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鶴岡八幡宮 左義長神事

鎌倉にある源氏所縁の鶴岡八幡宮では、正月の締めくくり、小正月の15日早朝に縁起物を焼くどんど焼きが行われます。

・開催場所 :鶴岡八幡宮(鎌倉市雪ノ下)
・開催日時 :毎年1月15日
・行事内容 :神事、どんど焼き
・備考 :2010年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 鶴岡八幡宮 左義長神事訪問記 *

・鶴岡八幡宮 左義長神事について

鶴岡八幡宮の門 左義長神事の写真
鶴岡八幡宮の門

正月には大きな破魔矢が取り付けられます。

1月15日といえば昔の成人式の日・・・といった印象が強い日ですが、正式には正月に家々を訪れた歳神様がお帰りになる日となります。その時に神々を送る火として使われるのが、門松やしめ飾り、破魔矢などの縁起物を燃やす左義長神事、一般的にはどんど焼き、とんど焼き、お焚き上げなどと言われています。関東ではどんど焼きという言い方が一般的ですが、これはお焚き上げの火を「どんどや」と囃す事から名付けられたようです。

こういった行事は従来だと14日の夜か、15日の朝に行うものでしたが、成人の日が移動してしまったので、近年では15日前の祝日を利用して行っているところが増えてきました。ただ、関東の都市部では広い場所や保安員の確保、防火対策が難しいことから、徐々に消えつつある行事でもあります。

大銀杏 鶴岡八幡宮 左義長神事の写真
大銀杏

大きなイチョウの木で、隠れ銀杏とも呼ばれています。
残念ながら2010年3月に倒木しました。

鶴岡八幡宮は鎌倉を代表する神社です。無事に奥州平定を行った源頼義が鎌倉に戻った時に、戦勝を祈願した京都の石清水八幡宮を由比ヶ浜辺に祀ったのが始まりとされています。

源頼朝が旗揚げし、鎌倉に幕府を開くと、現在の場所に遷宮され、鎌倉の町づくりの中心としました。そして鎌倉幕府の宗社としての格式のある様式に造り直されました。社殿の前にある大銀杏は神社のシンボルであり、また3代将軍源実朝を暗殺した公暁が隠れていたという逸話も残っています。源氏に所縁の多い神社なので、境内を歩くと歴史のロマンを感じます。

円錐形の美しい櫓 鶴岡八幡宮 左義長神事の写真
円錐形の美しい櫓

表面を注連縄(しめ縄)で覆われた2つの櫓が用意されます。

鶴岡八幡宮でもどんど焼きが行われます。ありふれた日本の年中行事ですが、古式神事を厳格に行っている鶴岡八幡宮で神事として行われると、また違った趣を感じたり、発見があります。

まず庶民的などんど焼きではなく、左義長神事といかにも厳かといった名がついています。そして古式に則って15日の朝7時に祭事が始まります。文化財に指定されていない行事で早朝に行うところは少ないはずです。

また円錐形に積み上げられたお焚き上げの櫓(さいと)がとてもきれいです。表面がびっしりと注連縄(しめ縄)で覆われていて、ある意味芸術的にも思えます。

・行事の様子

凍っている源氏池 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
凍っている源氏池

寒いと思ったら、源氏池が氷に覆われていました。
一面に蓮が咲いている頃が恋しい。

左義長神事は源氏池の北側の広場で行われます。時間より少し早く着くと、櫓(サイト)はもう準備万端でしたが、神事を行う道具などを神職の人たちが設置している最中でした。

せっかく朝早く来たのでちょっと境内を散策。まず源氏池の方へ行ってみると、池の表面全体に氷が張っていました。どうりで寒いはず。バイクで来た自分を褒めてあげたい。

鶴岡八幡宮の参道 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
鶴岡八幡宮の参道

参道が真っすぐ由比ガ浜まで続いています。
正月の混雑がうそのようです。

参道の方へ行ってみると、人通りが全くありませんでした。いつも人通りが多いので、すがすがしいといった感じでしょうか。特に正月には規制が行われるほど凄い行列ができるので、そのギャップに驚いてしまいます。

早朝の鶴岡八幡宮 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
早朝の鶴岡八幡宮

静寂といった雰囲気でした。

拝殿前から 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
拝殿前から

2か月後にこの銀杏が倒れるとは思いもしませんでした。

本殿へ上がっていく階段にも人影はなく、静寂といった言葉がピッタリでした。早朝の寒さという凛とした空気感も相まって、一人で歩いていると異次元とか、異世界とかに吸い込まれてしまいそうな不安な気持ちになってしまいました。

献饌の儀 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
献饌の儀

お供え物を御神前にお供えする儀式です。
山盛りのみかんに目がいってしまいます。

玉串拝礼 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
玉串拝礼

祝詞の後に玉串を捧げます。

午前7時からサイトの前に設置された祭壇で神事が執り行われます。神事は修祓から始まり、一般的な神事形態で進んでいきます。

目についたのが山積みになっているお供え物のミカン。なぜミカンなのかわかりませんが、後で参拝者に配られます。

点火の儀 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
点火の儀

御神火をしめ縄の隙間に点火していきます。

神事が終わると祭主がサイトに点火していきます。サイトの下部の何カ所かに着火しやすいように新聞が挟んであり、そこに御神火が移されたろうそくの火を近づけて着火します。

こういった点火は火を点けたら一気に燃え上がるので、複数人で一斉につけるとか、一人でやるにしても素早く点火して回るものですが、ここの場合はなかなか燃えないのでゆっくりと一か所ずつ点火しながら2つのサイトを周ります。

点火されたサイト 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
点火されたサイト

「ちゃんと火がついているの?」といった感じです。

燻製状態 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
燻製状態

なかなか外側が燃えません。
煙が凄く、まるで燻製を作っている感じです。

煙の上がるサイトと見守る人々 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
煙の上がるサイトと見守る人々

地元の人は落ち着いてみています。

祭主が点火し終わってもちょろちょろと火が見えるだけ。これ大丈夫なの?火が消えるんじゃないの?といった状態です。地元の人は見慣れている光景なので、ざわざわとしている人は地域外の人といったところでしょうか。

しばらくするとサイトの上部から勢いよく煙が吹き出してきます。まるで燻製を作っているみたい。こんな燃え方をするどんど焼きは初めて見ました。

上部が燃える様子 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
上部が燃える様子

ろうそくのようにてっぺんが燃え始めてきました。
面白い燃え方をするどんど焼きです。

側面が燃える様子 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
側面が燃える様子

こちらのサイトは側面から燃えていきます。
燃え方が占い(予祝)に使えそうです。

お灸のようなサイト 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
お灸のようなサイト

ろうそくというか、大きなお灸のようでした。

火は見えないけど煙が凄い状態の後、ようやくてっぺんが燃え上がってきました。まるでろうそくみたい。面白い燃え方をします。ただもう一つのサイトの方はてっぺんというより横から燃え始めてきてしばらくすると崩れてしまいました。

昔は各町会ごとにどんど焼きが行われていました。秋祭りでうちの神輿の方が威勢がいいぞ!と競い合うような感じで、どんど焼きでもこっちの方が櫓が大きいぞ。燃やした時にはこっちの方が煙が高いぞ。火の勢いがいいぞ。とばかりにいかに炎が空高く上がるかを競い合うといった側面があります(今でも広島ではそうです)。

そういった庶民的な感覚で訪れたので、なんか違うぞこれ!燃え上がらないどんど焼きに違和感が大きかったです。庶民の祭りと神社の祀りが違うのと同じような感じでしょうか。

・感想など

サイトが燃える様子 鶴岡八幡宮の左義長神事の写真
サイトが燃える様子

勢いよく燃える感じがしませんでした。

しめ縄に飾られたどんど焼きは高級感があっていいかも。さすがは歴史があり、初詣客の多い鶴岡八幡宮。でも実際に燃やしてしまえば同じだよな・・・などと燃やす前は冷めた感じで思っていましたが、こんなにしめ縄が燃えにくいとは思ってもいませんでした。

見学後にはしめ縄にはやはり不思議な力が込められているに違いない。実はしめ縄って結構ご利益があるかも・・・などと俗っぽく思ってしまいました。

鶴岡八幡宮 左義長神事 風の旅人 - 2010年訪問

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* 情報、アクセス等 *

・鶴岡八幡宮 左義長神事の概要

・開催日時2019年1月15日(火) (毎年1月15日)
・開催場所鶴岡八幡宮(鎌倉市雪ノ下2-1-31)
・行事内容神事、どんど焼き
・スケジュール午前7時から
・アクセス等JR鎌倉駅、江ノ電鎌倉駅から徒歩10分程度。有料の駐車場有。
・備考ーーー
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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