* 上溝だるま市について *
相模原市の上溝といえば、江戸末期から伝わる伝統と歴史を誇る上溝夏祭りが知られているでしょうか。その日は20基以上の神輿と8台の山車が運行され、町全体が熱気に包まれます。その上溝では昭和初期頃まで「相州だるま」が生産されていました。相州だるまとは平塚市にある本家長嶋だるま店を元祖とするだるまで、明治時代に多摩地区で生産されている多摩だるまの製法を学び、独自に作り始めたものです。特徴としては、恐い表情の中にある和やかな趣の顔と、赤い衣に丁寧に描かれた豪華な模様となるようです。最盛期には厚木、小田原、上溝でも作られていたそうですが、現在では平塚に4軒が残るのみで、伝統の継承が危ぶまれているそうです。
上溝ではかつてダルマを生産していたことにちなんで、平成元年から上溝商店街振興組合によってだるま市が行われるようになりました。これは以前行われていたものの復活となるようです。だるま市は毎年1月中旬頃に行われ、メイン会場は上溝夏祭りの時に一番賑わう本町の三叉路付近にある商店街の駐車場です。ここでには幾つかの露店が並んだ青空市が開かれ、本町のお囃子衆により獅子舞が舞われたり、商店街のだるま市抽選会といった事も行われます。またタイミングよく訪れるとつきたてのお餅を無料で配布してくれます。競争率が高くないので、その時にいれば必ずもらえるはずです。
ダルマ関係の事は隣にある本町成田不動明王の境内で行われます。といってもダルマの屋台も2店だけとちょっと寂しいだるま市でした。活気があるかないかは、売れている時間に訪れるかそうでないかによって印象が異なると思いますが、境内の一角には納められたダルマが積み上げられていました。同じぐらいの数が売れているという事になるのでしょうか。夕方になると「お焚き上げ」を行って一年間の役目を終えただるまを燃やして供養するようですが、その時間までいなかったので詳細は分かりません。
上溝夏祭りの時の活気やかつてダルマの生産地だったことから、もっと大きなだるま市が行われているとばかり思っていので、訪れたときの感想はちょっと期待外れなものでした。やはり名のあるというか、御利益満点の寺院で行うとか、或いは青梅のように町全体の文化として定着するかしないと活気のあるだるま市を行うのは難しいのでしょうね。今までダルマを買ったことのない人がそこそこ値段のするダルマを買おうという気にはなかなかならないだろうし・・・。
風の祭事記 上溝だるま市
風の旅人
<2012年訪問 - 2019年2月更新>