほうがいいかもしれません。
・行事の様子1 お鉢焼き

山頂に点けられた火が底へ向かって進んでいきます。
大室山には山頂を一周できるように遊歩道が設置されています。まずは安全確保のためその周辺を焼いて必要以上に燃え広がったりしないようにします。
その後お鉢の中を焼きますが、風次第で上の両サイドから行われたり、お鉢の下から行われたりするようです。

どんどんと火が鉢の底へ進んでいきます。

今日は順調なようで、出番はないかなといった感じでした。

風向きによって煙が登山道にまとめて上がってきます。

走る感じで広がり、太陽のコロナのように炎が渦巻くこともあります。

鉢の底に火が集まり、噴火のように煙が昇っていました。
風がないと時間がかかるようですが、風がそれなりにあると一気に燃え広がってあっという間に終わってしまいます。私が訪れたときは風が強く、10時半にはほぼ燃え尽きました。
お鉢焼きは風向きによっては煙に巻かれたりと見ている方も結構大変です。写真を撮るにも煙が凄すぎてAFも迷いっぱなしだし、露出も迷いっぱなし。なかなか難しいです。

風があったので、すぐに煙も消え、すっきりとした風景になりました。

黒々とした風景の中を歩くのも変わった体験です。

黒い台地と白い雲。コントラストが強く、面白い風景です。
時間的にお鉢焼きから見るべきか、全体焼きだけにしようかと迷うところですが、迷っているならお鉢焼きから見ることをお勧めします。全山焼きを麓で眺めるよりも迫力がありますし、この時間なら駐車場も空いています。
全体焼きの最中はリフトが止められ、山頂にいる人は全員下に降ろされるようになったので、早めに山頂への入場規制が行われているようです。
以前は上で全山焼きを見ることもできましたが、下から見た感じでは上にとどまるのは恐いですね。それにリフトが止まるまでに乗れないと山焼きが終わるまで上で待機させられるので、下で見たい場合は早めに列に並んで確実に降りられるようにしなければなりませんでした。
・行事の様子2 全山焼き

リフト乗り場付近から煙が上がりました。
全山焼きは12時に始まります。通常の風向き、いわゆる北風だとリフト乗り場付近に点火されます。
この点火に参加することもでき、当日先着70名、松明1本1000円で販売されます。

火がどんどんとこちらへやってきて、目の前の山が燃えていきます。

火が走り、ゴォーと凄い音がします。
あまりの音に怖がる子供も多いです。
点火した火は徐々に山の斜面を登っていき、どんどん山が黒くなっていきます。きれいなラインで火が走っていくのがよくわかりますが、風の影響などでラインが乱れ、ぶつかり合うと竜巻が起き、ゴォーといった雷のような凄い音がします。

目の前を通り抜けていきました。

消防団の人が外に燃え広がらないように待機しています。
お父さん頑張ってといった感じでしょうか。

山が真っ黒になってしまいました。
まるで噴火後の山といった感じです。
山全体が燃えると山焼きは終了です。再び民族大移動が始まって、周辺道路が酷いことになります。
それを傍目に消防団の人達はせっせと火が燃え広がらないようにと麓付近の火種を消して回っていました。
・感想など

毎年の恒例行事ですが、なかなか日にちが定まらないのが難点です。
大室山の大きくもなく、小さくもないサイズ感が山焼きを見るのにちょうどいいです。しかもお鉢焼と全山焼きといった違う種類の山焼きを一度に見れるので、山焼きを存分に満喫することができます。
とても迫力のある行事で、火が走るというのはこういう事を言うんだというのもよくわかりましたし、山火事に巻き込まれたら絶対に逃げれないといった恐怖も感じました。
それに豪快に火が起こると上昇気流が起き、竜巻が起こったり、空気がすれて大きな音がするのも驚きでした。やっぱり実際に見るのは違うなといったところでしょうか。
関東近辺では特にお勧めしたい行事の一つなのですが、難点はあまりにも順延が多いことです。自然相手だからしょうがないのですが、訪れる方としてはこの部分が安定してくれるとうれしいところです。
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* 情報、アクセス等 *
・大室山の山焼きの概要
・開催日時 | 2020年2月9日(日) (例年2月第二日曜) |
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・開催場所 | 大室山(伊東市富戸) |
・行事内容 | 山焼きと関連行事 |
・スケジュール | 9時半からお鉢焼き、正午から全山焼き |
・アクセス等 | 伊豆急行伊東駅、伊豆高原駅よりバス。無料の駐車場有。 |
・備考 | 荒天や積雪等で開催できない場合は翌週へ順延 |
・関連サイト |
*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。
* 地図 *
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