豆田流しびな
かつて天領だった大分県の日田市。今でも古い町並みが残る豆田地区では観光客などに楽しんでもらおうと流しびなが行われ、観光客や地元の人によって賑わいます。
・開催場所 : | 桂林荘公園(大分県日田市) |
---|---|
・開催日時 : | 3月3日頃の日曜日 |
・行事内容 : | 流し雛、琴の演奏など |
・備考 : | 2018年訪問 |
*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。
広告
* 豆田流しびな訪問記 *
・豆田流しびなについて
九州の北側の真ん中に日田の町があります。天領日田というキャッチフレーズが観光パンフレットなどで大きく書かれているように、ここは江戸時代に天領(幕府の直轄地)となっていました。
天領自体は日本の各地にあったので、それだけならそう珍しいことではないのですが、日田には九州の天領を統括する西国筋郡代が置かれていて、九州の政治経済の中心地となっていました。
日田の繁栄ぶりは「山あいに都あり」と言われるほどでした。日田を経済的に支えたのが「日田金(ひたがね)」です。これはこの地に金鉱があったというわけではなく、豪商の金融資本となります。簡単に言うなら高利貸しといったもので、その富は莫大でした。
その日田の金融の中心となっていたのが豆田町です。現在でも古い豪商の家屋や町屋が多く残っていて、公開されている商家などを見学すると調度品などからかつての栄華を計り知ることができます。
江戸幕府の終焉とともに天領としての特権もなくなり、日田の栄華も終わりを告げます。明治以降は金融の町から林業の町へと変わっていき、日田杉を用いた木工工芸品などが現在の特産品となっています。
古い町並みが残る豆田町の東側、花月川から分流している中城川沿いに桂林壮公園があります。変わった名前のついている公園ですが、江戸時代に広瀬淡窓が開いた日本最大級の私塾「咸宜園(かんぎえん)」の前身である「桂林荘」の跡地に作られたという公園です。敷地内には広瀬淡窓の石像や詩碑が建てられ、川沿いにはテラスと東屋が建てられています。
この桂林壮公園で毎年3月3日近くの日曜日に豆田ながしびなが行われます。主催しているのは地元有志でつくる豆田観光協議会で、豆田商店街の協力で行われます。
「観光客も参加できる催しで、まつりを盛り上げよう」と企画され、2006年から始まりました。最初は北を流れる花月川で行われたのですが、翌年から支流の中城川が流れるここ桂林壮公園が会場となりました。
流しびなが行われるのは10時~14時の間で、会場内では野点や琴の演奏が行われます。
ここではなんと流し雛が無料です。会場を訪れると紙のおひな様をもらえ、それに名前や願い事を書いて流すことができます。
・行事の様子
豆田流しびなは桂林壮公園で10時から14時ころまで行われます。
公園内の川辺にはテラスがあり、テラスの先に流し雛がやりやすいように川にせり出すような流し場が設けられます。テラスからだと自分の流した雛が正面に進んでいくのがいいですね。
このテラス部分には東屋があり、そこで流し雛を無料でもらえ、願い事や名前などを記入できます。無料という手軽さもあって、次から次へと地元の人や国内外の観光客が訪れて、流し雛を楽しんでいました。
ちなみに雨天の時でも流し場の上にテントが設置するので、少しの雨なら大丈夫です。
10時から14時と長い時間行われているので少し混雑する時間もありますが、行列ができるようなことはないようです。
自分の着物、或いはレンタルの着物で日田のおひな様めぐりをする人も多く、着物姿で流しびなを楽しんでいる人も多かったです。
会場内では地元のご婦人方によって琴の演奏が行われたり、野点が行われます。なんと野点も無料です。おまけにお菓子付きです。ただ、お菓子の方は数に限りがあるので野点が始まってしばらくするとなくなってしまいます。お茶の方の接待はしばらく続いていました。
琴の演奏を聴きながらお雛様を流し、そして野点のお茶をも楽しむことができ、とてもいい日田の思い出になりそうです。
流されたおひな様は水路を流れていきます。自分の流したお雛様が気になるようで、子供たちが水路沿いに自分の流したお雛様を追いかけている様子が印象的でした。
衝撃だったのが、お雛様の行き着いた先でした。
水路の先には柵があってそれ以上物が流れないようになっているのですが、そこでは流れ着いたお雛様で埋め尽くされていました。
それだけならまだよかったのですが、微妙な流れに全体的に揺らめくのです。わさわさと動く大量のお雛様・・・。表現は悪いですが、水路の床一面に虫が張っている感じ・・・。見ていると背中がかゆくなってきました。
・少し足を延ばして
日田の市街地ではひな祭り一色ですが、少し離れた日田市大山町は梅の里となっていて、西大山の「おおくぼ台梅園」では約6000本、東大山の「ふるや台梅園」では約3000本の梅を楽しむことができます。
ちょうどひな祭りの時期には「日田おおやま梅まつり」が開催されていて、地元の特産品の販売、各種ステージイベントなどといった様々な催しが行われています。開花状況を見て、合わせて訪れるといいかと思います。
・感想など
天領日田の町並みは九州随一と言われるだけあって、とても立派な町並みでした。町に飾られているお雛様も江戸時代の高級品が多くあり、かつての繁栄ぶりをお雛さまでも感じることができました。
この立派な町並みを見ようとひなまつり期間中も多くの観光客が訪れます。そういった観光客に楽しんでもらおうと始めた流しびなには、多くの観光客が訪れ、楽しそうにひなを流していました。やはり無料だと気軽に楽しめていいですね。
でも観光客の足取りは早いもの。テラスでは賑やかに流しびなが行われる一方、地元の子供たちが自分の流したおひな様を見守りながら水路を追いかけていました。その素朴な様子が対照的でとても印象に残りました。
豆田流しびな 風の旅人 - 2018年訪問広告
* 情報、アクセス等 *
・豆田流しびなの概要
・開催日時 | 2020年3月1日(日) (例年3月3日頃の日曜日) |
---|---|
・開催場所 | 桂林荘公園(大分県日田市城町1-305-1) |
・行事内容 | 流し雛、琴の演奏、野点 |
・スケジュール | 10時~14時 |
・アクセス等 | JR久大本線日田駅から徒歩約15分。 天領日田おひなまつり用の無料駐車場有。 |
・備考 | 流し雛は会場で無料で配布されます。 |
・関連サイト |
*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。
* 地図 *
広告