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風の祭事記 ~祭り、イベント訪問記~

大山とうふまつり

山岳信仰と雨乞いとして知られる丹沢山系の大山。名物の大山豆腐のPRを兼ねて大山とうふまつりが行われ、多くの人に千人鍋の豆腐がふるまわれます。

・場所 : 市営大山第二駐車場(伊勢原市大山541-2)など
・開催日時 : 3月中旬(2019年3月16、17日)
・スケジュール : 10時から
・備考 : 2010年訪問
*開催場所、日時、内容等は年によって異なる場合があります。

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*** 大山とうふまつりの写真 ***

大山とうふまつりの写真
仙人鍋

直径4mの大きな鍋が使用されます。

大山とうふまつりの写真
鍋奉行の山伏達(豆腐感謝祭)

山伏らしく気合を入れながらかき混ぜます。

大山とうふまつりの写真
湯豆腐の振る舞い

雨だったので人が少なめでした。

大山とうふまつりの写真
振る舞われる湯豆腐

緑色の野菜は大山菜です。おいしかったです。

* 大山とうふまつりについて *

神奈川にある丹沢山系の一部を成す大山は古くから知られる山岳信仰の山です。東京から厚木へと続く幹線道路の国道246号はかつての大山街道をなぞったもので、現在でもその面影が旧道に残っています。江戸時代には大山講と呼ばれる大山詣が盛んに行われ、多くの旅人や参拝客、講中がこの大山道を通って大山に向かいました。といっても娯楽の少ない江戸時代の事なので、大山詣は江戸っ子庶民にとって娯楽としての一面を持っていて、江ノ島詣とセットにした観光ツアー的なコースもあったようです。そういった娯楽の面もありますが、大山に鎮座している阿夫利神社は雨乞いの神様として有名であり、水不足に悩む東京の農耕民にとっては切実な大山詣になっていたのも事実だったようです。

現在でも大山を訪れると、観光地というよりも信仰の山といった印象を強く受けます。麓から参道沿いに並ぶ多くの講中宿がそれを物語っていて、宿の前には講中によって寄進された石碑がずらっと並んでいます。修験宿といった雰囲気満点で、古くからの温泉街とはまた違った趣があっていいものです。散策しながら多くの石碑が並んでいる宿は江戸時代は流行っていたのかなと想像するのも楽しいものです。そういった講中宿に混じって大山とうふと書かれた看板も多く目にします。大山と聞けば、大山豆腐。関東ではすっかりと大山の名物として知れ渡っています。これは場所柄、精進料理として豆腐文化や豆腐料理が進化して有名になったのもありますが、大山には良質な水を始め豆腐造りや保存に最適な環境が整っていた事があるようです。そもそも豆腐というのは冷たい井戸水に浸しておけば保存食にもなり、冷蔵庫のない時代にはとても都合のいい食材だったようです。

その大山名物の豆腐を利用して地元の青年達が町おこしというか、話題作りの為に始めたのが大山とうふ祭りです。1991年から行われているもので、なんといってもハイライトは仙人鍋で作られ、その場で振る舞われる湯豆腐です。仙人鍋は直径4メートルもあり、一度に大量の湯豆腐が製作されます。とうふ祭りでは一度に約500食分の湯豆腐を午前と午後の2回、それが二日間なので計2千人分が観光客などに振る舞われます。そこまで訪れる人も多くないので、食べたい人は2、3回並んで食べる事もできるはずです。私が訪れた時は雨という事もあって人があまりいなく、しばらくの間「まだ余っていますから・・・」とアナウンスされていて、私も三杯いただきました。食べると3日寿命が延びるとか言っていたので、9日間寿命が延びた事になるのでしょうか。そうだとうれしいのですが・・・。

その他では椀子豆腐の早食い競争も盛り上がっているようです。90秒間に何杯食べられるかを競うもので、優勝者には賞金5万円があるので頑張って挑戦してみる価値があるかも・・・。参加は先着順。訪れたときは指定時間にゲリラ的に整理券を配るような事をアナウンスしていたので早くから並べばいいというものでもないようです。後は手作り豆腐体験といったものもありますが、紙コップに豆乳をもらい、それに「にがり」をいれてかき混ぜるといった物でした。この他でも参道にある商店などでそれぞれがイベント的な事や割引を行って祭りを盛り上げていました。

ちなみに大山登山(阿夫利神社本社参り)に関しては、かなりきついです。予め登山をするつもりで心の準備と体調と歩きやすい靴などの装備を整えて訪れましょう。それなりの体力と足の強さが必要です。男坂と女坂がありますが、普段から山を多く登っている人以外は無理せず女坂を登っていく方がいいかと思います。

風の祭事記 大山とうふまつり

風の旅人
<2010年訪問 - 2019年2月更新>

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