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梅宮神社の甘酒祭り

狭山市の梅宮神社の甘酒祭りでは、頭渡しの際に盃を勧めては謡いをあげ、さらに盃を重ねるといった平安朝の饗宴が行われます。

・開催場所 :梅宮神社(狭山市大字上奥富508)
・開催日時 :2月10、11日
・行事内容 :神事、頭渡しの儀式など
・備考 :2012年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 梅宮神社の甘酒祭り訪問記 *

・梅宮神社の甘酒祭りについて

梅宮神社 甘酒祭りの写真
梅宮神社

会場となる神社です。広々とした場所にあります。

埼玉県の狭山市といえば、狭山茶が知られているでしょうか。涼しい気候を利用して育てた茶葉は厚く、また伝統の火入れにより色・香り・味ともに濃い目のお茶というのが狭山茶の特徴となるようです。

その狭山市の入間川と国道16号の間、狭山大橋の近くの上奥富に梅宮神社があります。

この神社は承和5年(838年)、京都にある日本最古の酒造の神と知られる梅宮神社(現・梅宮大社)を勧請したといわれ、昔は上・下奥富だけではなく、この付近一帯の総鎮守として多くの人達に信仰されていました。

文化財の紹介板 梅宮神社 甘酒祭りの写真
文化財の紹介板

クラシックな木の立札が祭礼日に設置されます。

この梅宮神社では毎年2月10、11日に県指定の無形民俗文化財となっている甘酒祭りが行われます。

甘酒まつり自体はこの付近では珍しいことではありませんが、祭りの運営が関東地方では他にみられない頭屋制で行われています。頭屋制とは氏子を数組に分け、その中の1組が1年を単位とする輪番制で祭礼に奉仕することで、現在は9組の頭屋からなっているようです。

そして祭りで頭渡しの際に盃を勧めては謡いをあげ、さらに盃を重ねるといったあまり見られない平安朝の饗宴が行われることが特徴です。

梅宮神社 甘酒祭りの写真
甘酒の樽など

甘酒の樽などを担いで周るようです。

甘酒祭りで重要なのは、やはり甘酒です。甘酒を造る杜氏役が頭屋の中から選ばれます。かつては杜氏役の家で仕込みなどを行っていたので、格式と財力がなければ勤まらなかったとされるほどの大役だったようですが、現在は酒蔵に頼んで管理等をしてもらっているようです。

祭りの当日は甘酒が参拝者にも振る舞われますが、しっかりと味のするおいしい甘酒なのは今でも変わらない感じでしょうか。

・行事の様子

梅宮神社の参道 梅宮神社 甘酒祭りの写真
梅宮神社の参道

露店は並ぶものの、かつての賑わいは・・・といった感じでしょうか。

甘酒祭りは2日間行われます。初日の10日は宵宮になり、夜に社務所にて座揃式(ざぞろいしき)と呼ばれる神事が行われます。

座揃式は主賓(領主)を招いて行われる平安朝の酒宴で、盃を勧めてはそれを飲み干し、謡いをあげては再び盃を重ねるという形で進み、宴の半ばでは領主が神酒の出来を褒めます。

かつては領主として川越藩主だった松平信綱公の参拝があったそうですが、現在では氏子総代らが勤めています。

だるま市 梅宮神社 甘酒祭りの写真
だるま市

境内ではだるま市も開かれます。
でも人がほとんどいませんでした。

西方はやし 梅宮神社 甘酒祭りの写真
西方はやし

境内の舞台で演じられます。

11日は大祭となり、境内にはだるま市が立ち、また参道や境内に出店が並びます。

参拝者には甘酒が振る舞われ、舞台では狭山市の無形民俗文化財に指定されている「西方囃子」が披露されたりと境内は賑わいます。

ただ境内に人は多くなく、年々集まる人が少なくなっているそうです。

大祭の神事 梅宮神社 甘酒祭りの写真
大祭の神事

開始時間になると神職、総代、関係者が社殿へ向かいます。

1時半から社殿にて大祭の神事が行われ、社務所から宮司を先頭に社殿に入っていきます。

これは一般的な大祭の神事で、1時間ほどで終わります。

「頭渡し」の儀式中の拝殿 梅宮神社 甘酒祭りの写真
「頭渡し」の儀式中の拝殿

地元の人が少しいるぐらいで、人があまりいませんでした。

次は4時から同じく拝殿で「頭渡し」の儀式が行われます。これは宵宮に行われた座揃式に似た感じの酒宴型神事で、頭屋を引き継ぐ神事になります。

頭渡しの儀式 梅宮神社 甘酒祭りの写真
頭渡しの儀式

頭屋を引き継ぐ神事です。
拝殿内が独特な雰囲気に包まれます。

拝殿には今年頭屋を勤めた「本頭屋」と来年頭屋を勤める「受け頭屋」を中心に、総代や関係者が囲むような形で着席します。

まず「本頭屋」と「受け頭屋」が口上を述べ、頭渡しの儀式を行います。

酒宴 梅宮神社 甘酒祭りの写真
酒宴

順々に口上を述べてお酒を勧めていきます。

そのあとは、2人の頭屋が列席する人たちにお酒を勧めていきます。

この時の盃のやり取りは、歌を読み上げるような感じで口上を述べ、それに対し受ける側も型通りの返答を行います。これが盃を勧めては歌を詠みあげるといった平安朝の饗宴です。

独特な雰囲気で、「粛々と」といった言葉がふさわしいでしょうか。拝殿内に杯を交わすたびに言葉が響く様子が、とても印象に残っています。

頭渡しが済むと、頭送りの儀式に移るようですが、これは見ていないのでよく分かりません。

境内に置かれている樽神輿や酒造り道具を受け頭屋に送り込む行事で、両当番の男達が神社でひと練りしたあと村内を勇ましく練り歩くと案内板には書かれていました。

・感想など

お参り 梅宮神社 甘酒祭りの写真
お参り

拝殿の鈴には長くて色とりどりの布が取り付けられていました。

厳かな神事といった感じでした。頭渡しの儀式は拝殿の中で粛々と行われ、雰囲気がとてもよかったです。

派手な行事ではないのでしょうがないのでしょうが、それを差し引いても地元の人が少ないのが気になってしまいました。今後も変わらずに続いてほしい行事です。

梅宮神社の甘酒祭り 風の旅人 - 2012年訪問

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* 情報、アクセス等 *

・梅宮神社の甘酒祭りの概要

・開催日時2020年2月10日(月)、11日(祝) (毎年2月10、11日)
・開催場所梅宮神社(狭山市大字上奥富508)
・行事内容神事、頭渡しの儀式など
・スケジュール10は宵宮、11日が大祭
13時半から大祭神事、16時から頭渡しの儀式
・アクセス等西武新宿線新狭山駅より徒歩少々。
・備考県指定無形民俗文化財
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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