* 一の堰ハラネ桜まつりについて *
南足柄市は神奈川県の西部にあります。足柄峠の足柄関所跡や古刹大雄山最乗寺に富士フイルムやアサヒビールといった大企業の工場がある事が有名でしょうか。その南足柄市では春先に町のあちこちに植えられている春めき(足柄桜)が満開となります。春めきはソメイヨシノよりも一足早く咲く桜で、カンヒザクラとシナミザクラの交雑種の一つとされています。南足柄市内で彼岸のころに咲いていた桜の枝から育成し、2000年に「春めき」と正式に品種登録されたものです。それまでは足柄桜と呼ばれていた事からも、足柄地域のシンボルといってもいいほどの桜です。南足柄市では春めきの開花に合わせて市内の3カ所で桜祭りが行われます。また南足柄市を中心にして近隣の大井町、松田町、開成町などと協力して「あしがら花紀行」という四季折々に咲く花による地域おこしを行っているので、この足柄地域では季節ごとに多くの花祭りが行われています。
南足柄市の早春に行われる春めき祭り3部作のうちの一つがこの「一の堰ハラネ桜まつり」です。変わった名前が付いていますが、一の堰農道沿いで行われる祭りで、ハラネは・・・何でしょう。住所的には南足柄市怒田となるので、地元ではこの辺りの事をこういう呼び方をしているのでしょうか。その辺の事情は詳しくはわかりませんが、一の堰農道沿いの斜面、正確には上にJAかながわ西湘福沢総合選果場がある怒田丘陵の斜面(約3,000平方m)に120本の春めきが植栽されています。
この桜たちは一般の方から桜の里親を募り、里親制度で育てられてきたものです。ですから桜をよく見ると、根本に名札が付いていたりします。ぱっと見た感じでは子供が生まれた時の記念などに植える人が多い感じでしょうね。後年、子供が成長した時にこれはおまえが生まれたときに植えたものだよといったいい思い出になりそうだし、毎年家族で訪れる口実が出来るのもいいですね。でも・・・、一番下の人はいいかもしれませんが、上の方の人は名札が見えないかも・・・とさりげなく思ってしまいました。
2009年から春めきの見ごろに合せて祭りを開催することになったようです。祭りと名が付いていますが、祭りらしいのは期間中の土日、祝日に農産物や特産物の販売が行われているのと、夜にライトアップされている事ぐらいでしょうか。ライトアップは下段の10本程度を単独で光を当てただけのもので、ちょっと寂しい感じでした。ちょっと・・・、微妙です。写真を撮っていても犬を散歩する地元の人ぐらいしかいなく、寂しい限りでした。
イベントに関してはいまいちな感じもしますが、斜面に三段の雛壇状に並ぶ桜の様子はユニークであり、遠くから見ると桜がツツジのように見えるから面白いです。現在はまだ桜も成長段階。去年よりも今年。今年よりも来年。と年々桜が見事になっているので、今後より立派な風景になる事でしょう。それと共にこのお祭りも回を重ねてより魅力的になっているに違いありません。もしこの付近を通りかかるなら、特に早朝は美しいので寄ってみるといいと思います。ちなみにこの場所はアサヒビール神奈川工場に向かう途中にあります。アサヒビールの敷地内にも多くの桜が植わっている事で有名で、工場内に設置されている直営のレストランやショップも一緒に訪れるといいです。
風の祭事記 一の堰ハラネ桜まつり
風の旅人
<2010年訪問 - 2019年2月更新>