風の祭事記 風の旅人祭り訪問記
風の祭事記
風の旅人 祭り、イベント訪問記

芳地戸のふせぎ(川越)

川越市笠幡の芳地戸地区では江戸時代に疫病が流行した時に始まったふせぎが今でも素朴な感じで行われています。

・開催場所 :尾崎神社(川越市笠幡)など
・開催日時 :春分の日
・行事内容 :神事、ふせぎ行列
・備考 :2010年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

広告

* 芳地戸のふせぎ訪問記 *

・芳地戸のふせぎについて

フセギの案内板 芳地戸のふせぎの写真
フセギの案内板

川越市の無形文化財になっています。

埼玉県は関東の中でも村単位の小さな伝統的な行事が多く残っている地域です。特に獅子舞や「ふせぎ」といった行事は多いような気がします。

川越市の外れに位置する笠幡の芳地戸(ほうじど)地区にも歴史の古いふせぎが伝承されています。

言い伝えによると、江戸時代の享保6年(1721年)に疫病が流行した時に始まったとされ、その伝統的な一連の行事は川越市の無形民俗文化財に指定されています。

「ふせぎ」とは、簡単に書くと悪魔払いの事です。大掛かりなものは藁で編んだ大蛇を村の入り口に掲げて、悪鬼や厄、流行病などが村に進入しないようにしています。要は厄などを「防ぐ」という儀式で、日本だけではなく世界各地でよく見る風習です。

尾崎神社の参道 芳地戸のふせぎの写真
尾崎神社の参道

木々が生い茂り、うっそうとした感じの神社です。

芳地戸のフセギは毎年春分の日(3月20日又は21日) に地域の社である尾崎神社で行われています。

尾崎神社は、日本武尊が東征した際にここを通り、台地はずれの見晴らしのよい所ということで「尾崎の宮」と称えて二神を祀ったと伝えられているようです。

この神社を訪れて驚くのが境内には大木が多く、木々が生い茂っていることです。神社として約四千坪の神域を所有しているようで、川越市の「ふるさとの森」にも指定されています。

芳地戸のふせぎはこの木々が生い茂る神社で、まず午前中に神社でふせぎのための御神輿や札辻などが村人によって製作されます。

午後になると、拝殿の中でふせぎの祈祷が行われ、それが終わると隊列を組んで神社を出発し、芳地戸地区の家々を回っていきます。

・行事の様子

出発準備 芳地戸のふせぎの写真
出発準備

さあ出発しようかといった場面です。

ふせぎに使われる神輿は午前中に製作されます。非常にシンプルな構造の神輿で、担ぎ棒は2本の青竹、それに藁や竹で編んだ座布団のような四角の台座が取り付けられ、その上に御神体が置かれ、更に榊が沢山差し込まれています。

午後になると、まず拝殿の中でふせぎの祈祷が行われます。それが終わると、それぞれが自分の役割の道具を持ち、神社を出発します。

参道を進む 芳地戸のふせぎの写真
参道を進む

太鼓を先頭に木々が生い茂る参道を進んでいきます。

まずは立派な木が並ぶ参道を進んでいきます。

ふせぎの列が木々が生い茂った参道を進んでいく様子は素敵ですが、木の影も多いので写真的には微妙でしょうか。

ふせぎの行列 芳地戸のふせぎの写真
ふせぎの行列

風景を含めてのどかな行列です。

歩道を進む様子 芳地戸のふせぎの写真
歩道を進む様子

宮司さんと神輿が列の後ろから見守ります。

ふせぎの行列の先頭は太鼓となるのですが、行列よりも少し先に行き、太鼓を鳴らして間もなく行列が来ますよ。準備してください。といった合図として使われている感じでした。

昔は「ヨーイド・マーダー」と子供達が声を上げ、それに合わせて太鼓を打ち鳴らしながら進んでいたようですが、最近ではそういった事がなくなったので、先に行って太鼓を鳴らすほうが効率がいいようです。

太鼓を抜かせば先頭は旗持ちで、その後にお札を持つ子供たちが続きます。お札は18本あり、辻札9本は男の子達、輪飾りの辻札9本は女の子達が本来持っていましたが、今では区別なく持っています。というより、子供が少なくなってしまって大人が余った分を持っている状態でした。

列の最後は神輿と宮司さんが務め、総勢30人ぐらいの列になります。

家の訪問 芳地戸のふせぎの写真
家の訪問

大勢でお宅訪問といった感じです。

ふせぎは予め訪問する家が決められていて、その家の庭先に入り、そのまま一回りして出て行くといった感じです。

家の人はそれを出迎えて挨拶をする程度で、一軒の滞在時間は短いです。長話をしていたら回り切れなくなってしまいます。

昭和42~3年ぐらいまではちゃんと家の中まで入って清めていたそうですが、このへんは時代の流れというやつですね。

芳地戸のふせぎの写真
菜の花とフセギ

花があると明るい感じがしていいですね。

行列は途中で休憩を挟み、3時間ほどして神社に戻ります。そして出発前と同じように拝殿で祝詞があげられ、その後に社務所で直会が開かれます。

それが終わると、辻札を立てる場所の近くに住んでいる人が持ち帰り、二種類の辻札を1つのセットとして立てるようです。

・感想など

ふせぎの一コマ 芳地戸のふせぎの写真
ふせぎの一コマ

のどかな風景の連続でした。

素朴という表現がぴったりの行事でした。少しの間一緒に歩きましたが、なんかほのぼのとしていていいな・・・、そういった気分になれました。

こういった素朴な行事は地方では過疎化で、都会では価値観の変化で減っている状態です。今後も出来る範囲で続け、ふせぎの力で地域の絆を深め、そして地域を厄災から守り続けてほしいものです。

芳地戸のふせぎ 風の旅人 - 2010年訪問

広告

* 情報、アクセス等 *

・芳地戸のふせぎの概要

・開催日時2020年3月20日(祝) (毎年春分の日)
・開催場所尾崎神社(川越市笠幡1280番地)など
・行事内容神事、ふせぎ行列
・スケジュール午前神輿製作、午後から神事、ふせぎ
・アクセス等JR川越線笠幡駅より徒歩圏内。
・備考ーーー
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

広告

広告

広告