* 大井町菜の花まつりについて *
大井町は神奈川県西部にある町で、なんでも鎌倉時代からこの辺りは「大井の庄」と呼ばれていたとか。「吾妻鑑」や「新編相模風土記稿」にもそのことが記されているようです。なかなか歴史のある町という事になるのですが、何が有名なの・・・となると、農業は盛んだし、高速のインターから近いので工場も多いし、バランスのよい町だと思いますが、特にこれといった物がないような感じです。一応「ひょうたんの町」と言われているようですが、これは古くからの物ではなく、昭和45年に御殿場線上大井駅の構内に西日除けの為駅員がひょうたんを植えたのがきっかけでした。その後、ひょうたん駅と話題となり、大井町の町おこしとしてひょうたんの普及活動に努めているといったところです。
その大井町では三月中旬頃に菜の花まつりが行われます。町を流れる酒匂川の東岸の金手地区が祭りの会場となり、この時期この一帯には菜の花畑が広がります。その広さは約3haほど。これは冬場休耕になっている水田を借り受け、町や幼稚園児、児童などが菜の花の種をまいたもので、菜の花はこのまま水田の肥料になってしまうとか。そしてこの水田で穫れた米が菜の花米として会場の物産展で売られているのも、面白いところでしょうか。
祭りの期間は3月中旬頃の一週間ほどで、土日、祝日にはイベントが行われます。年によって違うのかもしれませんが、変わったものでは普段なかなか体験する機会が少ない乗馬や熱気球などがあります。その他、野だてやこの地区に伝わるお囃子や和太鼓演奏、農産物の販売といったことも行われます。菜の花に囲まれながらの演奏などは春を感じつつ、また絵的にも良さそうですね。
またこの場所は国土交通省の「関東の富士見百景」に選定されていて、晴れている時の富士山の眺望はなかなかのものです。富士山をバックにした菜の花もまた絵になるし、空にぷかぷかと気球が浮かんでいるというのも何とも言えません。楽しいイベントに春を感じる菜の花、そして富士山の眺望と三拍子揃っていていい祭りでした。残念ながら現在では菜の花の栽培を行っていなく、イベントも行われなくなってしまいました。
風の祭事記 大井町菜の花まつり
風の旅人
<2009年訪問 - 2019年2月更新>