* 小田原梅まつりと流鏑馬について *
関東近辺でバイクで手軽に訪れることができる梅林の中で一番お勧めだと思うのは、小田原市の東にある曽我梅林です。ちょうど箱根や伊豆方面に行く途中にあるし、わざわざ山の中へ入って行かなくてもいいし、辺り一面梅林なのでそこまで興味なくても走り抜けるだけでも匂いや雰囲気を味わうことが出来るからです。この曽我梅林のある曽我という地域は仇討ちで有名な「曾我兄弟」のふるさとで、その縁の越前寺などといった史跡があります。以前は梅まつりの他に傘焼きまつりというイベントがあったのですが、残念ながら今ではひっそりとした行事となってしまいました。
この曽我梅林は、中河原、原、別所の各梅林からなり、約3万5千本もの梅が植えられています。ここではあくまでも食用梅の生産が目的なので、その殆どが白い花の白梅です。味気ないといえばそうですが、同じ種類の梅が植えられているということは、同時期に多くの梅が開花するということで、満開時には辺り一面が白い絨毯といった感じになり、その光景に感動することでしょう。天気がよければ霊峰富士や箱根連山が背景となり、更に感動も大きくなります。この曽我梅林と小田原城址公園では2月の1ヶ月間に小田原梅まつりが行われます。基本的には曽我梅林でのイベントがほとんどで、曽我梅林でも、別所、原、中河原の3つの梅林にそれぞれステージが設けられ、様々なイベントや物産展などが開かれます。
梅まつり期間中のイベントとしては、11日の建国記念日に行われる流鏑馬(やぶさめ)がハイライトとなるのでしょうか。鎌倉時代に源頼朝の家臣でこの地域を領地としていた曽我祐信が弓馬の達人であったという伝承にちなんで、「天下太平、五穀豊穣(ごこくほうじょう)」を祈願する神事として行われているものです。まず馬上の横に設けられた祭壇で式典と祭事が行われ、その後馬場(走路)を射手の人などがパレードします。雰囲気を盛り上げるためか、小田原城の甲冑隊の人も一緒だったりします。その後、流鏑馬が行われます。ただ南北に延びた走路の東側からしか見れないので、逆光となるし、走路の向こう側は線路なので電線が多いし、電車が通ると馬と併走しているといった変な図になったりします。でもそれは写真愛好家のわがままで、流鏑馬が好きな人には関係ないことです。人気の行事となっていて例年多くの人が訪れています。
その他会場では小田原の郷土芸能の小田原ちょうちん踊りが行われたり、寿獅子舞、大正琴や琴と尺八のコンサートなどといった定番のイベント、そして書の舞などといったちょっと見てみたいような事も行われています。変わったことでいうなら種とばし大会というのも梅林ならではでしょうか。実際に見ていないので分かりませんが、口でどれくらい飛ばすのかといったもののようです。こういったイベントが行われている昼頃は混雑していると思いますが、朝の早い時間は空いていてバイクや車を止める場所に困らない状態です。天気のいい日なら箱根方面に行く前にちょっと寄って、富士山と梅林を堪能するのも悪くないかなと思います。いやその前に二宮の菜の花を見て、この梅林を見て、大観山、伊豆スカから雄大な富士山を拝めば一日幸せに感じるかもしれません。そういう天気のいい日に恵まれるとうれしいですね。
風の祭事記 小田原梅まつりと流鏑馬
風の旅人
<2009年、2011年訪問 - 2019年2月更新>