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風の祭事記 ~祭り、イベント訪問記~

満福寺 火伏まつり

初不動の日、小田原の満福寺では火伏の火渡りが行われ、多くの信者とカメラマンが集まります。

・場所 : 満福寺(小田原市中里487)
・開催日時 : 毎年1月28日
・スケジュール : 12時から法要、13時から火渡り
・備考 : 2012年訪問
*開催場所、日時、内容等は年によって異なる場合があります。

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*** 満福寺 火伏まつりの写真 ***

小田原満福寺の火伏まつりの写真
満福寺

比較的新しい感じのお堂です。

小田原満福寺の火伏まつりの写真
山伏問答

場に入る前に問答が行われます。

小田原満福寺の火伏まつりの写真
入場してきた山伏

場の中で幾つかの秘儀を公開します。

小田原満福寺の火伏まつりの写真
柴燈護摩

勢いよく炎が上がり、祈願木が投げ込まれます。

小田原満福寺の火伏まつりの写真
火渡り

熱そうです。

小田原満福寺の火伏まつりの写真
一般の人の火渡り

この時は大きく道が開かれます。

* 満福寺 火伏まつりについて *

毎年1月28日に小田原市中里にある満福寺で「火伏まつり」が行われます。1月28日といえば初不動の日。各地のお不動様では火災除けの火伏せ札や火伏せうちわなどが売られています。「火伏まつり」といえばそういった類のものを思い浮かべてしまいますが、ここの「火伏まつり」はなんと素足で火の上を渡るといったアクロバット的荒行を行う「火渡り修行」で、その様子を見ようと多くの信者とカメラマンが集まります。

火渡りを行うのは関東一円から集まった修行者(山伏)で、修験道1200年の秘法と伝えられる火伏せを行います。当日は12時に山伏装束に身を包んだ修験者たちが、ほら貝を鳴らしながら寺に入ってきて、まずは堂内で法要などが行われます。そして13時になると境内に設置された修験場に入ってきます。入る際には山伏問答が行われ、それが終わると続々と山伏姿の修験者、僧侶が入場してきます。修験場に一通り入ると、整列し、幾つかの儀式が行われます。それらは神木登り、宝剣、宝弓、宝槍、宝斧などといった千年来の秘技となるようですが、まあなんというか、雑伎団のようなものを期待してはいけません。こういった儀式の間中ホラ貝が鳴らされるのですが、これも悠久の歴史を感ずる独特な音色と感じるか、品のないドラ音と感じるかは人それぞれかと思います。

場の中央には人の背ほどに高く積まれた護摩札やしめ飾りの山が高く積まれています。一通り儀式や秘技が公開されると、それに火が放たれます。火が高く上がると、一斉に参拝客が願い事などを書いた「祈願木」を投げ込みます。これがかなりの数で、知らないと頭上を飛んでいく木札に何事だとビックリしてしまいます。しばらくは勢いよく燃え上がる炎に向かって読経が行われます。燃えるものが少なくなっていき、火の勢いが衰えると、場をならしていきます。そして、そこに新たに木札を敷き詰めた道をつくり、その木札が燃え上がると山伏たちが刀をかざしてその上を一気に渡るといった火渡りを披露します。無事に渡り終えると、場内からは大きな拍手が湧きました。これで山伏による火伏せ行事は終わり。この後は燃えているものを左右にかき分けて炎の中の道が作られ、素足になった参拝者が次々と手を合わせながら安全な火渡りを行い、無病息災や家内安全を願っていました。

今の世の中、山伏を本業に生きていくのは難しく、千年の秘術とか、秘伝の・・・とかいってもやっぱり俗物化していて、大道芸の域を抜けきれない感じです。これはしょうがないことですね。過度な期待をしてはいけないのでしょう。火渡りにしてもなんのために行うのか。行う必要はあるのかと冷静に考えてしまうなら、見ていても面白くない事かと思います。これは炎の化身である不動明王と同じ境地を体現するために、火の上を素足で渡るのだとか。そういった荒行を素直な心で見るのがいいかと思います。それにしも・・・、カメラマンの多いこと。よほど早く訪れないといい場所は確保できないのではないでしょうか。ちょっとびっくりしました。

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風の旅人
<2012年訪問 - 2019年2月更新>

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