風の祭事記 風の旅人祭り訪問記
老袋の弓取式のパンフレット
風の旅人 祭り、イベント訪問記

老袋の弓取式

川越市下老袋の氷川神社では毎年2月11日に的に弓を放ち、その当たり具合で農作物の出来具合などを判断する老袋の弓取式が行われます。

・開催場所 :下老袋氷川神社(川越市下老袋732)
・開催日時 :2月11日
・行事内容 :的矢祭(予祝行事)
・備考 :2012年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 老袋の弓取式訪問記 *

・老袋の弓取式について

文化財の案内板 老袋の弓取式の写真
文化財の案内板

この神社では二つの民俗文化財が行われています。

川越市の東端に老袋地域があります。入間川沿いに広がるこの地域は上老袋、中老袋、下老袋、東本宿に分かれていて、下老袋にこの地域の守り神である氷川神社があります。

この氷川神社では毎年2月11日に埼玉県の無形民俗文化財に指定されている老袋の弓取式が行われます。

弓取式とはおびしゃ(歩射)とか的矢祭と言われる予祝神事の事で、的に弓を放ち、その当たり具合で天候や農作物の出来具合などを判断します。

また、4月11日には同じく無形民俗文化財に指定されている老袋の万作といわれる芸能も行われていて、古くからの風習や慣習が大切にされている地域です。

・行事の様子

行列 老袋の弓取式の写真
行列

文化財の立て札を先頭に神事の列が進んでいきます。

ユミトリッコ 老袋の弓取式の写真
ユミトリッコ

本来の祭りの主役は6歳までの男の子です。
かつては「ユミトリッコ」として矢を射ていました。

甘酒の樽 老袋の弓取式の写真
甘酒の樽

埼玉では甘酒を奉納する甘酒祭りが多いです。

豆腐田楽を運ぶ人達 老袋の弓取式の写真
豆腐田楽を運ぶ人達

田楽を運ぶ人が続く様子は独特です。

当日は、午前9時半から神事が始まります。まず鳥居前に式典に参加する人達が集まり、そして鳥居をくぐって神社に入ってきます。

先頭は埼玉県指定無形民俗文化財の札を掲げている人で、神主、総代、ユミトリッコと続き、その後ろから弓取りに使われる弓や的を持つ人、そして奉納される甘酒と豆腐田楽を担ぐ人達と続きます。

境内に入ると真っ直ぐ社殿へと向かい、そのまま中に入っていき、社殿内で神事が執り行われます。

弓を引く弓取り 老袋の弓取式の写真
弓を引く弓取り

ここでは5人が座って一斉に弓を射ます。

神事が行われている間に、社殿前に弓取りを行う場が設置されます。ちなみに天候が悪いと社殿の軒下から的を放つように場が設置されるそうです。

社殿内での神事が終わると、すぐにお祓いを受けた的を設置します。そして5人の「ユミトリ」が少し窮屈そうに並んで座ります。

かつては6歳までの男の子が「ユミトリッコ」として矢を射ていましたが、安全上の観点から現在は大人(総代)が矢を射ています。父親が代わりに射るというのはよくありますが、総代が射る、しかも5人で!というのはちょっと変わっているかもしれません。

ただ訪れた時には本来の「ユミトリッコ」の子供は一人しか参加していなく、少子高齢化の波というか、こういった行事に関心を持つ人が少なくなっているような感じです。

的と矢 老袋の弓取式の写真
的と矢

こういう行事ではどのようになろうと、毎年豊作の予報になってしまうものです。

矢の争奪戦 老袋の弓取式の写真
矢の争奪戦

使った矢は縁起物になります。
大人に言われて仕方なく子供たちが取り合っていました。

弓取式で使用する弓と矢はこの神事のために氏子が作ったもので、弓は桃の木を使っています。矢は先をとがらせた・・・竹でしょうか?

的は直径約90cmの円が一番外に描かれていて、中に中円、そして中心に黒円が描かれています。この的の白い部分に多く当たれば晴れが、黒い部分に多く当たれば雨が多い年になると言われていて、3本ずつ3回その的にめがけて矢を放ちます。

これは1回ごとに春、夏、秋を表しています。3回目が終わると今年の占いの結果が発表されます。これは型どおりというか、一生懸命前日に考えたのでしょう。原稿を読んでいました・・・。

その後、子供達によって弓取式で使用された矢の争奪戦が始まります。これを持ち帰ると一年間健康に過ごせると言い伝えられていますが、人が少ないので大人に「取ってこい」言われて、観客へのサービスのように争奪戦をしてくれていました。

豆腐田楽の桶 老袋の弓取式の写真
豆腐田楽の桶

綺麗に並べられていておいしそうです。

弓取り式が終わると、直会といった感じで最初に社殿に運び込んだ甘酒と豆腐田楽が参拝者にふるまわれます。

豆腐殿楽は豆腐に串をさして味噌を塗っただけの簡単なものですが、素朴な味わいはこういった神事と一緒で今も昔も変わらないのでしょうね。

また甘酒もきちんとしたもので、元々この神事は甘酒祭りの一部とか何とか地元の人が言っていましたが、どうなのでしょう。

多くの地元の人はこれを楽しみにやって来ているといった感じで、すぐになくなってしまいました。

粟大福の神輿 老袋の弓取式の写真
粟大福の神輿

神輿の中から饅頭が出てきてビックリしました。

最後にこの日、2月11日が創業記念日となる地元川越の和菓子屋「くらづくり本舗」から、粟大福が配られます。黄色い変な形の神輿があるなと思っていましたが、なんとその中に粟大福が入っていたのです。

粟大福は粟のぶつぶつした食感が普通の大福と違うところでしょうか。これもおいしくいただきました。

・感想など

豆腐田楽 老袋の弓取式の写真
豆腐田楽

狛犬も食べたそうでした。

正月が開けた後に、弓を使った予祝行事は日本各地で行われています。ここの行事もそういった行事の一つで、弓の行事自体に他の地域との差異はほとんど感じられませんでした。

ただ変わっているのが豆腐田楽が登場することです。ずらっと並んだ豆腐田楽の奉納の列は他では見ない光景で、ここ老袋独特の光景かと思います。

最後には甘酒などと一緒に田楽も配られ、川越名物の粟大福もいただけるなど、色々とおいしい思い出が多い老袋の弓取式です。

老袋の弓取式 風の旅人 - 2012年訪問

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* 情報、アクセス等 *

・老袋の弓取式の概要

・開催日時2020年2月11日(祝) (毎年2月11日)
・開催場所下老袋氷川神社(川越市下老袋732)
・行事内容神事、的矢祭
・スケジュール9時30分頃~神事、弓取式
・アクセス等JR川越線「南古谷駅」より徒歩20分。川越駅などからバスの便あり。
・備考県指定無形民俗文化財
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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